見出し画像

職場で「助けてください!」と言えない4つの理由と対処法

ライターの仕事を大きく分類すると、次の4つらしい。
らしい、と控えめにいったのは、専業になってまもなく、わかったような口を聞けるほど経験がないからである。

①取材行為
②構成の作成
③本文の執筆
④推敲

①取材行為がなくて、特定のテーマを○○文字の記事を書いてください、と指定されるケースも多い。なので、必須の作業は②から④になる。

慣れていないせいか、どうも「構成の作成」と「本文の執筆」と「推敲」の間を置かないと、はかどらない。単純に体力がないだけなのかもしれない。

なので、クライエント様には、なるべく迷惑をかけないように「希望納期に間にあいそうにない」「イメージされている文章構成だと(ぼくの力不足で)自然に仕上がらない」など、前広に相談して、対応不可をお伝えする。

納期間近になって「アカン。こらアカンで!」と気づいて納期をオーバーしたり、見るもおぞましき文章を提出する方が、よっぽど迷惑だからだ。

***

人間としてポンコツなので、当たり前にできないことが多い。サッポロ一番とかチャルメラのような袋麺を自宅でつくろうとして、途中でボーっとしてしまい、袋じゃなく中身の麺をゴミ箱に捨てる、なんてミスをよく起こす。

コンビニで4つ以上のモノが買えず、必ず1つ2つ失念する。対策としてメモを取るのだけど、いざコンビニに向かうときに肝心のメモの持参を忘れたりして、元も子もなくなる。

スーパーでレジの精算をすませて、カゴを手に取ったままスーパーの外に出たりする。エコバックへの荷詰めの工程を忘れるのである。いずれ精算すら忘れそうで自分が怖い。

***

サラリーマン時代の前半、上司や先輩に支援を求めたりピンチを相談できず、結局、残業に付き合ってもらったり、代わりに資料を作ってもらうような失態が多かった。今でも申し訳なく思っています……。

ただ、今思うと、なぜ「助けてください!」とか「ピンチです!」「困ってます!」と言えなかったのだろうか。振り返って考えてみると理由は4つあると思う。

①切り出す時点のストレスを感じたくない
②自分が無能であるとバレたくない
③何が障壁になっているのかを表現できない
④誰に助けを求めたらいいのかわからない

①切り出す時点のストレスを感じたくない

現代の個人主義社会では、オトナたるもの自立して人様に迷惑をかけてはいけない、と教えられている。誰かがはっきり言ったわけではないし、法律に明文化されているわけでもないのに。

この「迷惑」がクセモノで、助けを求めるときに、相手が迷惑なのかすら、わからない。相手に嫌な顔をされるかもしれないという恐れ。そのストレスを予見して、相談を切り出すのをためらってしまう。

②自分が無能であるとバレたくない

発したSOSを上司や先輩が受け取ってくれたとして、「お前、そんなことも知らなかったの?」「いや、半日もあればできるでしょ?」と、己の無能さを指摘されたくない、と思ってしまう。

ここでいう「知らないこと」には、これまでの業務経験上で知ってて当然の事柄での場合もあれば、上司や先輩しか知らない情報の可能性もある。後者の場合は上司や先輩に「悪い。伝えてなかったなー」と逆に謝られることになるのだが。

③何が障壁になっているのかを表現できない

「先輩に日程調整を指示された件なんですけどー、他部署の○○さんがメールしても全然返信がなくてー、電話かけても繋がらなくてー、あげくの果てに席に直接行ってご都合を伺おうとしたら『タバコ吸ってくるわァ』って言ってから2時間帰ってこなくて調整できずに困ってるんです! どうしたらいいですかね!? ぼく、○○さんに嫌われてます!?」

例えば、こんな困りごとを言いたい場面がある。スムーズに言えればいいんだけど、自分の中で感情がもつれて、うまく表現できなかったりする。

・打合せの日程調整という一見、簡単な業務を処理できない情けなさ
・相手のメールも電話も直接の会話にも反応しない態度への苛立ち
・自分が嫌われている(または話を聞くに足らない存在と思われている)と認めたくないプライド

と、このような感情が湧き、意識的または無意識的に、言葉に表現することを避けたいと思ってしまう。

④誰に助けを求めたらいいのかわからない

先輩「あれ、このあいだ頼んだ資料できた?」
ぼく「すいません、まだッス……」
先輩「どこで滞ってんの?」
ぼく「システムからデータを出す方法がわからなくて」
先輩「情報システムに聞いてみて、って言ったじゃん」
ぼく「情シスの誰に聞いていいかわからなくて」
先輩「それなら『情シスの誰に聞いたらいいですか?』って聞いてよ……」
ぼく「すいませんでした(白目)」

