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小学校プログラミング教育を実践するときに確認が必要な環境についての9つのこと 前編

 ICT支援員が学校に訪問し、小学校プログラミング教育実践のご支援を行う際に、事前に確認しておくと後が楽だよ、というポイントをまとめてみた。ICT支援員が行っていない学校の先生方にもお役に立てるようできるだけ平易な言葉で、そしてそのレベルから?という内容を書いてみる。

 学校で手軽に始められる、無料で使えるプログラミングソフトをコンピュータ室あるいは普通教室で、ある程度のパソコンあるいはタブレットで利用することを前提として、準備1、準備2と分けてみた。

 準備1はオンラインで利用する場合。準備2はオフラインで利用する場合を想定している。

準備1 オンラインプログラミングソフトが動作する環境なのか確認する

1 回線種類・スピードを確認する

 学校でインターネットに接続する際のスピードはあなどれない。毎年文部科学省の実施している「学校における教育の情報化に関する実態調査」でも必ず聞かれている項目なので、校内でどなたかは必ず知っているはず。自治体で一括、同じ契約という地域もあれば、各校それぞれという地域もあるため、確認が必要。(イマドキISDNなんて…と思われる皆さん、上記実態調査を見てもらえば、数は少ないがまだそういう学校が残っていることをご理解いただけるだろう)回線の種類には以下のものがある。簡単に表にまとめた。

 1,2,6に該当する学校は、オンラインでプログラミングソフトを利用するのは難しいと考えていただきたい。オフライン版を検討する必要があるが、その際の確認事項は準備2、後編で述べる。
 3,4,5に該当する学校は、回線スピードという点では動作要件を満たしていると考えられる。2以降のチェック項目を見ていただきたい。

2 タブレットなのかそうではないのかとともにOSを確認する

 学校にある児童生徒用パソコン(児童生徒が実際に触って教育活動に使用できるパソコン)は、どのようなものだろうか。以下に簡易的に見分ける表を掲載する。

 OSのその他にはAndroidほかLinux等も含まれる。少数ではあるがそういう学校が存在するためこのような記載になった。また、大概の家庭の場合、うまく動くことが考えられるが、学校ではなぜかうまくいかないということが起こりがちである。こうだと断言できないのがもどかしいが、場合分けが過ぎて見づらくなるよりは、とこの形とした。

3 ブラウザを確認する

 オンラインプログラミングソフトの中には、特定のブラウザではサポートされていないものがある。つまり、頑張っても開けない状態が存在する。使いたいオンラインプログラミングソフトを開くことができるブラウザが児童生徒用コンピュータに入っているかどうか確認が必要だ。代表的なオンラインプログラミングソフトについて以下に簡単にまとめてみたので参考にしていただければと思う。(2019年6月8日現在の調査に基づいているため、最新の状況とは異なる場合がある点をご了承いただきたい)

出典
Scratch:https://scratch.mit.edu/info/faq
Viscuit:https://devroom.viscuit.com/2016/05/22/%E3%83%93%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E4%BD%BF%E3%81%84%E6%96%B9%EF%BC%91/
Hour of code:https://code.org/educate/it

 ○の後ろの数字はバージョン、+はそれ以上、という意味である。○がついているのに開けない、という場合はバージョンを確認していただくとヒントになると思う。
 ViscuitはEdgeやchromeではフラッシュを有効にするボタンが押せることが必要。
 なお、特にScratchには注意していただきたい。
 2019年1月にオンラインのscratchはIEでは開けなくなった。OSがwindows10のコンピュータにはEdgeが入っているはずだが(選択しているエディションによってはそもそもEdgeが入っていない場合もある:2019/6/17追記)、学校で導入している授業支援ソフトとの相性によっては「アイコンやメニューにあっても起動できない」場合があるため、必ず起動できるか確認が必要である。

4 フィルタリングを確認する

 学校のインターネット回線には通常「フィルタリング」がかかっている。動作要件を満たしていても、オンラインプログラミングソフトが絶対に動作するとはいいきれない。起動して、やりたいことがやれるか授業前(直前ではない)に確認をする必要がある。(メジャーなオンラインプログラミングソフトについてはフィルタリングソフト会社も考慮しているだろうが)
 画面の一部分だけフィルタリングでブロックされたりすることもある。ただ、それが例えば「広告の部分だけブロックされていた」だったということもあるため、授業でやりたいことが再現できるなら多少フィルタリングがかかったままでも問題はない場合もある。
 ただ、気になる子供がいるのも事実なので、きちんと手続きを経てフィルタリングを解除しておくとより安心だ。手続きについては、各教育委員会で決まっているはずなので、問い合わせていただきたい。

準備1まとめ 

 これらがクリアになったら、早速授業でオンラインプログラミングソフトが使えるはずだ。
 ただし、自治体によってはインターネット回線の上限が決まっていることもある。一斉に多くの台数で行う場合、回線が重くなることも考えられる。つまり、他校の使用状況も関係することがあるということだ。そのため、オンラインプログラミングソフトを使う場合は、「止まることもあるかも」「固まることもあるかも」ということを念頭に置く必要がある。

 ICT支援員は、先生のやりたい授業の実現のためにどうすればよいかを考え、オンラインプログラミングソフトの場合は予備機の準備が必須である、なぜなら授業の流れを止めないため、ということがわかる必要がある。それを実現している支援員の学校からの評価は非常に高い。

 なお、「そんなこといちいち確認しなくてもいいんじゃないのか」と思われた皆さんは、学校現場のインターネットがどれだけ制限されていたりうまく動かなかったりするか、一度見に来ていただきたい。

 次回はオフラインプログラミングソフトについての確認事項をお伝えする。これですべてとは言わないが、大概の場合を網羅できると思う。

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