見出し画像

役職定年がつらいと思ったら、いますぐやるべきこと

 一定年齢になると課長や部長などの役職から外れる「役職定年制」は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によれば、2019年時点で導入率28.1%、301人以上規模の企業に限定すると35.2%となっています。
 役職定年は会社の制度なので役職から降りたくて降りたわけではなく、むしろまだまだ自分はやれると思っているのに権限を取り上げられ、(本人の感覚では)さほど重要ではない仕事に追いやられた思いをもつ方も多いです。「このままこの会社にいて、自分はどうなるのか」「60歳定年になると、また雇用条件と仕事がかわる。それでやる気を出せなんて、よく言うよ」「このまま65歳までのんびりさせてもらうかな」・・・そんな思いの方もいらっしゃるのでは。

自分の社外労働市場での価値を探ってみよう

 そんなときは、ご自身の社外労働市場での価値を探ってみましょう。次のようなことをやってみてください。

⑴    民間の転職サイトに登録してみる。


 転職サイトに登録すると、適正年収や市場価値のわかる診断テストが提供されています。ぜひそれらの診断をやってみてください。ただし診断は絶対正解ではないので、一つの結果としてうけとめて、複数のサイトでやってみるのがよいでしょう。
 求人検索もしてみてください。今のあなたの仕事ですぐに転職できる求人はどんなものか、実際にみてみてください。ハローワークのサイトでの求人検索もやってみて、実際の労働市場の相場を知ってください。

⑵    社外でスキルを試してみる


 副業が許可されているなら、ぜひやってみましょう。最近は「ココナラ」「ランサーズ」「クラウドワークス」など自分のスキルを提供して対価を得たい方と依頼したい方のマッチングサイトも、増えてきています。副業が許可されていなくても、ボランティアや地域活動、自治会など、機会はたくさんあります。

市場価値で市場ニーズがわかる

 そうすると、自分のスキルや強みのどこに市場ニーズがあるのか、わかってきます。自分が強みと考えている点にはニーズがないとか、あっても処遇が希望にあわないとか、意外なニーズの求人がでているとかが、具体的に理解できます。この気づきが次の一歩につながります。頭の中で考えていてもわからないことが、実際に動いてみるとリアルな情報として入手できます。それを受け止めて、また内省して考えるのです。
 入手した情報には、簡単に受け止められない内容もあることと思います。だからといって否定してしまうと、気づきも成長もなくなります。

59歳で気づいたAさんの事例


 ITメーカーで部長を務めたAさんは、55歳で役職定年になりました。シニアスタッフとして企画や報告のとりまとめなどの仕事になり、全く手ごたえを感じられなくなったそうです。早期退職か転職も考えましたがなんとなく機会を逃して59歳になり、会社から再雇用の条件を提示されました。
 提示された条件はとても納得できるものではなく、再雇用は受けないでおこうと決め、民間の転職サイトにいくつか登録しました。しかし思うような紹介案件はなく、ハローワークに行くと全く違う職種で給与も1/4程度なら、といわれ愕然として相談に来られました。
 Aさんは1回の面談で状況を理解され、まず再雇用は受けることにしました。その間に自分の強みを立て直して起業の準備をし、準備できたところで行動に移すことになりました。可能ならもう少し早く相談においでいただけたら60歳までに準備できたと思いますが、再雇用を保険の受取りだと思って継続し、その間に起業準備をすることで納得され、取り組んでおられます。

まとめ

 役職定年がつらい、やる気がわかないときは、ご自身の社外労働市場での価値を探ってみましょう。そうすると、自分のスキルや強みのどこに市場ニーズがあるのか、わかってきます。ニーズがわかればどう対応するかの作戦を立てられます。作戦は転職、起業、副業だけではありません。自分の市場での強みを知って在籍している会社の事業の方向と重ね合わせられれば、自分の居場所を創っていまいる場所でがんばることができます。

 キャリアを考えることは、今いる場所でがんばれるようになるから意味があると、私は考えています。それが自ら仕事を創るということです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?