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2023.1.9(日・祝)ねぇねぇ紅白歌合戦振り返り②~台本

台本は何故直前?

私は混乱を避けるため、なるべく台本をぎりぎりに出す。あくまでこれは言い訳に聞こえるかもしれないが、ぎりぎりというのは「完成に近い状態」に出したいのだ。
何度も何度も書き直したり修正したりするので、結局のところどれが最終なのかわからなくなってしまうのである。
私の台本は書き上げた瞬間私の手元から離れては戻り、といった作業を繰り返すことになる。
小説とかそんなかっこいいモノではないのだが、限りなく出演者の方をイメージしながら書きなおしていくので(なので、なるべくこの段階で出演者の方のReplayやルームで出演者のリサーチをする)、修正がとにかく多くなるのだ。何度も言うが、その人のテイストになればそれが一番なのだが、流れを作っておくと、万が一の場合にも台本に戻る。台本は、「意思の疎通と円滑な運営」が一番の目的である。
次に誰がでて、どういう方向に持って行きたいか。もちろん行き当たりばったりの楽しさもあるが、何か目的があるのであれば、関わる人が大勢になればなるほど共有しておいた方がよりクオリティが上がると思う。
そう、一番困るのは落としどころ、つまり時間、方向性など、ゴールが見えない事である。

台本を変える理由① 出演者と出演順

今回大きな変更を加えることになったという話を、noteに書いておいたが、変えたのにはいくつか理由がある。まず出演者が変わったこと。
実は当初は、スカウトとエントリーがあったが諸事情で出られないとなった人がいた。さらに、あみだくじを使って順番を決めたのだが、直前で出られなくなった、ということで、予定していた本来のVS式が成立しなくなった。そして、「順番を決めた」という大前提と、男女比のパワーバランスが崩れてしまったのだ。

上手くいくかどうか、出演順は重要なのだ。
NHKの紅白歌合戦を見たことのある人は気づいていると思うが、オープニングはその後の番組を勢いづけるためにある程度勢いのある人や新人の人が多い。そして後になれば出演回数が多い人になっていくものなのだ。
最終的に出演順をどう決めたのか。しかも曲名すら出ていないのに。

私がやった方法は、全員の名前とわかっている方は曲名をカードに書く。Instagramで副音声となるLIVE配信をしたいということで、頭から仕切り側でInstagramに来ることが出来ない両チーム司会のお二人を外した状態(つまり両チームのトリに自動的に決定)にした。次に、この時間しか参加できないという方をまず配置し、その後肉付けする形で、カードに共通点を見つけ横にトランプの「7ならべ」のように並べていく。共通点としては曲のメッセージ性、出演者の関係性、グループにはグループ、など流れも含めて決めていく。この形が正解かどうかわからないのだが、カードを並べながら関係性を縦横につくっていくのだ。
ここで、最も重要視するのが、初登場の方である。初登場の方はなるべく早い時間に持って行くようにしている。理由は後半になるほどワルノリしてしまうので、緊張感があるうちに、つながりや流れも考えて配置する。この配置に、実は悩んで1時間半かかった。
たかが…と笑う人もいるだろう。でも、この流れが勝敗の重要なポイントでもあるのだ。

台本を変える理由② 音楽のチカラ

台本が9割出来上がった段階で、いつもやることは音楽と効果音(ジングル)を探す作業に入る。この音楽は、たいていフリー素材と呼ばれるものを中心に用意をするのだが、この曲がなかなか決まらない。普段からストックはしておくが、スタートの曲はすべてを担う一曲になるからだ。

今回は、Clubhouseで出逢ったゆうきさんに依頼した。彼は趣味だと言ってはいるが、趣味の域を超えたオリジナルの音楽をたくさん生み出している。イメージの近い音楽を聴き、イメージを近づけることでクオリティの高い音楽を創り上げることができる稀有な存在である。今回、彼に「紅白のオープニングを作ってほしい」とお願いし快諾してくれた。12月に入ったころだろうか、彼から音楽が届いた。

フルで5回聴いた時、困ってしまった。
「どうしよう、これは全部流したい。」

ゆうきさんには、参考までに前年の紅白で使用した音源を聴いて頂いていたのだが、それ以上に壮大かつ出演者を鼓舞するような音楽になっていたのだ。

正直、9割仕上がった時点で台本変更が一番迷った。
NHKのオマージュ、本来の「紅白歌合戦」では出演者紹介はない。

しかし、「この音楽にのせて皆さんに一言ずつ声を拾ってもらったらもりあがるのではないか。」「いや、一人ずつ振っていくとすごく長くなるかもしれないぞ?」

私は困った時は音楽を聴きながら、一旦「台本」を書いてみて、実際に自分でやってみる。そして「よし。」となったら、ここにバラエティ要素を足して長時間でも楽しんでもらえるような台本にしあげていく。
「間延びしないかな」「いや、大丈夫だろう」
そんな葛藤を繰り返し、ここで時間が10分近くプラスされるという計算にもなったのだが、なんとしても音楽を活かしたかったのだ。

どんなにつまらないビデオでも、音楽をいれるとそれだけで大きく変わる。音は時に映像を超え、五感を大きく揺り動かすのだ。
これは音楽の持つ力、まさに「音楽のチカラ」に他ならない。

台本を変える理由③ 面白さが足りない

一番厄介なのがこれである。私の台本の作り方は、作りこむ場合かなり効率が悪い。作って音楽まで出しながら、自分でトータルやってみるのだ。

俗にいう「一人リハ」である。掛け合いのところは想像で「○○さん役」をやるのだ。時には録音する。そして○○さんと○○さんがやっているという形で聴くのだが、これが「面白くない」と感じてしまう時があるのだ。

有難いことに私の周りには面白い人が多い、見た目が面白いとかではなく、言葉のチョイスや受け答え、漫才で言うところのボケとツッコミが面白い人が多いのだ。そしてこの会話ができる人は頭が良い。

いくら変えてもいいといっても「変えていい」と言われてすべて変える人はほとんどいない。多少の言い回しや言葉尻のアレンジや、トークを膨らましたりするかもしれないが、いい意味で「守ってしまう」のだ。
つまり台本に忠実な部分がその出演者の個性をすべて打ち消してしまう事に繋がる。

「ん~…○○さんなら、こう返すだろうな」と思った時の違和感が多ければ多いほど、それは絶対に上手くいかなくなるので、これはすべてリセットである。数十ページ勿体ない、これを世間では「お蔵入り」というのだろう。


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