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サイバーエージェントを研究する【就活前に読んで】

「IT企業は何をしているのか」と感じることがあるのはITの守備範囲がとてつもなく広くなったからでしょう。買い物も自動車の運転も仕事も子育てすらも、IT抜きでは難しくなっています。

株式会社サイバーエージェント(以下、サイバーエージェント)も、何をしているのかわからないIT企業であり、そしていろいろなことをしている会社です。

ただ多くの人がこの会社を知っています。それはサイバーエージェントがABEMAやウマ娘といった知名度が高いブランドを持っていて、創業者兼代表取締役の藤田晋氏がマスコミによく登場するからでしょう。

会社設立から四半世紀を迎えようとしていて、7,000億円企業になり、もはやベンチャーとは呼べない規模に成長したサイバーエージェントの正体を明らかにしていきます。

記事中のデータは2022年11月現在のものです。


活動内容と概要


サイバーエージェントのビジネスは6つあり、内訳は3つの主力事業と2つの強化分野とその他です(*1)。次のとおり。


●3つの主力事業

・メディア

・インターネット広告

・ゲーム


●強化分野

・AI(人工知能)

・DX(デジタルトランスフォーメーション)


●その他

・新規事業の立ち上げ。プログラミングスクール、eスポーツ、ポイント事業、ファッションなど。


このうち主力3事業を確認していきます。


*1:https://www.cyberagent.co.jp/service/


会社概要


主力3事業を解説する前に、サイバーエージェントの概要を紹介します(*2、3、4)。


■サイバーエージェントの会社概要

●本社:東京都渋谷区宇田川町40番1号 Abema Towers

●代表取締役:藤田晋(創業者)

●設立:1998年3月

●資本金:約72.4億円

●東証プライム市場に上場

●連結売上高:7,106億円(2022年9月期)

●連結当期純利益:242億円(同上)

●大株主(多い順):藤田晋17.60%、日本マスタートラスト信託銀行15.45%、日本カストディ銀行5.85%など


サイバーエージェントは東証プライム上場の7,000億円企業でありながら、筆頭株主が創業者になっている、オーナー企業色が強い会社であることがわかります。


*2:https://www.cyberagent.co.jp/corporate/overview/

*3:https://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/u2ge/gj4V/r1Vl.pdf?_ga=2.143609653.1880190090.1669628480-601602647.1669628480

*4:https://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/p5Zl/mkCR/T7St.pdf?_ga=2.218540185.1880190090.1669628480-601602647.1669628480



メディア事業の特徴


メディアとは情報を伝えるもののこと。サイバーエージェントのメディアは1)インターネットテレビのABEMA、2)ブログサービスのAmeba、3)マッチングアプリのタップル、4)音楽配信のAWA、5)公営ギャンブルのネットサービスのウィンチケットの5つです。

特筆すべきはABEMAです。


ABEMAはインターネット経由で提供するテレビサービスで、映画、ドラマ、アニメ、音楽、スポーツなどのコンテンツを配信しています。注目すべきはニュース番組を持っていること(*5)。ニュース番組を持つには報道体制を構築する必要があり、どのメディアでも持てるものではありません。それだけにニュース番組を持つことで、メディアとしての「箔」がつきます。箔とは社会的な影響力の強さと、国民からの信頼度の高さのことです。


ABEMAがニュース番組と豊富なコンテンツを持つことができるのは、株式会社テレビ朝日ホールディングス(以下、テレビ朝日)が運営と経営に関わっているからです。

ABEMAを運営しているのは、サイバーエージェントの連結子会社の株式会AbemaTVで、同社はサイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資して設立されました(*4)。AbemaTVにはさらに電通と博報堂も出資しています。

このような強力な後ろ盾があるからこそ、ABEMAは魅力的で強いテレビ・メディアに成長したといえるでしょう。


*5:https://abema.tv/


インターネット広告の特徴


サイバーエージェントは創業当初から、インターネット広告事業を展開しています。インターネット広告は、インターネット・サービスの利用拡大や広告効果がみえやすい性質などから驚異的に成長しています。インターネット広告の広告費は2021年に初めて、新聞、雑誌、ラジオ、テレビから成るマスコミ4媒体の広告費を上回りました(*6)。インターネット広告の黎明期から投資を続けてきたサイバーエージェントは、この市場の成長の恩恵を大きく受けている会社の1つといえます。

さらに、ABEMAを使って広告主企業を紹介する番組やイベントを実施するなど、テレビ事業との相乗効果も生んでいます(*7)。


*6:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC244UW0U2A220C2000000/

*7:https://www.cyberagent-adagency.com/works/


ゲームの特徴


サイバーエージェントはゲーム事業でも新しい時流に乗ることに成功しました。ゲームのトレンドが家庭用ゲーム機からスマホ・ゲームに移行するタイミングで、スマホ向けロールプレイングゲーム「グランブルーファンタジー」をリリース。このヒットにより一気に「ゲームのサイバーエージェント」の認知度を高めました。

さらにまったく毛色が異なる「ウマ娘プリティーダービー」というゲームをヒットさせ、ゲーム事業は経営の屋台骨に成長しました。


ゲームとメディアで集客して広告で稼ぐ

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