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伶果と過ごした36週2日と78時間43分(7)

<出産4日目>
明け方、まだ薄暗い中、蝉が一匹、鳴きだした。徐々に明るくなる空と、次第に重なる蝉の声。それにつられるように、伶ちゃんの胸元のお花も再び開いてきた。なんだ、冷たくてしぼんだんじゃなかったんだ。切り花でも、朝が来ればまた開くのに、伶ちゃんは起きることはない。伶ちゃんと迎える最後の朝。

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