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日米安保条約はもう読んだ?

 仕事に関係する資料集めの一環で、偶然、日米安全保障条約の原文を目にすることになった。

 恥ずかしながら全文に目を通したのは初めてだった。英文でわずか900ワード弱、和文でも2000文字に満たない。

 こんなに短い条約だったのか。文字数だけを比較すると、日本国憲法の6分の1程度しかない。

 正式名称は "TREATY OF MUTUAL COOPERATION AND SECURITY BETWEEN JAPAN AND THE UNITED STATES OF AMERICA"、和文では『日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約』。この正式名称も、恥ずかしながら今回初めて知った。

 こんな短い条約が数十年間にわたって、この国の在り方を規定していたのか。

 読んでみて気づいたのは、この短い条約文の中で、「国際連合」や「国際連合憲章」ということばが複数回出てくることだ。日米安保やそれに関連する問題について語られる際に国連と関連させて論じられることは少ないように思うので、これも意外だった。

 沖縄の基地問題、日米地位協定の問題、離島の共同防衛に関する問題...。どれについて論じる場合でも、この条約が "原点" になるはずだ。改めて読み直してみるのも決して無駄ではないと思う。

 日米安保条約は日本国憲法の "下" にあると考えるか、"横" に並んでいると考えるか、"一体" としてあると考えるか、あるいは実態として "上" にあると考えるのか?この捉え方によって、それぞれの思いや感じ方は大きく異なるだろう。イデオロギー面の立場も分かれるかもしれない。

 憲法の条文をしっかり読んだことがないのに憲法について論じるのはナンセンスだと思う。同じように、日米安保条約を読んだことがないのに日米安保について論じても深く議論ができるはずはない。

 その意味で、自分自身はまだまともに議論できる立場でもないことを今回改めて思い知った。

 幸い1、2分もあれば全文が読めてしまう短い条約文だ。一度目を通してみることをお勧めしたい。

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