見出し画像

僕たちはこうしてフリーランスを選んだ。~2人のエンジニアからひも解く「フリーランス」とは~

1月20日、billage OSAKA内にて株式会社div主催の「Freelance Engineer Conference in Osaka Vol.5 - 未経験から稼げるフリーランスエンジニアになるための最短ステップ -」が開催されました。

このイベントbillage OSAKAで定期的に開催されているもので、これからフリーランスエンジニアになりたい方や、まだなって間もない方などを対象に、現役でフリーランスエンジニアとして働く方にお話を伺えるイベントです。

▶前回のイベントレポートはこちらから


今回の登壇者はこちらの3名。

渡辺 慎也さん(株式会社div TECH::CAMP梅田校)
中尾 信也さん(フリーランスエンジニア)
松本 孝行さん(株式会社セカンドチャンス代表)

以上の方々です。

(左が松本さん、右が中尾さん)

余談ですが、登壇いただいた中尾さんはbillage OSAKAの会員様でもあります!


参加者の皆さんは過去開催した中でもエンジニアの方が比較的多い会となりました。

さて、質疑応答も交えながらの今回のカンファレンス。まずはお二人の経緯を交えながら自己紹介をしていただきました。


自己紹介

中尾さんはエンジニアを目指し高校、大学とも情報系の学科を出て一度新卒で就職をしましたが、一年で退職しました。その後はプログラマーのアルバイトをしながら各所を転々としていましたが、なかなかうまくいきません。

中尾さん
「25歳くらいの時に自営業(フリーランス)をやろうかなと思い、自分でやってみました。しかし、仕事はあるものの案件が安定して入ってこず…。その後悪い大人に騙されて(笑)サラリーマンに一度戻りました。
でも、1人でやっているときの方が楽しいな、と思い、今はフリーランス2年目としてやっています。20代はサラリーマンかフリーランスか迷いながら働いていましたが、『困ったらサラリーマンに戻ればいいか』と思いながら、今は気楽にやっていますね。」

サラリーマン経験もあり、また現在はフリーランスで働いているので、両方の視点からのお話と、今はbillage OSAKAや自宅でリモートワークをされているので、ワークスタイルに関してもお話をしていただけました。


一方、松本さんは今はフリーランスの仕事ではなく会社の仕事を中心にされています。

2006年に経済学部を卒業し、営業職で就職。中小企業、商社で働いていましたが、そこでもホームページ等を担当されていました。

松本さん
「当時働いていた商社が会社統合する、というタイミングで会社をやめました。25歳の時にフリーランスになって…。僕は当時はホームページを少し作れる、くらいのレベルだったので、アルバイトなどをしながら生活していましたね。2年くらいしてからSEOやランディングページ、リスティングで稼げるようになってきました。一人食べれるくらいですが(笑)」

今は会社を立ち上げ、発達障害の子供にプログラミングを教える教室をされています。



パネルディスカッション

ここからは「仕事」「キャリア」「お金」「スキル」という4つのテーマを軸にトークをしていきました。

まずは「仕事」について。過去のイベントでよく聞かれる質問をお二人に投げてみました。

”フリーランスと聞くと時間や場所に縛られないで働けることが魅力とよく聞きますが、お二人のスケジュールはどんなものなのでしょうか?”

という質問。確かに、フリーランスというと、時間が自由に使えるイメージはありますが…。


松本さん
「僕は発達障害の子供向けの教室もしているのでそちらにも行っているのですが、6:30から起きて速攻でRSSのリーダーを見て情報収集をするのが日課になっています。そのあとに、サイト制作の案件をいくつか空いている時間を利用して取り組みます。子供たちが来たら教えて…。という感じになっています。なので、労働時間としては少し長くなっていますね。6:30から始めているので…。でもそんなにしんどいと思ったことはありません。
8:30くらいには教室に行き、子供たちが来るまで準備と仕事をして、2、3時間子供に教えたあとは、19:00くらいに終わって帰ります。」

中尾さん
「めっちゃ規則正しいですね(笑)」

松本さん
「そうですね!実は朝派なんです(笑)」

中尾さん
「僕は全く逆で、僕は寝たいだけ寝て、起きたいときに起きています。やることをきちんとやっていればいいよ、という契約先の方が多いので…。
10:00くらいまで寝て、billage OSAKAに昼くらいに来て、気が乗らなかったら4時間くらい仕事をしてもう帰る、みたいなことをしています(笑)
仕事がある時はあるし、ない時はない。仕事がない時は勉強に思いっきり時間を使ったり、本気を出すのは1日2~3時間だけにして、ということもあります。
開発案件が回ってきたときは早めに納品して楽に楽に…、と注意していたりもします。」

中尾さん、billage OSAKAのいいところまでお話しいただきました…!ありがとうございます!

