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NPO法人からみた行政書士

 今月、お手伝いをしているNPO法人の会報に、行政書士の仕事について書く機会をいただいた。内容は当然NPO法人と行政書士の仕事の関わり合いを中心に書くこととなり、行政書士の仕事をNPO法人の立ち位置から、どうのように見えるかを少し書きたい。

 行政書士の仕事は行政書士法第1条の2に「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする」とあります。官公署に提出する書類作成業務は、特別の法律で他の士業の独占業務とされている行政手続きを除けば、かなり広範囲な仕事です。他人の依頼を受けというのは本人に代わって行える業務、所謂代理人として行う業務ということです。特別な法律の代表的なものとして弁護士法があり、裁判に関わる代理人は弁護士しかできないことになっています。それ以外にも社労士、司法書士、税理士などが特別な法律で行う業務が決められています。

 権利義務の関する書類の典型は契約書、遺言、相続財産分割協議書であり、事実証明の関する書類の典型は決算書です。これもまた広範囲です。あまりに広すぎるので、各々行政書士は、大体、得意分野、例えば外国人の在留資格、相続・遺言・成年後見、中小企業支援、許認可、自動車登録といった業務を掲げて仕事をされています。

 一方、NPO法人は平成10年に施行された特定非営利活動推進法に基づき設立される法人格のある団体のことを指します。その法律には、設立認証の手続き等が定めらており、当然のこととして、設立に関して揃えるべき書類等が列記されています。NPO法人を設立を希望される方は、必要書類をすべてそろえて、所輨庁となる都道府県及び政令指定都市の窓口に提出して、その認証を受けて初めて、法人登記が可能となります。行政書士は法人登記こそ代理で行うことはできませんが、認証を受けるために作成する必要のある書類作成は代理でこれを作成することができます。

 設立後も、事業報告の提出などを年一度行う必要が有り、定款の変更、指定や認定の取得をしたい場合は、別途の行政手続きが必要となります。また事業の内容によって必要な許認可があれば、それを行うことも考えられます。これも基本は行政書士の仕事になります。

 もう一つ、NPO法人で考えられる業務としては、補助金申請があります。NPO法人が継続的に事業を行っていくには一定の財政基盤が必要で、財政基盤が強い法人は、行政からの事業委託を受けているところも多いですが、そういった団体でも公的あるいは民間の補助金を大なり小なり受けています。
逆に言えば、補助金を受け取ることのできる事業のベースがないと、NPO法人自体の存続が危ぶまれます。
 この補助金申請についても、行政書士ができる分野です。

 あとは、法人内の規程は、許認可に関わる事業をしていると様々に所輨庁から作成を求められます。その理由は、許認可の基準には、それがどんな業種であれ、法人の体制面の整備を求める面があり、就業規則等の規程の他に業務規程、経理規程や、個人情報保護の規程等の作成も必要になります。就業規則の届出は会社または社労士の業務となりますが、合成書士が作成することもできます。

 あとは、契約書関係です。ほとんど契約書を作らない業態もありますが、契約書を作ることを要求されるケースもあるかと思います。これも行政書士の仕事の範囲です。

 人によっては経理記帳、人事総務系の社内書類作成をやられる行政書士もいます。

 こうして見てくると、NPO法人の管理系の業務には、行政書士が手掛けることのできる仕事が大変多く含まれています。しかしながら、残念なことに、NPO法人は所帯も小さく、資金力もないので管理系の仕事がカバーできる人は代表以外はいないというのが、現実の姿かもしれません。人とお金をどう集めるかがNPO法人の継続の鍵であり、悩みどころと1年ほど前に書いていますが、やはり活動資金を何らかの形で確保することが前提にはなりますが、スタッフの有償化や報酬を払って専門家の関与を受けることは、組織の継続のためには必要なことだと思います。専門家に業務を請け負ってもらうことで、NPO法人のスタッフは、本来のNPO活動に邁進できるということになるのではと思います。

 私の周りを見渡しても、私同様、会社員生活に一区切りをつけて、行政書士の登録をされる方も多く見受けられます。その方々にとってはNPO法人への関与は行政書士の仕事であると同時に、社会参加の一つの方法と考えられます。探してみると身近にそんな思いを持った方がいるのではないかと思います。


 

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