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足跡ひとつなく

10センチほどの、今年になって初めてのまとまった雪が積もった朝。訪れる人たちの痕跡を完全に消した景色はやはり素晴らしかった。

北国・北海道とはいえけして雪が多くはない土地柄なので、新しく雪が降り積もった朝に感じる新鮮さは、ほとんど雪の降らない埼玉から移り住んで14年になってもあまり変わらない。

まだ誰の足跡もない雪原をスノーシューで歩く。漠然と北海道での暮らしに憧れていたかつての僕には、それだけでも夢のように響いただろうことが今は日常のひとコマだ。

かつての憧れが日常になると、それは色あせるのだろうか。
答えはイエスであり、ノーでもあるのかもしれない。移住してからの暮らしからは、憧れていたものとは別の形で、自分が何を求めていたのかを教えられることがある。

想像や期待を超えたことに出会えるかもしれないという期待。それが必ずしも的外れなものに終わらないのが、この土地に住む楽しさなのかもしれない。


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