大人しめのタイプにありがちだけど、指示を受けたときに不明な点をとっさに質問できず、その後も確認できず、いたずらに時が流れるというケース。

「社会人なんだから、任された仕事を自分の落ち度で止める時点で終わってる」とのお叱りの声が聞こえてきそう。そうですよねー(白目)。

でも、我々ポンコツ側の人間に言わせれば、皆さまの当たり前レベルが高すぎるんですよ。ご理解くださいまし。

***

こんなとき私はどうしてきたか

話の次元が低すぎて、このあとの需要が無さそうだけど、このような無様をどのように克服してきたか、いや、「克服」だと立派に聞こえるので「まだマシ」なレベルにまで、海底深くにうろつく貝のような自分を引き上げたか、を述べてみたい。何の自慢にもならない。

①の対処法:自分の中で相談を切り出す定型文を用意する

なにごとも着手するときには多少のストレス反応が生じる。だから、上司や先輩に相談を切り出す際に使う定型文を事前に用意しておくとよい。枕詞と言ってもいいかも。

「しょーもない相談だと思われるかも知れないんですけど、」
「すいません。悪いご報告なんですけど、」
「あのー。ただの『ご意見伺い』なんですけど、」

こうして一度口を開いてしまえば、説明がおぼつかなくても話を続けざるを得なくなるからだ。
口を開くこともできない切羽詰まった状況なら、先輩を凝視する手もある。

ぼく「…………(無言で先輩を凝視)」
先輩「なんやねん」
ぼく「……いや、何でもないです」
先輩「どうしたんや待ちの表情、やめぇ」

やさしい先輩であれば、後輩の「どうしたんや待ち」の表情に気づいてくれるかもしれない。ただ、基本的に先輩も忙しいはずなので、凝視に気づいてもらう、は奥の手と心得たほうがいい。多用するとめんどくさがられます。

②の対処法:無能と思われることを恐れない

自分の小さなプライドを手放すと、代わりに周囲の支援を得られる。ほんとにポンコツな人は、背伸びせずに積極的に「自分はポンコツでやんす」と吹聴して回った方が生存確率が上がります。

というか、会社は上司・先輩が部下・後輩をフォローしてなんぼであるし、また、自部門で完結しない業務があれば、他部門と協力し合って成し遂げてこそ意味がある。

各人が自己完結できるのであれば、何も一つのオフィスに固まって仕事する必要なんてない。だから、「会社員なんだから周囲に助けてもらって当然」と内心、開き直るくらいの心持ちがよろしいと思う。

③の対処法:相談内容をエピソードトークと考えて準備する

助けを求めたい、SOSを出したいとき、そういう自分の話に好んで向き合いたくないと思う。でも仕事なので、どこが障壁なのか、何がボトルネックなのか、を報告しないといけない。

こういう場合、芸人が語るエピソードトークのように話せばいい。口頭でナチュラルに語れないなら、トークの台本を、ノートや裏紙に手書きすることをオススメする。

というのも、思考のスピードは話すスピードよりも何倍も速いので、思考しながら語ろうとすると、ガードレールにぶつかるように事故って言葉が出なくなる。本筋から脱線してしまうこともある。

その点、手書きは強制的に思考のスピードを落とさざるをえないので、結果として話したい内容がうまくまとまる、そんな経験則があります。

④の対処法:誰が何の担当なのか、得意なのかを把握しておく

少し時間がかかるけれど、職場の中で、誰が何の業務担当なのかを把握しておくと、いざというときに相談先が早く見つかってよい。

業務上、明確に業務を割り当てられていなくても「あの人ってシステムに詳しいよー」など、担当部署じゃなくても詳しい人はいるものだ。

さらに、誰かに助けを求めるのであれば、日ごろ自分が周囲を助けるように心がけるとよい。これは、「なにごとも取引なのであるからして、取引材料を用意しておくべき」みたいな世知辛い話ではない。

誰かの役に立とうと考えていると、自然と相手がどんな仕事を携わっているかわかるようになる。そして、不思議なもので、相手も自分を知ってくれるようになる。相手に関心や注意を向けると、光が反射するように、その相手から関心や注意を向けられるのである。

***

以上、ポンコツが半人前になるために試みていた、恥ずかしくも涙ぐましい努力を挙げてみた。

もしも、ご自身がポンコツではなくても、職場の部下や後輩に「なんかアイツ、助けてくださいとか、SOS出さないんだよなァ」と感じる相手がいれば、その人への理解とともに、助け舟を出す一助となれば幸いであります。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

最後まで読んでいただきありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。 いただきましたサポートは、書籍や芸術などのインプットと自己研鑽に充てて、脳内でより善い創発が生み出されるために大切に使わせていただきます。