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2023年8月のプレイリスト

その月に私が出会った曲(たまに例外あり)の中で特に好きなものをまとめたプレイリストを作っていまして、それを紹介する記事です。

今月は良い感じのプレイリストができたなーと個人的に思っています(ただし、1曲だけ「出会った曲」ではなく、久々に聞いた曲が入ってます)。
良い感じのプレイリストができたことに満足してしまったので、記事の内容が薄いです。



1.ねずみ浄土 / GRAPEVINE

全然新譜でもなんでもないんですが、私が10年くらいバインを追えてない間にめちゃくちゃかっこいい曲が出てました...。

極限まで削ぎ落として余白と奥行きを感じさせる曲。言葉遊びをしてふざけつつも絶対に何かを伝えている歌詞。この絶妙なバランス感覚が本当にツボ。
バインの中でも1番くらいに好きかもしれない。他のミュージシャンを含めてもここ数年で1番かも。

タイトルの「ねずみ浄土」は、昔話のひとつ。地下にある鼠の世界に入り込んで、財宝をもらって帰ってくる、という話。いわゆる「おむすびころりん」のルーツというか異本というか。
実際にもこの歌の歌詞には「おむすびころりん」にまつわるフレーズが出てくる。

おやすみダーリン
お餅は搗けましたか
鼠降臨
葛籠はどっちでしたか
おむすびころりん
私は正直でしたか
オリジナルシンのせい

作詞:田中和将

最初の方の歌詞で「アダムとイブ」と出てくることからすると、「オリジナルシン」は、original sin(原罪)のことだと思うけど、昔から「オリジナル」って言葉は二重性があるよなぁとか思っていたせいか、「オリジナル・新」とも読めそうだな、などと考えたりした。
もともとは「始まりの」「最初の」という意味だけど、「新たな」という意味もある、という二重性(これを書くにあたって英和辞典で調べたら両方の意味が載ってました。英語の「original」も日本語の「オリジナル」と同じ使われ方をしてるんですね)。

ルーツとなるものを指し示しつつ独創性も併せ持つこの曲の二重性を、示唆しているように思える。

ライブバージョンもあり得ないぐらいかっこいいので是非。


2.3Chords / susquatch

新譜ではないし、最近出会った曲でもない。
高校〜大学の頃くらいにちょこちょこ聞いていた曲。
バンド名を忘れてしまっていたがようやく思い出したので久々に聞いてみた。やっぱり良い。

8ビートで刻むドラム、スリーコードのルート音をしっかり響かせる骨太ベース、きらびやかなアルペジオを奏でる2本のギターが徐々に重なっていったと思ったら、一瞬のブレイクの後、歌と演奏が一斉に疾走し始める。
さらに細かい16ビートのドラム、似たフレーズでもどこか推進力を増したように感じるベース。スライドと歯切れのいいカッティングで最高のリフを繰り出すギター。

完璧すぎる。

現在は活動休止状態だという情報に接しました。
いつかライブで聞きたいなぁ。


3.悲しみはバスに乗って / マカロニえんぴつ

はっとりさんの書く曲はメロディが難解なものが多くて、一発で覚えるのは正直難しい(そこも好きなんだけど)。
それでもサビはポップさが失われていない。ほんのり哀愁があって、はっとりさんの熱量を注ぎまくる歌い方も相まって、どうしても記憶に残ってしまう。
そんなマカロニえんぴつの良さが顕著に出た1曲かなと。

あとこの曲は、サビ以外のところの歌詞では言葉遊び、押韻、会話の挿入などがあって結構凝った作りだけど、サビの歌詞はかなりシンプルというところも面白い。
それと平仄を合わせるように、サビ以外の部分は曲の展開も複雑。いろんなところでいろんな音が足されたり引かれたりしていて、聴いていて飽きない。

