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AI vs 人間のひらめき

私達は今第四次産業革命のうねりの中にいると言われています。
AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、自動運転技術などのテクノロジーが中心となる変革です。
デジタル技術の融合により、産業界全体で効率化や新たなビジネスモデルの創出が進行しています。

かつては、将棋やチェスのような頭脳ゲームでの人間対AIの対戦が注目を集める程度で、AIは我々から見てやや遠い存在でした。
しかし、ChatGPTが現れたことで状況は大きく変わり、AIの存在を私たちの日常生活の中で身近に感じるようになりました。

AIは、ベイズ理論という統計学の手法を基礎にしており、確率や統計を使った予測が得意です。
しかし、私たち人間の脳は、確率や統計だけでは表せない「ひらめき」や、大きな問題に直面したときにそれを克服する飛躍的な発展を遂げることができます。
言い換えると、この時代を生き抜くためには、AIではできない特別な価値を提供できる人が重要とされています。

このヒトならではの能力を引き出すために、脳の働き方が重要です。

ある医大教授は、BDNFと呼ばれる、脳のパフォーマンスを上げる物質と、脳の重要な部位である海馬に注目しています。
また、ひらめく力のためにも、食べ物と運動に気を配るという基本は欠かせないようです。

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運動の効果は広く認知されており、特に、一般成人には週に150分以上の中等度強度の有酸素運動が推奨されています。
近年の研究は、運動が体だけでなく、脳の健康にも重要な利益をもたらすことを示しています。
運動は認知機能の向上、加齢に伴う退行性変化や神経変性疾患の抑制、そして神経障害からの回復に有効であることが明らかにされています。

そのためには運動による神経栄養因子、特に脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現増強が鍵の一つと言われています。
BDNFは、神経細胞の生存、成長、シナプスの可塑性に重要な役割を果たします。
運動がBDNFの発現を増やすことは1995年に最初に報告され、以降、多くの研究で確認されています。
この効果は、運動によって生じる神経活動の増加、筋肉や肝臓からの因子の脳への作用によるものであり、運動が脳の健康を支えることに大きく貢献していることが示されています。

加齢による記憶・学習機能の低下や神経変性疾患の抑制、脳卒中や脳損傷からの回復においても、運動によるBDNFの発現増強が有効であることが報告されています。
このように、運動はアンチエイジングや脳疾患の予防・進行抑制、機能回復を促す非薬理的アプローチとして期待されています。

ただし、どのような運動が脳に最適かはまだ明確ではありません。
高強度インターバルトレーニングがBDNFの発現を増強することが分かってきましたが、高齢者や神経疾患を抱える人々には難しいことも指摘されています。
運動の効果は個人の年齢、運動歴、病歴などによって変わるため、運動の種類や強度、頻度を個々に適応させることが重要です。
今後の研究とビッグデータ分析が進むことで、個々に最適な運動プロトコルを提案できるようになることが期待されます。


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