私たちはアクリル樹脂に印刷された肖像が欲しいのではない、人生を共にする相棒が欲しいのである
ジャニヲタの皆さま、ここ3日間の壮絶な戦い、本当にお疲れ様でした。
終わってみれば、「あれは一体何だったのだ」と冷静に考えてしまい、考えれば考えるほど虚しく、複雑な気持ちが込み上がってくる。
そんな時、ふと思う。
私たちがアクリルスタンド、通称”アクスタ”に求めているものは果たして何なのか―。
今日はそんなことを思うがままに綴っていきたい。
事の発端は、9月3日(土)15:02に突如ファンクラブから送られてきた一通のメールだった。
このメールを見た私の感想はまず、何事?だった。
私がジャニーズもとい松村北斗を推し始めたのはここ2、3年の話である。過去に山下智久・赤西仁・大倉忠義の三大イケメンを推していた当時は”アクスタ”なるものは存在していなかった。BIGBANGを推していた当時のK-POP界にも”アクスタ”というものは存在しておらず(今はわからない)、松村北斗に出会って、初めてアクスタというものに出会ったのである。
だがしかし、私が松村北斗と出会った時には、彼は既にSixTONESとしてデビューを果たしていた。ジャニーズアイドルたちのアクスタはJr.時代、すなわちデビュー前にしか販売されない、ということを先輩ジャニヲタから教えていただき、な~るほど、私はもう北斗のアクスタは手に入れられないんだな……なんという刹那的な仕組み。デビューという一つの成功の証と引き換えに消えていく今やアイドルをアイドルたらしめているアイテム、アクスタとの別れ。さすがジャニーズ事務所、一筋縄ではいかんのだな…と思っていた。しかし、のちに幸運なことにジャニヲタの先輩からプレゼントをしていただき、私はデビュー前の松村北斗のアクスタを手に入れることができ、アクスタというものの威力を体験することになる。(後述)
「デビュー前にしか手に入らない」期間限定というプレミアがついていたはずのジャニーズアイドルたちのアクスタが、今回この「Johnny's アクスタ Fest」では、デビュー組のものが手に入るというのだから、とんでもない知らせだった。
そうか……デビュー後の松村北斗の姿のアクスタ……欲しい……と思った。純粋にそう思った。と同時に、そのアクスタを手に入れた自分がこれから松村北斗と過ごすかけがえのない思い出を手に入れたいと思った。
そもそも”アクスタ”とは何なのか?
”アクスタ”とは「アクリルスタンド」を略したもので、推しの全身の姿を縁取った写真がアクリル樹脂に印刷されたもの。スタンドになっており、まるで小さな推しがそこに立っているかのように飾れるアイテムである。
しかしあれはただ飾っておくものではない。
もちろん飾っても可愛い。でも違うのだ。アクスタの主な活用方法はそれではない。
アクスタは推しと過ごす全ての場所にお供してくれる相棒なのである。
コンサートに行く時、イベントに行く時、推しが出演する映画を観に行く時、推しのポスターが街に貼り出されたのを観に行く時、推しが撮影で訪れた場所を巡る時、推しに所縁のある場所を訪れる時、ファン友達と会う時―。
その全てにアクスタを連れていく。その活用方法を知った時、それまでグッズというグッズに興味がなく、熱狂的に追っかけていたBIGBANGのグッズでさえ「グッズ買うくらいなら、チケットもう1枚かDVD買うお金にお金回そ~~~~」くらいのテンションだった私の世界が変わったのだった。
アクスタというのは不思議な力を持っている。
アクスタを手にして、写真を撮るだけで、突然その思い出がキラキラと輝き始める。推しにまつわる思い出、だけだったものが、まるで推し”との”思い出に変わる感覚があった。
写真の中に推しの姿が一緒に収まるだけで、殺風景な景色も特別な思い出に変わる。推しに全く関係のないカフェでジャニヲタの友達と会った時の何気ない写真の中に、推しの姿が一緒に収まるだけで、ジャニヲタの絆を感じられる。なんだか不思議な感覚を与えてくれる。
まるで子どもの時に遊んだリカちゃん人形やシルバニアファミリーみたいな、ちょっとだけ違う世界に連れて行ってくれるような。
アクスタというのは、他のグッズとは違う、体験価値を、思い出を、私たちに与えてくれる特別なグッズなのである。そして推しと過ごした愛溢れる時間を未来に残すことができる魔法のアイテムなのである。
そんなグッズが販売されること、デビュー組の新作アクスタにお目にかかれること、それ自体はすごくすごく嬉しいことだった。幸せなことである。
だが、先ほどのメールをよく見てみると、”数量限定で販売”という文字がある。
問題はこれである。
ジャニーズ事務所さんよ、あなたたちが抱えている輝きを放つアイドルたちのファンがこの日本全土に何人いると思っているのですか?
