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PP503ラウンドチェア・ザチェア/ハンスJ・ウェグナー<PPモブラー編>

PPモブラーの事
デンマーク家具のゴールデンエイジと言えばやはり1950年代、いわゆるミッドセンチュリー期。当時フィンユールやウェグナーなどの家具製作の下請けだった工房が現在のPPモブラー(当時は名もない一工房)。そこから約半世紀、技術の蓄積が身を結びウェグナーの強い後押しも手伝い、当時ウェグナーのほとんどの家具を製作していたヨハネスハンセン社の衰退を機にほとんどのライセンスを引き継ぐ形で1990年代前半下請け工場からメーカーとなったのです。今現在大手北欧メーカーがのどかから手が出るほど欲しがる技術とブランド力をもった工員30数名の小さな小さな家具メーカーです。

材料
PPモブラーのこだわりの一つが木材です。品質の50%は木材で決まると言っても過言ではありません。
デンマークの国土の98%は国有林と言われてます。戦時中木製の戦艦をつくる事でのちにさらなる強固な家具の発展へとつながっています。国がしっかりと管理したうえで常に上質な木材が採取可能となってます。

木の話
シェルターウッドと呼ばれています。約100本中に一本、周りの木とは異なった優等生がいます。通常100~120年経った木を伐採し材料として加工されますが、この優等生はその100本を育てる母親的な存在、それがシェルターウッドと呼ばれています。シェルターウッドは200~250年その役割を終えると最上級の木材として生まれ変わります。あまりにも少量でかつ高価な材料なので大手メーカーでは使いこなす事が難しく、極々少量の材料で高品質なモノづくりを目指すPPモブラーにはもってこいの材料なのです。200歳の木となれば直径1mを優に超えます。大きなパーツで構成されてる503は100年そこらの木じゃまだまだ細くて材料にはならず、このシェルターウッド級の存在あって製作できる椅子なのです

一年に数本しか出ないこのシェルターウッドですが、数ある家具メーカーの中から一番先に声がかかるのがPPモブラーなのだとか!「何せ言い値で買ってくれる」。PPモブラーはこの材料が無ければ最高のパフォーマンスをを出せない事を知っているだけに木材業者とは親密な関係性を保っているようです。デンマークの象徴的な木はオーク(ナラ)ですが
ビーチ(ブナ)やアッシュ(タモ)などもあり基本自国の材料を使う事が伝統のようです。
現在はほとんど流通してませんが、ローズウッド、チークやマホガニーなども当時は多く使われたようです。現在はウォールナットやチェリーなど輸入材を使った仕様も存在します。

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PP503オーク/ソープフィニッシュ

つづく「乾燥編」

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