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「任せてブーたれる」はヤだな


「炭鉱のカナリア」はもう不要

 今更ではあるのですが、SDGs(2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標」)はすでに多くの人がご存じのものになっています。私はこのSDGsを自分なりに理解する上で、加藤尚武さんが『環境倫理学のすすめ』(丸善ライブラリー、1991年。増補新版あり、2020年)の中で整理された3つの視点が参考になると思っています。
加藤さんは、環境倫理学の主張として
1.自然の生存権
2.世代間倫理
3.地球全体主義  を挙げています。

これを私なりに思い切って整理。
1.種を超えた影響
2.世代を超えた影響 
3.国境を超えた影響  と見ることもできると思います。
 例えるならば、大海原で海にゴミ捨て放題、魚獲りたい放題でやっていたつもりが、みるみる自分が大きくなって、気づいたら風呂桶の中で同じことやってるような状態になってしまった。しかもその風呂桶を使っているのは人間だけじゃないし、今の世代だけじゃないし、自分の国だけじゃない。
 だから、SDGsのメッセージは端的にいうと「期限を切ってやらないと、すべての活動が前提としている条件がもたないですよ」ということなのだと思います。リオで行なわれた地球サミットが1992年(すでに歴史の教科書に載っています)。用心のために手元に置いていた「炭鉱のカナリア」はすでに虫の息。「期限を切る」しかなくなった、というのが現状であり、企業も個人も何かをしなければいけない、というのは確かなことです。

SDGsに限らず、大切なテーマは「引き受けて考える」ようにしたい

 今年、年頭の抱負の中で「『総合』の視点を持つ」として以下のような文章を書きました。

 社会生活・企業の置かれた環境の中で「シングルイシュー」はあり得ない。総合し、全体の構造の部分であるということに立ち戻る。オペレーションだけやっていても、先に進むことはできないのは当然。デュープロセスに飼い慣らされて、法のドレイになってはいけない。CEOの視点が大事。判断する瞬間に常に「全体観」を持てるように自分を鍛え、即断即決・即実行を身につける。困ったときは「原点」に戻って考える。つねに「So What?(だから何なの)」と自分に問い返すこと。

  SDGsのような、事が起こった場合に会社の事業や自分自身の生活が大きく毀損されるようなテーマはもちろんですが、社会のあり方や会社のあり方・方針など自分が大切だと思うテーマについても可能な限り、「総合」の視点を持ち、「任せてブーたれる」のではなく「引き受けて考える」ようにしたい、と考えています。

(「任せてブーたれる」「引き受けて考える」の表現は、社会学者の宮台真司さんからの引用。)

「引き受けて考える」ために

 昨年、音声SNS・Clubhouseでの「実践『アクションリーディング』自分を変える行動読書」の場で赤羽雄二さんの『ゼロ秒思考 行動編』(ダイヤモンド社、2016年)を読みました。
 赤羽さんは、即断即決・即実行の重要性を説きます。そして即断即決・即実行するためには「全体観」が必要であり、「全体観」を持つトレーニングとして、「オプション」と「フレームワーク」を挙げています。

「(即断即決・即実行できない場合、)本当に武器を持って戦う戦場であれば、命がいくつあっても足りない。仕事では、即座に命取りにならないこともあって甘さが許容されるが、徐々に、あるいはある時点で急激に競争力を失って、どうにも挽回できなくなってしまう。実は戦場と大きく変わるものではない」(P15)
「即断即決・即実行ができない根本的な理由は、対象への正しい『全体観』を持てていないことだと考えている。逆に、『全体観』さえ持てれば、あとは必要なときに、自然と即決即断・即実行ができるようになる」(P38)
「無用な失敗の痛手なく実現できる効果的なトレーニングがある。それが今から紹介する『オプション』と『フレームワーク』だ」(P46)

 詳しくは本書を手に取って読んでいただきたいと思いますが、私は、本書を読むことで、「全体観」を持ち、特に「フレームワーク」を自分の道具として有効に使えるようになることで、自分が大切だと思うテーマをより適切に「引き受けて考える」ができるようになるのではないかと思いました。


「フレームワーク」を使えるようになるためのトレーニング

 本書を読んで、しばらくしてから「オプション」と「フレームワーク」の練習を開始。続ける中で、当面は練習を「フレームワーク」のみに絞るようになりました。

赤羽さんがお勧めする「フレームワーク」のトレーニング方法は以下の通り

「フレームワークには枠組状のもの以外にもいろいろな種類があるが、2×2のフレームワークさえ使いこなせれば自然に身についていく」(P85)ので、A4用紙を使った「フレームワーク練習シート」を作成し、毎日2×2のフレームワークを6個ずつ練習を続ける。

 実際にやってみると分かりますが、取り上げたテーマに対してピッタリした内容を作ることはなかなかできません。

「2×2フレームワークを使いこなすのは難しい。簡単な見た目に反して、何度も練習する必要がある。タイトルの選び方、軸の選び方、ラベルの選び方、4つの箱の内容の書き方など、すべてのバランスを取らなければならない」(P107)

 また、本書にはフレームワークを習得するための道標として、フレームワークの使い方はどのようにレベルアップするかも紹介されています。

レベル1:フレームワークをその場で何とか作れるようになる
「課題を整理すべきと感じたその場で何とかフレームワークを作成し、優先順位を明確にして対応できるようになっていく」(P101)
レベル2:フレームワークが瞬時に浮かぶ
「その会社、プロジェクト、状況に即したフレームワークが瞬時に浮かぶようになる」(P103)
レベル3:フレームワークを使いこなす
「フレームワークの達人と言われ、いっそう人に頼られるようになっていく」(P104)

 実際の話、トレーニングを継続することは大変で、しばしば止まります。しかし、私としては当面、下の「フレームワーク練習シート」を使って、1日6個のフレームワークのトレーニングを続けて、「レベル1」に到達できるようにしていきたい、と思っています。

フレームワーク練習シート

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