というか、聴き終わるとちょっと疲れてるぐらい。
一過性の流行りを狙ったような、耳馴染みが良いだけの曲より、こういう、意味があるのかないのか分からないけど作り手も楽しんでそうで、リスナーも楽しむ余地がたくさんある曲の方が、個人的には好きです。


4.California coconuts /くるり

初めて聴いたとき、サビ直前のフレーズが流れた瞬間、「あれ?ZARDの『負けないで』に繋がるのかな?」と思いました。ちょっと似てる。
でもサビでそこまでテンションが上がり切らない感じが好きです。

やっぱりくるり最高ですね。

朝日はそこら中のかけらを払い除けて
希望という言葉を 有耶無耶にするだけさ

作詞:岸田繁


5.cut / Tori Kelly

好きなミュージシャンの誰かが、インスタのストーリーに上げていて知りました。
いやかっこよすぎんだろこれ。
それ以外に書けることがない。
めちゃくちゃかっこいい。


6.究極の休日 / NakamuraEmi

「休日」というタイトルに似つかわしくないおどろおどろしい雰囲気。
と言うと言い過ぎかもしれないけど、心休まる感じとか逆に心が軽やかにウキウキしている感じとかは全くない。歌詞も「墓場」から始まるし。Dメロ?(「洗車とガラコと〜」の部分)以外はボーカルも迫力のある声で歌い上げる感じだし。

風に舞うコンビニ袋 気持ち良く飛んでいく
私もぶら下がって のらりくらり
休日も楽じゃない いつも休めるわけじゃない
けど少し少し ご機嫌でいたい
変わっていく世界へ 立ち向かう私よ 手に入れろ

作詞:NakamuraEmi・カワムラヒロシ

この部分の歌詞が好きです。
なぜか平日毎日この曲を聴きながら出勤してました(笑)
ちょっとだけ元気が出ますね。


7.Skeleton Is Walking / Blake Mills

こういう感じの曲はあんまり聴いたことがないんですが、すごく良いですね。

歌は同じメロディの繰り返しで、2:20辺りで終わり、あとの4分弱はほとんどギターソロ。
ロックとかの激しいソロとは違って、優しいソロ。音色自体の荒々しさの中に、やわらかく鳴って光っているなにかがあって、それを感じるたびに胸がキュッとなる。

違うバージョンの動画もありました。
もっとやわらかくて、輪郭が見えないものに包まれる感じの演奏。


8.umi tsuki (feat. iri) / SIRUP

大好きなSIRUPさんと大好きなiriさんのコラボ。大好き以外のものにはならない。
こういうトロピカルな雰囲気の曲はふたりの今までの楽曲にはなかった気がする。

1番がSIRUPさんパート、2番がiriさんパート。おそらく自分のパートの歌詞とメロディーはそれぞれが自分で書いてるんじゃないかと思いますが、聴き比べるとおふたりのアプローチの違いみたいなのが出ている気がしてとても面白い。

最後に出てくるこの歌詞の意味が少し気になります。

君と笑って
沈んでく夕陽と

都会に描いた歌も

海よ溶かして
月よ照らして

作詞:SIRUP / iri

「都会に描いた歌」。
「都会で描いた歌」や「都会を描いた歌」であればすんなり理解できますが、「都会に描いた歌」だとちょっと引っかかりますね。
≪都会自体がキャンバスになっていて、そこに描き出された歌≫ということになるでしょうか。
「都会」は自然との対比だと考えると、人々が普段暮らす社会、合理性の下に設えられた生活、個が集団に埋没してその犠牲になる場所。
したがって、≪都会というキャンバスに描き出される歌≫は、諸々の息苦しさがまとわりつく普段の生活を表しているのではないかと。「歌」と表現されている理由は分かりませんが、あまり良い歌ではなさそうです。

でもその歌が海に溶かされて。
あらわれた自分も海とひとつになって。
そこが月に照らされて。

光を透過させて輝く海洋生物がゆらゆらと揺蕩う、そんな情景が浮かんでくる気がします。

私的、今夏No.1夏ソング。


それでは。

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