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書こうと思った理由

妊娠36週2日、2654グラム、48センチの女の子を生んで一年になります。「伶果」と名付けたこの子は、息をすることなくお空へ帰ってしまったので、正式には戸籍にも乗っていません。

伶果が白いお骨となって帰ってきた日の夜、眠れないベッドの中で私がしたことは、ネットで「臨月 死産」を検索することでした。ERで「心臓が止まっています」と言われたときから、ずっとフワフワした中にいて現実ではないような、パラレルワールドに飛び込んだようでした。

でも一方で、「自分は今、どういうところにいるのだろう。これはよくあることなのだろうか。」とやけに冷静な自分もいて、どこかで他人事のように、今の自分の精神状態の分析をしました。

人はショック状態からどうやって立ち直っていくのだろうか。心に蓋をしてしまうのは、なんとなく将来に良くない気がしました。アンガーマネジメントのような心理療法があるのではないか。悲しみをコントロールする方法があるのではないか。どのように向き合っていけばいいのか。何年経ったら癒されるのだろうか。きっと私を同じような思いをした人が他にもたくさんいるだろうから、どんなふうに気持ちが変化していくのかネットの中を探しました。

そして、悲しみにプロセスがあることを知りました。死産した家族へのケア「グリーフケア」という言葉を知りました。病院のスタッフのみなさんが、いかに適切に対応してくださったか分かり、改めて感謝しました。

当時の気持ちを記録するとともに、心の変化を共有し、今、同じようなことで苦しんでいる方がいたら、「あなただけじゃないよ」「ひとりじゃないよ」ということが伝わればいいなと思い、書くことにしました。

私も、死産した直後は、眠れぬ夜に何度も、「死産」と検索し、どうしたらこの悲しみが消えるのか、これから私はどうなってしまうのか、その答えを探してネットの中をさまよい、その中で「天使ママ」という言葉を知りました。
「私はちゃんとあの子のママになれなかった。みんな普通に出産しているのに、私にはできなかった」と感じていたので「天使ママ」というカテゴライズに自分と同じような思いをしたママたちがいるのだと感じ、一筋の光でした。

この先は、死産に関するつらい記述もでてきます。読みたくない方は、どうぞ閉じてください。特に、妊娠中の方にとっては、不安になる内容だと思うので、「ちょっとでも異変を感じたら、すぐに病院へ行ってください!なんでもないなら、それでいいのだから、いつもと違う張りや痛みは、がまんせずに、すぐに病院へ!」・・・これだけを強くお伝えし、この先はご覧にならない方がよいかもしれません。

あまり知られていないことですが、一般的に安定期と言われるのは妊娠16週を過ぎても100人に1人はお腹の中で赤ちゃんを亡くしています。
私のように、それまでの検診でも何も異常はなく、「順調」と言われていて、いわゆる臨月に入って、赤ちゃんに外の世界で生きていけるだけの機能も備わって、あとはもう、いつ生まれてもおかしくないという時期でも、原因不明で亡くなってしまうことがあるのです。

私がこれを書こうと思ったもう一つの理由として、確率的にはとても少ないけれど、こんなことも起こりうるのだということを知ってほしい、という想いもあります。「妊娠は病気じゃない」と人から言われたり、自分に言い聞かせて無理をしてしまうことで、本当に一つの命を消してしまうことになりかねない、ということを知ってほしいです。
「あと一時間早く、病院へ行っていたら」と私はこの先死ぬまで後悔するでしょう。

そして、この記事にたどり着いてくれた、同じ体験をした方へ。
あなただけじゃないよ」ということを伝えたいです。
辛くて眠れない夜でしょうか。ふと一人になったときでしょうか。ここまでたどり着いてくれてありがとうございます。辛かったね、悲しいね。泣きたいときは泣いていい。きっと何年経っても忘れられることはないです。抱きしめた赤ちゃんを棺に入れて、小さな手を放して、最後にお別れをした日のこと。火葬場で泣き崩れたこと。

なのに、そこから一年経って、私は笑って暮らしています。ここまでの気持ちの変化を記録して、発信することで、この記事が後世に残り、「どんな命も奇跡なんだ」ということを少しでも伝えられたらいいなと思います。

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自分の経験をこうして書き記すことは、私自身の癒しにもなります。

ただ、多くの方に届いてほしいと思う一方で、とてもプライベートな事柄なので、不特定多数の方の目に触れることにも多少の抵抗があります。そのため、この先の記事、出産前日から産後1か月までの振り返りについては、有料noteに執筆します。決して、プライベートの切り売りでお金儲けをしようという趣旨ではないことをご理解いただけますと幸いです。そのうえで、これまで私のことを心配してくださった皆様や、私に興味を持ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ読んでいただき、私のことや天使ママのことを、もっと知っていただくきっかけになればうれしいです。

娘への手紙

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