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自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
こんにちは。
司法書士の磯谷です。
開業して早3か月が経過しました。
まったくのゼロだと思ってましたが、有難くお仕事頂けて感謝しています。
さて、早速本題ですが、遺言はどうやって作ればいいのか。
また、遺言の作成方法には種類があります。自分あるいは大事な人にとって、どの方法がベストなのか、基本的な部分をまとめてみました。
遺言には、大きく3つ種類があります。
1.自筆証書遺言
2.自筆証書遺言—遺言書法務局保管制度を利用する場合
3.公正証書遺言
このほかにも、遺言内容を秘密にできる「秘密証書遺言」がありますが、今回は割愛します。
1.自筆証書遺言
(1)自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、遺言をする人が、遺言書の全文、日付、氏名を自書し、これに押印することにより作成される遺言をいいます。
(2)自筆証書遺言のメリット
・コストがかからない。
自分ひとりで書いて保管するものなので、特に費用は掛かりません。
・紙とペンと印鑑があれば、手軽に作成できる。
公正証書遺言などと違って、公証人や証人の関与なしで、自分で作成することができます。
・内容を秘密にできる。
誰にも見せずに、ひとりで書いて封筒に入れておけば、内容を知られることはありません。
(3)自筆証書遺言のデメリット
・自書しなければならない。
遺言の書き方は、法律で決まっており、本人が全文を自書しなければなりません。
自書とは、遺言する人が自分の手で書くことです。パソコンで作成したり、他人に代わりに書いてもらっても、その遺言は無効になります。
パソコンで作成したものに、最後本人が署名すれば有効になるか?
→無効です。
本人が全文を自書しなければならないからです。
ただし、平成31年民法改正により、相続財産目録を添付する場合の目録については、自書する必要がなくなりました。
長い文章を書くことが難しい方には、この方法は向いていないかもしれません。
・法律上、形式が決まっており、形式の不備によって無効になるリスクがある。
法律上、遺言の書き方のみならず、加除訂正の仕方についても、厳しい形式が定められています。
・紛失や破棄、未発見のリスクがある。
自分で保管しなければなりませんので、紛失や火事で焼失などのリスクがあります。
したがって、保管の方法には工夫が必要です。
また、厳重に保管したために、かえって発見されないまま相続手続きをしてしまったり、相続手続きが終わった後に、遺言書が発見されるということが起こる可能性があります。
・死後、家庭裁判所の検認手続きが必要になる。
家庭裁判所の検認とは、「家庭裁判所において遺言書を開封し、裁判官が遺言書原本を確認し、遺言内容を相続人に知らせて、遺言書の偽造・変造を防止するための手続き」です。
この手続きには、1~2か月かかるため、すぐに遺言執行に取り掛かることが難しくなります。
また、不動産や金融機関で相続手続きをする際には、検認証明書を添付する必要があります。
2.自筆証書遺言—遺言書法務局保管制度を利用する場合
(1)遺言書法務局保管制度とは
従来の自筆証書遺言の問題点である遺言書の紛失、偽造、変造、破棄、厳重に保管したためにかえって発見されないということを防止するために、法務局に対して、自筆証書遺言書を保管してもらう制度を言います。
・保管できる遺言の種類は、自筆証書遺言のみです。
・遺言書の保管は、管轄の法務局に対して申請します。
(2)自筆証書遺言の法務局保管制度のメリット
・保管手数料が安い。
保管申請手数料は、3,900円です。
・紛失や破棄、未発見の心配がない。
法務局において保管されるため、紛失することはありません。
また、お亡くなりになった方が、生前に遺言書を保管していたかどうか、照会することができますので、未発見の心配はありません。
・家庭裁判所の検認手続きが要らない。
法務局で保管されている遺言書については、偽造・変造の心配はありませんので、自筆証書遺言でありますが、検認手続きが不要になります。
遺言書情報証明書を取得すれば、相続手続きにとりかかることができます。
(3)自筆証書遺言の法務局保管制度のデメリット
・自書しなければならない。
これは、自筆証書遺言の場合と変わりません。
・法務局に本人が行く必要がある。
保管申請は、管轄を有する法務局に対し、遺言する人本人が自ら出向いておこなう必要があります。
本人に代わって親族が申請することはできません。(代理申請できない)
郵送で申請することはできません。
したがって、本人が法務局に行くことが出来ない場合は、この制度を利用することはできません。
・保管申請するまでに手間と時間がかかる。
自筆証書遺言特有の形式上の要件に加えて、保管申請をおこなうために遺言書の用紙や記載事項などの要件を満たす必要があります。また、申請には事前予約が必要で、余裕をもっておこなう必要があります。
3.公正証書遺言
(1)公正証書遺言とは
公正証書によって作成する遺言のことをいいます。
公正証書とは、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公の文書のことです。公証人が関与するので、遺言が無効になるリスクや内容に不備があるというリスクは少ないと思います。また、遺言書は、公証役場において保管されます。
(2)公正証書遺言のメリット
・公証人が作成するので、信用度が高い。
公証人が作成するということは、公の文書と言えます。また、証人2名の前で遺言内容を確認しますので、自筆証書遺言よりも、遺言者本人の意思と事実確認について信用性は高いと思います。
・本人が自書しなくて済みます。
公証人が作成しますので、本人が自書する必要はありません。
ただし、原則として、署名(サイン)は必要ですが、文字が書けない人でも利用できるように、サインを省略することも可能です。
・紛失や破棄のリスクがない。
公正証書遺言は、公証役場において厳重に保管されますので、紛失・破棄の心配はありません。
・家庭裁判所の検認手続きが要らない。
遺言作成時に、公証人が作成し関与しているので、偽造・変造の心配はありませんので、検認手続きは不要です。
したがって、すぐに相続手続きにとりかかることができます。
・公証役場に行かずに、出張してもらうことが可能です。
病気を患っている方など公証役場に行くことが困難な人のために、公証人に自宅や病院まで来ていただいて、遺言を作成することができます。
前記の法務局保管制度では、これは出来ませんが、公正証書の場合は可能です。
ただし、出張費として、費用がかかります。
(3)公正証書遺言のデメリット
・コストがかかる。
公証役場に支払う遺言書作成手数料がかかります。
費用は、遺言をする財産額や遺言内容によって変わりますが、数万円から数十万円になります。
・証人2名が必要です。
推定相続人など近しい親族以外の方で、証人として2名必要になります。そのような方がいない場合には、公証役場が証人を手配してもらえます。(費用はかかります)
なお、弊所にご依頼いただく場合は、証人手配の心配はありません。
・遺言内容が公証人と証人に分かってしまう。
遺言は、公証人が作成し、その内容を証人に読み聞かせることになりますので、関与する方には、遺言の内容が知られてしまうことになります。
この点、公証人には守秘義務がありますので問題ないと思います。
証人については、だれを証人にするか、慎重に選定することで漏えいのリスクは低くなるかと思います。
4.結局は、公正証書遺言がおすすめ!
以上、それぞれのメリット・デメリットに触れてきましたが、私のおすすめは公正証書遺言です。
遺言を作成する大きなメリットは、相続手続きを円滑に進めることと思います。
確かに他に比べて費用はかかりますが、せっかく作った遺言が無効になってしまうリスクを最小限に減らせることができ、本人がお亡くなりになった後、スムーズに相続手続きを進められるからです。
ぜひご検討してみてください。
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