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空港で強制的にビジネスクラス→エコノミークラスに変更された話@アメリカン航空

日本から南米は遠い。
遠すぎて、直行便が飛ばせないほどだ。
だから、飛行機で南米に向かう場合には
途中どこかの都市で乗り継ぎをすることになる。

国際線で乗り継ぎ便がある場合には、
最初のチェックイン時に
乗り継ぎ後の搭乗券ももらえるのが普通である。

私はアメリカン航空(以下AA)で
成田発ダラス経由リマ行きという予約があった。
この場合、成田でチェックインするときに、
1.成田-ダラス
2.ダラス-リマ
この2枚の搭乗券をもらえる。

はずだったが、成田で言われた。
「お座席の調整があるようですので
ダラスでリマ行きの搭乗券をもらってください」

機材変更でもあるのかなとぼんやり考えながら
成田を出発したのは12月25日の夕方、
ダラスに到着したのも12月25日の夕方という
日付変更線をまたいだ長いクリスマスの1日。

ダラスにて。AAのスタッフに事情を告げると
「リマ行き満席だし」
相手はアメリカ人だから、ジョークか?と一瞬思うも
AAスタッフのおばあ様は真顔だった。

いやいや、それないっしょ。
「エコノミークラスは空いているし」
私の予約はビジネスクラスなのだが、
AAおばあは問答無用でエコノミーに誘導してきた。

ここで知識と経験がものを言う。
「もし可能だったら、マイアミ経由にしてくれませんか?」
マイアミはAAのハブ空港の1つで、その地理的条件からも
中南米にバンバン飛行機が飛んでいることを私は知っていたのだ。
ちょっと丁寧な英語表現を使って、下手に出てみる。

「マイアミも満席だし」
AAおばあは即答だった。もう調べていたのかも。
でもこちらも負けてはいられない。
ここはアメリカ、交渉してなんぼ、訴訟してなんぼ。

「ユナイテッド航空でのヒューストン経由はどうですか?」
ユナイテッドは個人的に避けている航空会社なのだが
非常時なので致し方ない。リマまで7時間のフライト。
広い座席で体を休めたいのだ。寝させてくれ。

「ヒューストンも満席だし」
アメリカ人、クリスマスに旅行しすぎだから。
おまえら家族で集まって家で食事するんじゃねーのかよ。
提案が却下されまくりで大国アメリカに刃を向ける。
真珠湾攻撃。トラトラトラ。愛愛モードはWAR!

「明日のリマ行きも満席だし」
聞いてもないのにAAおばあがたたみかけてくる。
リマ到着後のスケジュールが決まっているので、
どのみち翌日便に振り替えるという選択肢は私にはない。

万策尽きた。
私の沈黙は、肯定の意思としてとらえられた模様。
AAおばあは淡々とエコノミーの搭乗券を発券している。
無駄なあがき、蟷螂の斧と知りながらも、
最後の力をふりしぼってAAおばあにたずねる。

「なぜ?なんで私がダウングレードなんですか?」
AAおばあはシステマティックに即答。
「コンピューターが選んだし」
アメリカ人は絶対ソーリーと言わない説があるが
まぁやっぱりねという回答を頂戴いたしました。

ちなみに今回の場合、
・エコノミークラス最前列の非常口座席確保
・お見舞バウチャー(500USドル AAでのみ使用可 1年有効)
・機内食はビジネスクラスのものを提供

といった条件だった。
AAしか使えないバウチャーは、日本在住だと使い勝手が悪いから
現金にしてくれと頼んだものの、
「会社のルールだし」
というAAおばあの一言で終了。

「素敵なクリスマスプレゼントをありがとう」
と真顔で言いながら搭乗券を受け取ることが、
せいぜい私にできるアメリカ空母への特攻。
とぼとぼと乗り込んだ飛行機はナローボディー、
つまり通路が1本しかない機材。

水平飛行になるとその通路はカーテンで仕切られる。
カーテンの向こうはビジネスクラス。
エコノミークラス乗客からの羨望と嫉妬のまなざしを
完璧にシャットアウトする役目をもつので、
昔チャーチルは「鉄のカーテン」と呼んだ。

そんな鉄のカーテンをCAが笑顔でオープン。
持ってきたテーブルクロスを私のテーブルにセットしながら
「何かワイン飲む?」
あ、、、赤、、ちょうだい
「了解」

周囲のエコノミークラスの乗客のテーブルには
クロスなどひかれないのだが、私だけ真っ白なクロス。
再びカーテンが開き、CAがワインボトルとグラスを持ってきた。
CAは少量をグラスにそそぎ、テイスティングを勧める。
注がれたものが白ワインではないことだけは分かった。

「ナッツを持ってくるからちょっと待ってて」
CAは再びカーテンの向こうに消え、
小皿に盛ったアーモンドやらカシューナッツのミックスを手に
カーテンを開けて戻ってきた。その様子を周囲の乗客は
袋入りのピーナッツをポリポリしながら見ている。

その後もカーテンが開いたり閉まったりし、
ワインやパンのおかわりやら
周囲とは別メニューの機内食をサービスをされたんだが。。

周囲からの視線と圧がすごい。
なんだあの東洋人。特別待遇されてやがるぜ。
のび太のくせに生意気だ。

視線が痛いお食事タイム。
「私は不本意ながらダウングレードされたんです。
本当はビジネスクラスの乗客なのです」
と背中で語ったが、伝わっただろうか。


ここからは帰りのAAの話。
リマの空港でチェックインをする。
AA姉がやたらキーボードをカタカタいじっている時間が長い。
いやな予感がしてきた。

「ダラス行き満席だし」

またか!!!!!
ダラス到着後にダラスで予定をいれていたので、
どうしても定刻通りにダラスに行く必要があった。
他の経由地や他の航空会社に変更する選択肢はない。

バウチャーじゃなくて現金くれる?
「無理だし」

帰りの飛行機でも特別サービスを受けるにあたって
心に鉄のカーテンをしながら周囲の視線をブロックしたYO


ま、アメリカ人には逆らうなという話です。
この一連の話をアメリカ人にしたところ、
アメリカという名前がつく会社はひどい会社だと、
具体的にAAとバンクオブアメリカとAMEXをやり玉にあげていた。
そういうもんなんだろうか?


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