中尾さん
「こういうbillage OSAKAみたいなコワーキングスペースにいるといいところは、勝手に仲間ができることですね。僕は腰痛持ちなんですけど、それを予防したくてジョギング部を立ち上げたんです。みんなで集まって、着替えて、ここから8kmくらい走って…というのを毎週しています。
タイミングが合えば飲み会に行ったり…。そんな感じで仕事しています。」

松本さん
「Web制作の人でも大阪で有名な人がいるんですけど、その人も夜の2:00から仕事を始めて気持ちが乗ってくるのが朝の5:00だって言ってましたね。そういう人もWeb系にはいっぱいいますね。」

中尾さん
「変な人いっぱいいますからね。」

松本さん
「いっぱいいますね(笑)そういう意味では、僕はサラリーマン気質なのかもしれないですね。」

中尾さん
「すごいですね…。僕、元旦に『早寝早起き』って習字で書いたんですけど、1月7日には破れましたね(笑)」

松本さん
「無理はあかんですよ(笑)合ってる合わないありますし。」

中尾さん
「そうですね~。マイペースができるところはフリーランスのいいところですね。」

渡辺さん
「でも!期限は絶対に守る、みたいな…。」

中尾さん・松本さん
「それは当然ですね!」

渡辺さん
「何日前までには絶対終わらせる、とにかく早く終わらせる、みたいな意識していることってありますか?」

中尾さん
「『すみません、ちょっと間に合いません…!』で何とかなるときもあります。ものによりますけど…(笑)事情を説明すればわかってくれる時もあるので、その時その時です。
でも、人並み以上にお金をもらって、成果主義を意識してやっているので、そういう意味ではちゃんとやろうという意思は一応あります!」


2人の生活リズムはまったく違っていて、これだけでも、フリーランスにもいろいろな働き方があることがわかりました。


”企業で働いていてよかったなと思うことは何でしょうか。大卒でいきなりフリーランスってどうなんですか?”

続いての質問は「キャリア」に関する質問。お二人とも企業で働いたことがある、ということで話を伺ってみました。

中尾さん
「正直社会のことなんて知らなかったので、企業で働いて『社会でお金が回る仕組み』が勉強できてよかったと思います。
最初はまあまあ大きな会社にいたんですが、自分でご飯を食べていきたいと思ったので、ベンチャーに転職して、目に見える範囲のお金の回り方や営業について勉強できたので、小さい会社にいることにもメリットはあると思いました。」

渡辺さん
「スキルという面で企業に勤める、というのはどうなんでしょうか。」

中尾さん
「これは独断と偏見なんですけど、スキルは中小企業の方が高いな、と思うことがあります。大企業で人海戦術でやっている人たちはそこまで…。と思います。逆に小さい会社だとCTOのバリバリエンジニア!みたいな人のすぐそばで働けたりするので、すごい人を見つけたらその人についていく、というのもありだと思います。非常に勉強になります。」

渡辺さん
「将来的にフリーランスになりたい、という人がまずは小さい会社でエンジニアとして働く、というのも悪い選択ではない?」

中尾さん
「いきなりフリーランスもなしではないと思いますが、一度会社をはさむのもいいと思います。
会社だったらどんなにへっぽこでも給料は出ますし、社会保険もありますし、かつスキルもくれるんです。フリーランスだとできると思われて仕事が降られるので、育つ、という点では企業はいいと思います。」

松本さんはどうでしょうか。

松本さん
「僕は商社の営業と中小企業のルート営業として働いていたので、ホームページやWebの技術をそこで身に着けたわけではないのですが、大きなビジネスの流れを知るんだったら圧倒的に会社に入った方がいいです。
特に、大きい会社に入っておいた方がいいと思います。大きなお金が動くスケールは感じておいた方がいいかと。フリーランスになると10万~20万(いっても数千万)なので、億単位の仕事は一度経験しておくといいと思います。」

