見出し画像

組織が50年存続すること

 今月に入って大学のクラブのOB・OG会があった。山の同好会なのだが、創立後50年記念会ということで、総勢400名を超えるOB・OGの約4分の1が集まった。5代目の部長だったこともあり、会で挨拶をしなければならず、色々考えたが、やはり50年にちなんで組織の存続ということを少し調べてお話をした。

 世界最古の会社と言われるのが、大阪にある金剛組という会社。少し前にある上場会社の100%子会社になったが、寺社仏閣の建築を業としてきた。創業は578年で今年創業後1445年になるという。自分の母校はもうすぐ150周年を迎えるし、出身高校も前身の設立から数えると80年を超えている。こうやって、長く続いている組織をあげると珍しくないように感じるが、会社の存続率の統計があって、それを見ると、3年での存続率は65%、10年での継続率は6%、30年になると1%を割り込んでいる。統計的には50年続く組織というのは珍しいのである。

 単なる山の同好会が50年続いたというのは、何なのかと考えてしまう。特に大学のクラブは4年たつとメンバーが完全に入れ替わってしまう。体育会系なら、監督やコーチがいて、競技会などで実績をあげれば、全国からこのクラブに入りたいと入部を希望する人が絶えないということもあるだろう。だけど、我クラブには監督やコーチは存在しないし、競技で名をはせることもない。地味に山を登ったり、酒場で飲み会をしたり(僕ら頃は麻雀もやっていた。)するだけのクラブなのである。

 だけどクラブは続いていて、今年は30人近くの入部希望者がいたという。本当にわからない。これでは挨拶にはならないので、「組織が続いた理由は、今日お集りの皆様方の心のうちにあり、次の50年に向けてその心をもって、ご協力いただきたい。」と結んで、挨拶は終わらせたのですが、やはりなぜ続いているのかはよくわからない。
 
 今NPOのお手伝いをしていることは、何回か申し上げているが、NPOはボランティア組織という一種の緩さを持ち合わせており、大学のクラブに近しい感覚で共通点がある。もちろん、NPOと大学のクラブでは違う面も当然にあり、例えば、NPO法人の理念はそれなりに崇高なものがありますが、我クラブは山や自然が好きであればぐらいの感覚でしかなく、創業メンバーの話を聞いてもなんとなく何かをしたかったのだが、山が対象になったのは、メンバーの一人に高校時代に山に登っていたのがいたからと理由なので、とても崇高な理念があるとは思えない。理念は組織が存続するうえで大変重要なファクターだと一般的に考えられており、理念が明確とは言えない組織は続かないとされています。この面でも、我クラブがここまで続いた理由は理念の面でも本当にわからないのです。

 NPO法人の活動に関わり始めた後、町おこしと居場所づくりを主な活動としているNPOで、ボランティアとして関わっている方のインタビューをしたことがあったのですが、何故ボランティアとしてこんなに熱心に関わられているのですかという問いに、そのボランティアの方が一言「面白いから」という回答でした。やはり、我クラブが継続している理由は、その時その時のメンバーにとって、前述のボランティアの方と同じで「面白いから」なのかもしれません。

 お手伝いをしているNPOで組織活性化をテーマに活動中なので、組織の継続性をなんとなく考えてみましたが、結論は出ていません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?