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踊る「熊谷拓明」カンパニーのオドルとは。。。

7年前から踊る「熊谷拓明」カンパニーとして創作活動を行ってきましたが、現在とてもはっきりとこの「踊る」を名前に付けた自分の自然行動についてわかって来たので書いてみます。

「踊る」と言っているんだから踊るのは当たり前だと思う方もいますが、
踊る豆腐屋とか、踊る歯医者と聞くと踊る事の意外性が心地よく感じられるのではないでしょうか。
と言う事は踊る「熊谷拓明」カンパニーにもその心地の良い意外性を僕は感じていたんだと思います。

15歳からダンスを習い始めて、ジャズダンスを踊りバックダンサーもやってみて沢山の楽しい時間を過ごしました、そして貴重な経験をしました。
ダンスはすべてだと思っていたし、こんな一生が続くんだと思っていました。
最初の違和感を感じたのは20代中ごろでしょうか、まだまだ踊る事が好きなのですが、踊っている我々の価値観が理解できない同世代がいる事を知るわけですよ。
同窓会などで友達に会うと、車を売ってたり、飲食店のメニュー表のデザインをしてたり、美容師になってたり、その中でやはり浮くのがダンスをやっている僕なんです。ダンスをやっている人すべてがそうなのではなく、僕がそうだったんですが、圧倒的に子供だなと感じたんですね。

車を売っても、髪を切っても、メニューのデザインをしても社会でぐるっと繋がっている。だからお互いの職業の存在が互いに自然に受け入れられるんです。
じゃ、熊谷ダンスやってるって・・・どういう事?

ここへの答えは、ダンスを教えさせてもらったり、振付をしたりと答える事は出来るんですが、僕のダンスを必要とする人はこの友達たちの中にはいないので、なんともハテナな説明になってしまう。
それが嫌なのではないのですが、なんともジャブにように僕のダンス人生を揺らしてくれたわけです。
だからって辞めようとはしなかったし、続けたくて続いているのだが、そこへの違和感はいつか解決しようとずっと思っていた。

そして28歳でシルクドソレイユに参加した時にその違和感が一気に爆発したんです。

僕と山田茂樹さんというダンサーの他は、みんなロスアンゼルスからのダンサーと同じ作品に参加しました。結果的に2年半僕はそこに居たわけですが、最初の数か月で僕の「ダンス」は終わったんです。

そこで出会ったダンサーは本当にダンスだったんです、楽屋で歌いながら自由にバキバキとダンスを彼らは、バレエの時間になればさっきまで腰に引っ掛けていたスウェットを脱げはレオタード。楽屋で歌っていたのと全く変わらぬテンションでバレエを楽しみ、本番でダンス、ダンスの様に帰っていく。
もう「血」でダンスしていたんです。
日本人がどうとかではなく、僕には無理だと思ったんです。

僕の血はダンスしないんですよね、そう思ったらダンスするのが急に恥ずかしくなって。どうしようと思って、毎日恥ずかしくなく出来るダンスを探しました、そしたら「踊る」に出会ったんです。
そこから約2年ダンスの中で踊りを踊る男はなかなかハードな日々でした(笑)

振付家から踊り方について本番前にNOTEをもらうんですが、「OK!」「アイノー!」とか言いながらも、本番では言うこと聞けないんですよ(笑)

彼が言うよに、思うようにステージでこの体がダンスすることが本当に出来なくなったんです。我がままとかでなくホントに体が自分の好みの動きしかしなくなったんです。

今思えば彼はとても温かく僕を見守ってくれていました。
サンキューウエード。

毎日楽屋に併設しているスタジオで、自分が好きなように、イメージするように踊れるよに、ひたすら踊りました。
2回公演の間にも、ナッツを食べてすぐに踊りました。

そのうち皆が「KUMAはロボットだ!」と言い始め、それを聞いたディレクターがスタジオで踊る僕を見に来て、次の週から本番でソロの場面をくれたんです。
本当に救われたし、本当に感謝しました。
あの時間のおかげで僕は契約を満了できたと言っても過言ではないと思う。

3年後に日本に帰って来た時は、日本が変わったのか、僕が何かを忘れたのか、とにかくフワフワと自分の場所を探す日々でした。

自分の「踊り」を受け入れてくれる人や、面白いと思ってくれる人も多くいましたが、線引が難しかった。

僕の出来る踊り。つまり好みの踊りとそうでない踊り。

観るのはホントに好きなんですよね、色々な踊りを。そして楽しめる。
でも自分がやるとなると楽しめる踊りの幅が極端に狭くなってしまったんでしょう。
色々な踊りの仕事をしたかったけど、どうにもこうにも心が動かす、そんな人に仕事があるわけもないですから。

でも好きな踊りだったら100歳まで踊りたい!
ということで踊る「熊谷拓明」カンパニーなのだ。

熊谷拓明ダンスカンパニーではなく、踊る「熊谷拓明」。
踊る豆腐屋さんはしっかりと毎朝美味しい豆腐を作って、忙しい合間をぬって踊るんです。
踊る歯医者は毎日沢山の患者さんの治療をした後に、ほっと一息踊るんです。

だから僕はちゃんと熊谷拓明を生きて、その隙間で限りなく狭い範囲の踊りをとても楽しく踊ります。

僕が創るダンス劇は、ダンスが溢れているのではなく、流れる生活、暮らしの中にぼそっと存在するんですね。
でも踊るが好きだから、踊るんです。

そんな僕の違和感から産まれた踊りが、誰かの暮らしや何処かの社会とぐるっと交わりたいとずっと思っています。

そして、少しずつ出会うものです。続けていれば。

今日も僕は、僕の踊りを、僕のタイミングで。


※2021/3/13
七間町ハプニング 参加作品
ダンス劇「ひどく晴れた静岡で」の楽屋にて執筆。

ダンス劇作家 熊谷拓明


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