渡辺さん
「いきなりフリーランス!と早まらないほうがいい?」

松本さん
「フリーランスをしてから会社に入ってもいいし、会社に入ってフリーランスになるのもどっちでもいいとは思いますが、日本の雇用環境的にはフリーランスから大企業、というのは難しいので、新卒というカードは上手に活用したほうがいいですね。」

中尾さん
「最近は、副業がOKな大企業が増えてきたので、副業でフリーランスという働き方もありますよね。大企業だと本業の社名で副業の仕事につながる、みたいなこともあったりとかするようですし…。そういう働き方も増えてきましたよね。」

渡辺さん
「どういう生活をしたいかを考えることが大事ですね。どういうキャリアを積みたいか、など…。」

中尾さん
「まあ、何とかなりますよ(笑)」


会社で働くことで得られること、フリーランスだからこそいいこと、副業として働くことによる恩恵…。いろいろとメリットもデメリットもあるんですね。


”給料が上がったきっかけは?”

次はぶっちゃけて、「お金」の話を。こういうスキルが身についたら、こういう人脈ができたらお金が稼げるようになった、というエピソードはあるでしょうか。

中尾さん
「僕の場合は、営業に困ったことはありませんでした。
もともとベンチャーにいたときの話ですが、ECサイトのカンファレンスのイベントに行って『仕事をください』と話をしていたら、2案件ほど仕事をいただけました。そういうのもありだと思います。最初は仕事には困りませんでした。
だけど、お金のことや契約のことに無頓着で、納品したのに入金してくれない、というようなトラブルはありましたね…。いろいろな意味で自己責任が大きいですね。
あとは、昔の会社の同僚に仕事をもらう、というフリーランスも多いと思います。いい仕事をもらえた時もありました。」

松本さん
「営業職出身だったので、横のつながりはほとんどありませんでした。交流会やイベントにいろいろと顔を出したりはしました。ひとつ成功したのはとある広告代理店からの仕事でサテライトサイトを作成したのですが、その広告代理店がメキメキ成長して、2年ほどその会社が自分の仕事の幹になったということがありましたね。なので、代理店をひとつ捕まえておくと安定する、ということがあります。
逆に言うと、代理店なのでお金の方で不満が出てくることもあります。安定感、という点では代理店は一番良かったですね。
このサテライトサイト作成の仕事を通じてSEOやライティング、リスティングなどの勉強ができました。すると、講演に呼ばれたり、コンサルティングの仕事が入ったりしたので、一時期ゴールドカードは持っていましたね。今は持っていません(笑)」

渡辺さん
「イベントに行くって大事ですよね。」

松本さん
「僕はイベントで仲良くなった人から仕事をもらうことがたくさんありました。周りの人に『これしてほしい』といわれる環境というのはとても幸せだと思います。気に入らないからやらない!なんて言っていると仕事はどんどん来なくなります。自分も少しおごっていた時があって、今になって振り返るとバカだったなと思います。」


”最初に何を勉強しましたか?最初に勉強するなら何をすればいいでしょうか?”

「スキル」の話。お二人が勉強を始めたのは10年ほど前なので、今と環境が違うかもしれませんが、共通点もきっとあるかと思います。

中尾さん
「勉強という点では、それこそTECH::EXPERTさんとか、昔と比較するとすごく環境がよくなりましたよね。無料勉強サイトもありますし。ありがたい時代になりました。」

松本さん
「昔はありませんでしたよね?」

中尾さん
「ありませんでした。」

松本さん
「気軽に学べるというのは本当にいいですよね。」

渡辺さん
「では、お二人は最初何をしてたんですか?」

松本さん
「僕は基本独学ですね。本を買って、アルファブロガーの人たちの紹介しているものを全部見ていくなど、そういうところで勉強していくしかなかったので…。」

中尾さん
「僕も独学は独学ですね。だけど一番勉強になるのは『お金もらって勉強すること』ですね。払ってではなく。仕事としてお金をもらうとマジになるので、一番身につきます。お金をもらう側になることが必要ですよね。なので最初にはったりが必要ですね(笑)『出来ます!』って(笑)」

松本さん
「僕とは逆ですね…。変なプライドをもって仕事を断っていたら、どんどん任されなくなります。そうではなくて、積極的に仕事を引き受けていけば、勉強にもなり、実績もついて、一石二鳥ですよね。」

