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OEKfan演奏会・舞台レビュー

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オーケストラ・アンサンブル金沢や石川県金沢市で行われた演奏会などを中心に私が鑑賞した公演のレビュー集です。
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ガルガンチュア音楽祭2024:大西洋をわたる風:イギリス,アメリカの音楽(2024年4月28日~5月5日+4月21日公演)

「いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭」から「ガルガンチュア音楽祭(ガル祭)」に名称を変更した春の金沢恒例の音楽祭が,例年同様のスケジュールで行われました。今年は昨年まで少し残っていた制限がなくなり,コロナ禍前と同様の形での開催となりました。その一方,今年1月1日に発生した能登半島地震の被災地支援という目的が加わることになりました。 また今年からは昨年までの「基本的にはクラシック音楽の祭典」というスタンスを少し変更し,クラシック音楽から映画音楽,ミュージカル,ジャズ,アニメ音楽

ガルガンチュア音楽祭2024:本公演3日目(2024年5月5日)

ガル祭2024最終日も快晴。この日は正午の少し前に石川県立音楽堂に到着したのですが...すでに音楽堂前広場には大勢のお客さんが集まっていました。コンサートホールに向かうため,ホール外側のらせん階段を上っている途中で,ゴスペルのラニー・ラッカーさんの「ハレルヤ!」の一声が飛び込んできました。その言葉どおり3日ともハレルヤ(快晴)でしたね。 朝から既に大盛りががりの空気の中,まず【C31】「大阪フィルで聴くスター・ウォーズ」公演を聴いてきました。3管編成の大阪フィルの量感のある

ガルガンチュア音楽祭2024:本公演1日目(2024年5月3日)

ガル祭 2024 本公演1日目、私は午後から4公演を聴きました。 早速完売公演続出でしたね。 最初は能登半島地震以来ずっと閉鎖されていた金沢市アートホールで行われた【A12】「菊池洋子&アビゲイル・ヤングの室内楽」へ。 公演は前半が菊池さんの独奏、後半がヴォーン・ウィリアムズの室内楽という構成でした。 最初は、会場の気分をパッと明るくするような感じで、ルロイ・アンダーソンの「プリンク・プレンク・プランク」がパキパキと軽快に演奏されました。OEKも弦楽合奏でよく演奏して

ガルガンチュア音楽祭2024:オープニングコンサート(2024年4月29日)

ガル祭2024のオープニングコンサートでは今年のテーマに合わせて,前半はイギリス,後半はアメリカの音楽中心に演奏されました。ミュージカルやジャズ系の曲も色々と演奏され,今年の音楽祭のダイジェスト的な内容となっていました。会場の反応も素晴らしく,もしかしたらガル祭史上最高に盛り上がった開幕公演だったかもしれません。生の声の力,合唱の力の素晴らしさを実感しました。指揮は広上淳一さんと天沼裕子さんの2人でした。最初の最後が広上さんで,それ以外の大半は天沼さんが指揮されていました。

ガルガンチュア音楽祭2024 C02市民オーケストラの祭典(2024年4月21日)

いよいよガルガンチュア音楽祭2024 の本公演の開幕も近づいてきました。この日はプレ公演恒例の一つ「市民オーケストラの祭典」を石川県立音楽堂で聞いてきました。毎年楽しみな公演ですが今回は英国・米国がテーマということで,例年以上に華やかな曲が多く,鈴木織衛さんの指揮の下,充実した演奏を楽しむことができました。 最初に能登半島地震の被災者のための献奏としてコープランドの市民のためのファンファーレが金管楽器と打楽器奏者のみで演奏されました。 メンバーの内訳までは分かりませんが,

オーケストラ・アンサンブル金沢第475回定期公演フィルハーモニー・シリーズ(2024年4月17日)

1月1日に発生した能登半島地震の影響で延期になっていたエンリコ・オノフリさん指揮によるオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK) 定期公演フィルハーモニー・シリーズを聴いてきました。 実は,1月に予定されていた公演自体もオノフリさん登場するだった2022年1月の定期公演がコロナ禍のため延期になったものでしたので,2回目の延期ということになります。というわけで、この日の公演は疫病と地震を乗り越えてようやく実現した,待望の公演でした。プログラムの方は1月のものから変更は無く,ヘン

【番外編】「ブギウギ」の名曲をもう一度!(SP盤鑑賞会)(2024年4月13日(土)金沢蓄音器館)

2023年秋から半年間放送していたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」では笠置シズ子の歌手としての人生を存分に描いていました。過去の朝ドラの中でも特に歌唱シーンが多く,1回15分の放送のほとんど全部がステージの場面だった回などもありましたね。3月末で終わったばかりの時期ということで,「ブギウギ」に登場した音楽をSP盤で聴いてみようというイベントが金沢蓄音器館で行われたので参加してきました。参加者数は30名程度。どこかアットホームな雰囲気の中で蓄音器の音を楽しんできました。 この

