消極的にオススメする | 「自殺帳」(著:春日武彦)
こんにちは
イデアレコードの左川です。
X(twitter)のタイムラインで見かけて気になっていた「自殺帳」を本屋で見かけて、思わず買ってしまいました。読みだしたら、独特の世界観に惹きこまれて一気に読んでしまった。
小さいときには親戚の一人が自殺した。小学生のとき住んでいた14階建てのマンションから若い女性が飛び降りた。学生のときには同級生が何人か亡くなっている。中央線沿線ではしばしば人身事故によって電車が止まるが、その多くは「自殺」である。「自殺」というのは遠い世界の出来事ではなく、自分の近いところでもしばしば起きているということに改めて気が付かされる。
「自殺帳」は精神科医が「自殺」について語ったものであるが、帯にも書かれているようにきわめて「不謹慎」なものである。真面目に語ってはいるもののその言葉の端々には毒舌や皮肉がたっぷりとなっている。世間では亡くなったことについては悪くは言わない、まして「自殺」した人に対して何かを語るときは非常に慎重になることが多い。が、本書では滅多切りになっていて、怖いものなしの著者の無双状態の書きっぷりはある種の爽快感すら漂ってくる。もちろん精神科医として「自殺」をするときの心理状態や要因となるようなものについての考察も語られてはいるものの、他の言葉にかき消されてしまって記憶にはほとんど残っていない。
そのため身近な人を「自殺」で亡くしていたり、本気で考えている「真面目」な方は読まない方が良いと思う。が、そういう方の気持ちを理解できるなどと思いあがったことを言えるわけではないので、もしかしたら考えや気持ちに変化が生じるきっかけになるかもしれないと思ったりもする。
そんなわけで消極的にオススメします。
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