ここで中尾さん、このイベントに際してなんと企業の採用担当者の人に事前にお話を伺ってきたそうです。

中尾さん
「『採用するならどんな人がいいですか?』って質問をしたんです。そうしたら、すごくスキルが高い、というのは最初は求めないそうですよ。仕事を一生懸命している姿が想像できる人、また、自分でも想像できている人を採用したいんだそうです。会社の雰囲気や先輩社員のこと、オフィスのこと、どんな案件が会社で発生するかなどをよく調べて面接に臨んでいる人は、ウチで働いてもらおう、というマインドになるそうです。」

松本さん
「僕の知り合いの社長なんかも、やる気のないような子はやっぱりだめで、スキルなんて全然ない若い人でも、社内で勉強会など積極的に参加しているのを見ると、どんどん評価は高くなっていきますね。だからこそ採用した、という感じもあります。」

渡辺さん
「もし25、26才くらいでエンジニアで転職しよう、と考えているなら、スキルも大事ですが、それ以上に社会人としてのスキル、またやる気等も採用担当者の人はみているので、そこは勘違いしないでほしいところですね。」


"フリーランスの特徴的、必然的なスキル(技術以外も含めて)は何ですか?”

「スキル」の話から派生して、プログラミングのスキルもそうですが、フリーランスとして働くうえで何か他に大切なスキルはあるのでしょうか。

中尾さん
「僕は正直…。みなさんお気づきかもしれませんが、そんなに技術は高くありません。自負しています。就職するときはプログラミング能力に関して本刀を振り回すんですが、いざ入った後は脇差を振り回しているんです。その脇差が何なのかというと、ディレクターが取りこぼしたものをつついていました(笑)ディレクターは忙しいので…。そういうのはとてもありがたがられましたね。
それが結構大切だと思います。」

渡辺さん
「そういうときの言葉遣いやコミュニケーションで気を付けていることはありますか?」

中尾さん
「僕はリモートなので、基本的にslackです。直接言ったり電話などはほとんどありません。直接会ったときに雑談をして関係を築く、ということはしていますが…。そのくらいですかね。後は飲み会はノリよく参加することですかね!仕事、というより僕が好きなだけなんですけど(笑)」

松本さん
「そういうところは確かにありますね。フリーランスは一人なので、営業も広報もお金の回収、請求も自分でしないといけないというのがありますから…。会社だと、そういう飲み会は営業の人が行ってニコニコしてくれていたんでしょうけど、それも自分でしなくてはならないですから。
ぼく個人としてはフリーランスをずっとやってきて助かったなと思うのは、割り切って考える、ということができたのはよかったなと思います。会社に入っていたら何もしなくても給料がもらえるけれど、フリーランスになるともらえないことっていうのも当たり前で、そういうことに関して『何とかなるさ!』という気楽な気持ちを持てないと、正直フリーランスは向かないのかな、と思います。僕はそういう意味で適当に生きていたので功を奏したのかな、と思います。」

渡辺さん
「『何とかなるさ!』という気持ちはやはり大事ですか。」

中尾さん
「なりますよ!大事です。」

松本さん
「何とかなりますよ。仕事ないな~と思っているときに仕事が舞い込んだり、ふいにご飯に連れて行ってもらえたり。そういうこともあるので、何とかなります。」

中尾さん
「僕は前職の時、社内SEみたいな仕事をしていたのですが、社内では浮いていました。なんやかんやあって自信を取り戻して、今こうして仕事していますが、今、例えば苦しい立場にあったとしても、それってたまたまじゃないかな、と思います。エンジニアは技術というのがわかりやすい指標なんですよね。だから自分に自信がつきますし、お金として換算されたりして自己肯定できるので、何とかなるさ、という感じですね。」



最後に質疑応答を参加者の皆さんから募り、イベントは終了しました。

終始とても楽しい雰囲気で、でもしっかりとお二人の考えやこれまでの働き方などを伺えた1時間半でした。

フリーランスで働くためには技術だけではなく、価値観や考え方など、重要なことがたくさんあるんですね。



前回のイベントレポートはこちらから


株式会社divさんのホームページ



billage OSAKAはこれからもこのようなイベントを随時開催していきます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?