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空白

さまざまな人の力を借りて、身体の痛みは消えてきた。
心は、ポッカリと空白のままにある。

去年みたいに、苦しいのとは違う。苦しい時は、その反面に集中する時間があった。
ただ、ポッカリと空白なのだ。嬉しいも悲しいもなく。

探してみる。
好きなことは何?
心地よいことは何?
みたい景色は何?
聴きたい音は何?

作為のないありのままの美しさ。
夕陽が目を射抜く時、全身が光に包まれる、一瞬の至福。
ひぐらしが響く夕涼み、竹林の鳴らす風の音、響きの妙。
夜の始まりに、秋の虫が準備を始めている。
丑三つ時はシーンと静まり返っている。全てのものが眠る様子を感じる。
先に目覚めるのは虫。次に鳥。猫は目覚めて外に出かける。朝の狩り。獲物はモグラやネズミ。たまに鳥。
風が吹いて、朝がやってくる。

それ以上に聴きたい音はなんだろう。

少しだけ仕事をし、暑さの中で昼寝をする。
自転車を走らせて夏の夕方を味わい、田んぼの間から白い月を見る。
夕方には猫親子が庭で遊ぶ。

ビールとコーヒーと梨を糧に、ぼんやりと世界に耳を澄ませている。


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