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効果的な商品写真って何?

今回のテーマ『効果的な商品写真』について。
撮影依頼を受けるとき、まずカメラマンとして絶対にしなければならないのは、
「何に使う写真ですか?」って事です。
これを聞いてこないカメラマン、はっきり言ってプロではありません。
お気をつけあれ。


まず媒体は紙なのかwebなのか。
ホームページなのかSNSなのか。
通年使うものなのか旬のものなのか。
若い人向けなのか年配向けなのか。

それによって撮り方も数も納品の形も全て変わってきます。

え?若い人と年配で何が違うの?
たかだか商品写真でしょ?

そう思うのも無理はありません。
自分が、若い時に目を引いていたものも今見ているものも、何か変化があるように見えないからです。
「人の趣味趣向ってなかなか変わらない」
この大前提があるからです。

でも、体は衰えているんですよ、、(とほほ)
特に目の筋力、透過度は若い頃と40代以降では全く違います。

それが商品写真とどう関係があるの?ってことなんですが、
私が百貨店の撮影を主にやっていた頃、こんなやり取りが3日にいっぺんありました↓

私がまだ若いカメラマンで、今流行の写真表現やら、所謂映える写真を頑張って表現しようとしていました。それが喜ばれると思っていたからです。
ですが、デザイナーがOKを出したカットでもディレクター、バイヤーと上に上に行くほど修正を求められました。
その修正指示の多くは

「もっと明るくしてください」

です。
どういうことかというと、百貨店のお客様の多くがどちらかというと高齢者で、高齢になればなるほど、
印影の暗い部分が見えづらい=良いものとは思ってもらえない
ということになってしまうからでした。

こちらは印影をバッチリ入れて、より印象的にして高級感を出そうと努力しても、そんなことより明るくしてくれ、とはいえ色味が変わってしまうのはNGなので、暗いところを明るくしてくれ。
そんな修正指示ばかりでした。

ということは、百貨店にとって効果的な写真とは、

『全体が明るくてぱっちり細部まで見える写真』

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これが正解となります。
しかし、全く同じ商品なのですが、担当が一般のパンフレット担当と、外商担当で表現が全く変わってきます。
外商担当とは所謂上顧客様にしか送らない厚めの紙に印刷された商品パンフレットとなります。
そうすると、同じ年代層へ見てもらうまでは同じでも、どっしりとした写真表現が好まれ、商品の単体写真ですら印影をバッチリつけたほうが喜ばれました。

この考えを発展させると、紙媒体なら1枚で完結されている写真が好まれ、ネットでの販売なら複数枚の写真が好まれ、SNSなら縦写真が好まれ、低所得者には柔らかいトーンの写真が好まれ、高級品嗜好の方には下からのアングルの写真が好まれ、若い人ほど眠い写真が好まれる。

こんなにも写真のテイストや撮り方、納品の数は対象が誰で何処で何かによってグラデーションがあるということです。
とはいえ、よほどその世界で仕事をしてきた人でないと、どんな写真が誰に好まれるかというのは、普段自分が担当している人が特定されるなら分かりやすいですが、さまざまな人が顧客だと訳がわからなくなるというのが本音かと思います。

なので、冒頭の話に戻ると、カメラマンから
「何に使う写真ですか?」と聞かないといけないよってことになるのです。

それを聞かないカメラマンということは、まず引き出しの数が一つ下二つしかないことを言ってしまっているもんなので、何を預けても同じ写真しか納品されません。

ちなみにtop画像に使っている写真は燕市にある株式会社ワクイさんの商品写真です。プロダクトの意匠とニッチなジャンルで何処よりも良いものを目指している新しいプロジェクトの一環で作られた商品です。
なので、どういう使い方をして欲しいか、どの角度が一番魅力的か、そしてフォルムがしっかり見えるように写真的タイポグラフィックに(こうすることで被写体が完全に潰れてもワクイのプロダクトだと分かる)。

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商品撮影をフィールドにしているカメラマンにとって、引き出しが無いことは武器が無いことに等しいので、弊社が特にフレームワークの骨子としている

plan・・どういう人に伝えたいか、どう伝えたいかを一緒に考え、
creation・・それに基づいて創作、制作を行い、
action・・どうやって使うかのアドバイスをする。

これが全く出来ないカメラマンということになります。

同じコストをかけるならより効果的な写真を求めるのは当たり前の話ですよね。
ぜひ、写真依頼をする際に、なんとなくぼんやりと誰に届けたい写真なのかをイメージしながら打ち合わせに臨まれると、余計な時間や費用の出ないスマートな撮影につながります。

弊社では作って終わりにならなないように、作ったものが無駄にならないように、誰かに何かを伝えるための手助けになれるよう日々精進しています

展示会チラシ_最終-02


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