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サステナビリティと石の世界

この「店主その他」日記で、ゆっくりと進めて行く、と言っていたショップ&サロン、オフィス全体の配置換え、再編成。その後、程なくして「閉店します」宣言をしたことで、少なからず驚かせてしまって、「来年春に向けて」と、店主の気持ちの上ではゆっくりと・・でしたが、閉店セールに入った事もあって「ご注文が殺到しています」。

そう、20年前に起業してから、何度か目にしたこの言葉。自分が愛用させて貰っている雑貨店さんが、日本でそこしか取り扱っていない商品がテレビで紹介されたという時や、最近だとアロマ系の商品が、Youtuberの方の発言がキッカケで完売した時に卸元業者さんから聞いていましたが・・

「ご注文が殺到しています。出荷はしばらくお待ちを!」・・・と、ショップをやっていて、一度、言ってみたいものだわあ、と、思って来ました。

夢が叶いました(笑)!
もちろん、これまでのショップ歴20年の中で、小規模に殺到することはありますよ、セールの時など。けれども、規模が全く違う。ありがたい事です。梱包作業の連続で、両腕が筋肉痛なんです。こんなの初めて(笑)。

本当に可愛い良い子たちばかりの石たち、どうしてお嫁に行かずに何年も残っているんだろう、というおすすめのクリスタルたちが、次々と送り出されていく。

温かいお言葉も日々受け取って、じんわりと「ああ、閉店するのだな」という実感が湧いています。20年、写真を撮り、文章を書き、梱包し、出荷して、仕入れをして、を繰り返して。引越しが多かったため、自宅内の時もあれば、借りた部屋もあり、新しい自宅に移ったり、また新しいオフィスに移動したり、と。

開店当時に3歳だったうちの若大将が、23歳ですからね。時の流れを感じます。お店をやるなんて思ってもみなかったのに、動き出せたのも、続けてこれたのも、そのような事情(ひとり親であった)もありつつ。やはり石に触れていて、日々、石と語らって、幸せだったからだろうと思います。そしてもちろん、私と同じように石が大好きな方々に、支えて頂いてここまで。

お店の形態として、最初(2004~)は「自然の癒しの力」がテーマで、ヒーリンググッズ、自然派生活雑貨、そして天然石、を取り扱い。2009年に作り替えてからは天然石、それも質の良いものにこだわって・・その時からの店舗名が今の Lumiere Blanche。

2020年、パンデミックもきっかけに。自身も二足のわらじだったヒーラー仕事をほぼ引退したところだったので、手間のかかる雑貨でも再び取り扱えるだろうということになり(助っ人のスタッフさんも一時的に居てくれたので)、引退したヒーラーに相応しい?石だけではなく生活全般、ライフスタイルごと、周波数を高めて清めていきましょうというメッセージを添えて、雑貨類を取り入れてショップを再編。

けれどもまた新しい流れが来ている。今起きていることに関して、全体像が見えて、言葉で語ることが出来るのは、きっと数年後、なのだろうなと思います。さて、前置き(だったのか・・)が長くなりましたが。

今朝、BBCを見ていたら、インドの宝石業者が人口ダイヤの生産、普及に乗り出したという話。理由は、サステナビリティから。ダイヤの採掘は自然破壊であるという概念がすでに広がりつつあるようで、そこの会社は大々的に人工ダイヤを天然ダイヤの代替品として加工し販売し始めた、とのこと。業界全体でいずれ、人工製品が取って変わるだろうというお話。

その会社は、100%太陽光発電の工場を大規模に構えて、サステナブルなビジネスに切り替えた、という。数年前から、実はこの、石の世界のサステナビリティに関して、非常に気にかかっていたのです。

自然界から切り出して取って来る訳だけど、石を愛する者としては、その全てが「環境破壊」であるとは思わず、石もまた、世に出るタイミングを待っているという事も信じている。けれども、環境もそうだし、児童労働の可能性や、現場の労働者の権利は守られているのか、どうなんだろうか、と。

もう既に、どこかで話題になっていたり、石業界、日本でも、何らかの活動を起こしている、問題提起をしている人たちが居るかもしれないけど。私は余り、というかほぼ全く同業者さんのショップ等をチェックすることもなく、あちこちの展示会を積極的に歩くというほうではないので、単に知らないだけかもしれないですね..。

自分もさんざん石を集めて来て、いつも頭の片隅にありつつ・・自然の中で眠っていた、静かな時を過ごしていた石たちの眠りを覚ますことの功罪を時折考えつつ。ここまで来てしまった。数年前にオーガニックや自然派アイテムの取り扱いを再開して、以前の最初のショップを開いた時代とは、比べものにならないほどの、社会におけるSDGsの概念・感性の普及の中で、そのうちに、石の業界も単に、私たちが欲しいから、というだけの考え方では、ダメですよ、という動きが来るのだろうな。と思って来ました。

インドの宝飾産業はきっと伝統産業であろうと思う。自分たちの為に人工にするのではなく、サステナブルの観点から、もう天然ダイヤを求めるのを止めようという意識を持って、事業を作り変える人々が既に出ているそうだ。

ダイヤのような宝飾品と、スピリチュアルな要素を含む天然石ではまた事情が違うので、人工物が取って変わる、というのはこちらの業界では不可能な話だけど・・採掘や流通、その国を出るまでの経緯について、思い巡らすのはこれから必要になってくるかも。特に、ご利益主義のモノ(物質)、としてのパワーストーンは、時代的に難しくなっていくのではないでしょうか。

業界としてはきっと、わざわざ大地から取り出されても、廃棄されている石、鉱物もたくさんあるのだろうし。現地で採掘するのは、労働者が家族ぐるみで、なんていう話も聞いた事があるけど、搾取されたりしていないのだろうか。などなど。SDGsの波は、あらゆる事業にこれから、問題提起と、作り替えの刺激を、与えて来ることになりそうです。

今ある石たちを大切にしていこうと思うのと、閉店まであと半年?、在庫石たちを心を込めて、送り出していこうと、改めて思った今朝でした。

いつもありがとうございます