木米真理恵ピアノリサイタル:令和6年能登半島地震復興支援チャリティコンサート(2024年4月6日)

絶好の花見日和だった4月の土曜日の午後,石川県立音楽堂邦楽ホールで行われた,金沢市出身の木米真理恵さんのピアノリサイタルを聞いてきました。この公演は,元々は金沢市アートホールで行う予定だったのですが,1月の能登半島地震の影響で会場が変更となり,協賛企業や地元の政治家の支援を受け,復興支援チャリティコンサートとして行われることになったものです。この日のチケット売り上げは全額義援金として石川県を通じて被災地に送られるとのことでした。プログラムは,前半は木米さんの独奏によるショパン

オーケストラ・アンサンブル金沢 オーケストラの日2024(2024年3月31日)

3月31日は「オーケストラの日」 ということで石川県立音楽堂で行われたオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)といしかわ子ども邦楽アンサンブル,OEKエンジェルコーラス,石川県ジュニアオーケストラが共演する「オーケストラの日2024」に参加してきました。この演奏会は毎年OEK定期会員は「ご招待」のファン感謝デーなのですが、当然のことながら3月31日が平日になることも多いので、参加するのは久し振りのことでした。指揮は松井慶太さんでした。 最初はいしかわ邦楽アンサンブルのステー

石川県ジュニアオーケストラ第30回記念定期演奏会(2024年3月24日)

3月末恒例の石川県ジュニアオーケストラの定期演奏会を聞いてきました。今年は30回記念演奏会ということで,ベートーヴェンの交響曲第5番を中心とした堂々プログラム。松井慶太さんの指揮の下,一年間の成果がしっかりと発揮された充実した演奏を聴かせてくれました。 前半のプログラムは芥川也寸志,池辺晋一郎,ハチャトゥリアンの作品など,楽しく,美しく,新鮮な響きのする曲が選ばれていました。 最初に演奏されたのは芥川也寸志作曲の「Do Re Mi Fa Sol La Si Do!」。その

オーケストラ・アンサンブル金沢第479回定期公演フィルハーモニー・シリーズ(2024年3月15日)

マルク・ミンコフスキ指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)による,待望のベートーヴェンの第九を石川県立音楽堂で聴いてきました。ミンコフスキさんとOEKはベートーヴェン生誕250年の年だった2020年から2021年にかけ,定期公演シリーズの中でベートーヴェンの全交響曲を演奏するはずでしたが,コロナ禍による渡航制限の影響を受け,すっかり予定が狂ってしまいました。それでも4公演(8曲)は実現しており,第九だけが未演奏で残されていました。それが今回の公演でついに完結しました。そ

牛田智大ピアノ・リサイタル2024金沢公演(2024年3月10日)

北國新聞赤羽ホールで行われた牛田智大ピアノリサイタル2024を聴いてきました。 金沢では毎年この時期に牛田さんのリサイタルが行われるのが恒例になってきています。毎回聞き応えがある曲が並んでいますので,私も行くのが楽しみになってきて,2020年,2023年に続き,3回目です。今年はシューマンのクライスレリアーナとショパンのピアノ・ソナタ第3番という2つの大曲を中心とした堂々たるプログラム。じっくり練られた表現を堪能してきました。 プログラムはモーツァルトのピアノ・ソナタ第4

オーケストラ・アンサンブル金沢第478回定期公演マイスター・シリーズ(2024年3月9日)

土曜日の午後,川瀬賢太郎シェフによる英国音楽フルコースといった趣きのオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK) 定期公演マイスターシリーズをたっぷり楽しんできました。プログラム全体が英国の曲というのは,OEKとしてはかなり珍しいことです。しかも,演奏されたのが一般的な知名度が低いヴォーン・ウィリアムズとフィンジの曲。川瀬さんがOEKの定期公演に登場する際は常に新しいレパートリーを取り上げ,新鮮な印象を残してくれていますが,今回もそういった公演でした。 最初に演奏されたのは,近

田島睦子ピアノ・リサイタル: 変装曲(2024年3月4日)

金沢出身の田島睦子さんのピアノリサイタルを聴いてきました。この公演は当初,金沢市アートホールで行われるはずでしたが,能登半島地震の影響で当面使えなくなってしまったため,会場は石川県立音楽堂交流ホールに変更になりました。開催日も3月2日(土)からの変更ということで,困難を乗り越えての開催となりました。 田島さんのリサイタルでは、毎回サブタイトルのような感じで「テーマ」が付けられていますが、今回のテーマは「変装曲」でした。この「造語」は田島さんの発想だと思います。変奏曲的な作品