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すみっこに飾れるお雛さま-母からのメッセージ-20-2023/03/07

 子どもの頃飾ったお雛さまが、私の元にきたのは26年前。飾れない年もあったが、この十数年は前職の職場に飾り、67年物のお雛さまは好評だった。今年もわが家のリビングのすみっこに飾り、ひな祭り当日はツレと雛あられとお寿司を食べた。

 今年(2023年)のひな祭りはすでに過ぎたが、お雛さまは今もリビングのすみですましている。その昔「お雛さまを片付けないと嫁に行き遅れる」ときいたのは、いつのことだったか。この言葉、母から聞いた言葉だっただろうか。母からこのメッセージを聞いた気がしない。

 母は晩年(享年59)、とにかく誰か伴侶と出会い私に結婚してほしいと思ったようだ(私は当時23-4歳)。高校時代、求愛(?)してくれた大学生に当時は大反対だったのに「あの人でいいじゃない」などとさえ宣った。死期を悟り、母は安心したかったのだと思う。

 だが、子どもの頃母が私に伝えたメッセージは、早く結婚して、などというものではなかった。「手に職をつけ仕事をもってほしい」この一点張り。そして、「お母さんの頃は仕事したくてもできなかったの。結婚は生きていくためだったのよ」そんなことも言っていた。
 父との結婚は生きていくための選択?!
 そのわりには、タイプの異なる両親が案外仲よく楽しそうにやっていたなと思う。でも、今思うとだが、それは母を育んだ環境から培われた母流のケセラセラ。「ユーモアがいちばん♪ユーモアもって生きるんだよ」となんども母から言われたが、それは母自身が、父と楽しく生き抜くための自分へのメッセージでもあったのかもしれない。

 とにかく母のメッセージを受け、小学校卒業時に将来「看護師になりたい」と書いて以来、仕事はするもの、何か職業をもつものと思って、おとなへの道を進もうとしてきた気がする。なので、晩年の結婚を促す母の言葉には、相当びっくりした。母がこの世で息をしている間どころか、共に住所をいっしょにする人に出会うまでにその後25年もかかってしまった(苦笑)。

 母からのメッセージは、こんなものも思い出す。子どもは姉と私、女のみの姉妹。父も母も大正の末期生まれ。家制度を踏まえた社会に育った世代だ。女子二人が結婚して嫁に行けば、平野家はなくなる(父に姉妹はいるが男子一人)。だが、「一切そんなことは気にせずでよい」母からなんども言われたメッセージだ。おとなになって、姉妹で育った知人のなかには、跡取りだから婿をもらえと子ども時代から言われ続けたという人にも会った。商売や事業をする家ならわからなくもないが、わが家と同じサラリーマン家庭の人でもいた。当時よくわかっていなかったが、母のメッセージは、個の幸せを追求してよし、だったのだと今想う。

 現在も私とツレは事実婚のままである。自分の名前を変えたくない。相手に変えてもらうのも気は進まない。シンプルにそれのみである。家制度の存続などに一切こだわらなくてよしと子ども時代から言われ続けたのに、名前はそのままでいたいのだ。もちろん、家存続のために名前を変えたくないわけではない。だが母のメッセージのおかげで(多分)、制度にこだわらず、自分の幸せ?居心地よさ?を考えてよし、、、と思っている(相手のことも考えてはいるつもりだが)。両親が他界し姉も他界して以降、名前を変えたら本当に何もかも失ってしまう、そんなふうに思っているのも事実だ。

 リビングのすみっこに飾ったお雛さまを眺めながら、母からのメッセージを思い起こした。すみっこに飾れるのは、実はわが家のお雛さまがお内裏様しかないからである。小学生の頃、お友だちのおうちのお雛さまは七段飾り?八段飾り?が当たり前で、わが家のお内裏様だけのお雛さまを寂しく思ったものだ。私の姉が生まれた時に父方の祖父母が買ってくれたお雛さまで、1年ごとに買い足してくれるつもりだったとか。だが転勤による相次ぐ引っ越しで買い足しを断ったという。今となってはお内裏様だけだから、狭いわが家にも飾ることができ春を共に迎えられる。お雛さまを眺めて、わが母の女の生き様を想い、個の幸せ追求してよしメッセージを強く思い出した。弥生3月は母が逝ってしまった月。旅立ったその頃を思い出すと切ないことばかり。だがわが母は、思うとおりにはならなかった時代もケセラセラ&ユーモアたっぷりに生きていたのだと思う。そう思ったら、そしてそれが私の土台なんだと思ったら、迎えるザ・春爛漫2023へのワクワクがなんだか倍増してきた。ワクワク〜わくわく〜ワクワク〜🔴
(表紙は、リビングのすみっこに飾ったわが家の67年物お雛さま)

追記:2022年12月にクラウンの師匠まりちゃんは結婚式をされました。パートナーさんと共に結婚衣装+赤ハナの写真をみてびっくり。すてき💛 羨ましく思い、わが家のお雛さまたちに赤ハナをつけてもらいました。

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