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この物語に巡り合えたことに感謝 | 「spring」(著者:恩田陸)

こんにちは
イデアレコードの左川です。

恥ずかしながら今まで恩田陸さんの小説を読んだことがなかった。「蜜蜂と遠雷」とか気になる作品はあったのだが、ここまで評価されて売れていると今更読むのも・・・となぜか躊躇してしまっていた。だが「spring」は、娘に習わせたいと思っていた「バレエ」がテーマということもあって、すごく興味が惹かれた。そして、法事で石川へ行かないといけなくなったため、新幹線の中で読み始めた次第である。

「俺は世界を戦慄せしめているか?」

自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家の萬春(よろず・はる)。
少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。
同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――
それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。
彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。
一人の天才をめぐる傑作長編小説。

史上初の直木賞&本屋大賞をW受賞した『蜜蜂と遠雷』や演劇主題の『チョコレートコスモス』など、
表現者を描いた作品で多くの読者の心を掴みつづける恩田陸の新たな代表作、誕生!

amazon公式より抜粋

5分ほど読み進めただけで物語にどんどん惹きこまれていく。
続きが気になってしまい、途中で止めることができないぐらいである。
それなりにボリュームがある本で一気に読むことは難しい。
が、幸なことに4章構成となっているので、章単位で読み進めていくにした。

一言でいうのであれば、「面白い」という言葉に尽きる。
個人的には小説で天才を描くのは難しいと思っていた。凡人には考えられないような思考を詳細に描かなくてはならず、そんなものを表現すること自体が天才でないと難しいからだ。

だが「spring」に登場する天才たちは微塵のスキすらなく天才としか思えない。そして天才たちが悩みながら登っていく高みと絶妙に人生の中で交差しながら生きていく物語は、凡人には感動すら与えてくれる。この物語に巡り合えたことが嬉しい。それは本書に出てくるような天才と出会えるのと同じぐらい稀有なことかもしれない。

娘にバレエを習わせようと迷っていた悩みはさらに深くなったわけであるが。

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