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あなたの健康常識は間違っている:食事・運動、生活習慣、予防法 市岡進(著)

「医者でも学者でもない私が、えらそうな題で健康を論ずるのはまことにせんえつですが、そうした私の体験と観察からの健康論を『健康常識』の検証を通じて書いてみました。 私がこの書で述べていることの中には、“実感”に基づくものもあります。実感ですから、必ずしも科学的にただしいものではないこともあるかもしれません。しかし、“科学的”なはずの医学や栄養学の『定説』がどんどん変わっています。私は、健康を理解する上で大切なことは、自らの生活と健康の関係を、『健康常識』を鵜呑みにせず自分自身の体調に照らし観察することだと思っています。この書が、健康を考える上で参考になれば幸いです。」(本書「まえがき」より)

【著者プロフィール】 市岡 進(いちおか・すすむ) 昭和18年、長野県生まれ。 東京都立大学卒業。 昭和42年静岡県職員となり、東部健康福祉センター長寿社会課長(原本発行時)。

『間違いだらけの健康常識』の出版に寄せて

(財)しずおか健康長寿財団顧問

東京大学・東北大学・静岡県立大学 名誉教授

     医学博士     星  猛

 このたび市岡さんの『間違いだらけの健康常識』が一冊の本となり出版されることになりましたことはまことに喜ばしいことと存じております。昨今、健康法・健康論を説いた本は数多く出版されており、その内容も様々ですが、本書は幾つかの点でユニークな特徴を持った健康論であり、世の多くの人のためになる有益な本であると思いますので、出版の運びになりましたことを心より喜んでおります。

 市岡さんは、静岡県職員として永く勤務され、保健衛生部(現・健康福祉部)で健康づくりの業務に携わっておられた時仕事を通じて知り合いましたが、氏は、一般に流布されている健康法や健康常識に多くの疑問を感じ、自分の体験と観察を通して独自の考え方をまとめられたのが本書であります。

 氏は、医学や栄養学の専門家ではありませんが、自ら健康法を考察し、自分の生活に応用し、体験を通してその考えを検証してこられました。健康の維持は自己責任に負うところが大ですが、健康法は十分に納得した上で自分の生活に取り入れることが重要です。本書はその一つのモデルを示したものといえます。

 本書の内容は、一種の養生訓に属するものになっております。養生訓は、基本的な思想がしっかりしていることと、全体にその思想が貫かれていることが重要です。例えば貝原益軒の『養生訓』は、しっかりした生命観が貫かれております。その中の養生の術について、〝安閑無事たるを専らとせず、つとめるべきことを良く勤め、身を動かし気を巡らすことを良しとする。つねに安座すべからず〟と述べているが、基本的には体内の代謝も常に流れ動いているものであるので、〝流水は腐らず、戸枢(こすい)(注 開き戸の軸のこと)は朽ちざる如し。動くものは長久なり〟という基本理念で貫かれています。

 本書の場合、著者は、若い頃断食療法を体験して、人間の自然治癒力を超自然的に働かせる方法としての断食療法の効力とその考え方に共感し、自らの体験を重ね、それを基に、現代人の不健康の最大の原因は安楽飽食にあり、そうした生活を改めることを健康法の基本理念として抱くように至ったと思われますが、本書の内容も、その基本理念が貫かれています。また、世の中の健康常識とされているものの中には著者の基本理念からすると疑問を抱かせるものも少なくないことを指摘していますが、なるほどとうなずけるところも多いと思います。

 高齢長寿社会になると、多くの人々の最も強い関心事は健康問題です。老人クラブや老人の集まるサロンなどで、本書を中心とした話し合いができ、一人ひとりが自分の生活と健康の問題を考える機会が増えることを期待したいものです。

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