そしてそのファンたちにとって、アクスタというものがどれほどまでに大切なものなのか知っておられますか?
過去の実績において、ジャニーズ事務所のサーバーが激弱なことは日本の常識だと思っている。ジャニーズショップ オンラインストアで新たなグッズが出ると、繋がらなくなったり、Snow Manさんのツアーのチケット当落が出ると、繋がらなくなったり、新しいFCが開設されると永遠に繋がらなくて、入会手続きができなかったり、松村北斗の新しいビジュアルがJohnny's Webに公開されただけで繋がらなくなったり。事あるごとにサーバー問題が勃発していた。
そんなジャニーズ事務所さんが、ジャニヲタ、いや、全オタクの命とも言えるアクスタを数量限定で販売したらどうなるか?
容易に想像がつく。
サーバーがダウンし、全くアクセスができなくなり、結果として手に入れられる人がごくごくごく僅かとなる未来だ。
アクスタというものは本来、オタクを幸せへと導いてくれるアイテムであるはずなのに。
そしてその予想は見事に的中。
かくいう私も友人の誕生日を記念した日帰り旅行の合間で何万回ものリロードを繰り返し、何を見ても「502 Bad Gateway」に見える幻覚を引き起こしながら、戦い続けた。途中何度も心が折れたし、Twitterで購入できたという他の方々の報告を見かける度に「一体自分の何がいけないのだろう」と自分を責め続け苦しんだ。「何故私は買えないの?こんなに北斗を想っているのに。」「このまま買えなかったらどうしよう。」という不安と戦い続けた。
こんなnoteを書いておきながら、申し訳ない気持ちではあるが、9/10(土)12:00よりスタートした「Johnny's アクスタ Fest」もとい「アクスタ戦争」、私の戦いは9時間30分経過した21:30頃に友達の手によって終戦となった。
嬉しかった、とても嬉しかった、でも、だけど、その後とてつもない不安と虚無感に襲われた。
買えなかった友達もたくさんいるし、この戦い何だったんだろう。
私たちは何と戦ってるの?
今日1日大事な旅行だったのに、友達に迷惑かけなかったかな。
てか9時間30分もかけて何してんだろ。
トップページにSeptemberって書いてあったよね?もしかして毎月あるの?
次またあった時、買える自信ない。
二度とやりたくない。
まぢでなにこれ?
誰が幸せなの?
そんな想いしかなかった。
手に入っても、入らなくても、結局悲しくて、虚しくて、やりきれない気持ちになった。
今は削除されているが、「Johnny's アクスタ Fest」のトップページにはこの文章があった。
アクスタってね、見るだけでもそりゃあ楽しいけど、そうじゃないんだよ。
玄関に飾ったアクスタ、ベッドに飾ったアクスタ、推しグッズディスプレイの中にいるアクスタ、職場のデスクに飾ったアクスタ、カバンの中に入れたアクスタ、コンサート会場にいるアクスタ、聖地巡礼の景色の中に溶け込むアクスタ、居酒屋でジョッキの上にいるアクスタ、カフェで友達の推しと並ぶアクスタ。
アクスタっていうのはただのアクリル樹脂に印刷された肖像ではない。
日々の生活の中で推しを思い出させてくれる大切な存在で、推しがいる人間にとっては、自分の人生を共にする相棒なのである。
大切なものって、不安と戦って、神経すり減らして、自分のことを責めて、誰かを妬まないと手に入らないものだったっけ。
アクスタって、そういうものだったっけ。
販売してくれたこと、すごく嬉しかったです。
だって、絶対私と北斗の新しい思い出を彩ってくれる存在になるから。
でもジャニヲタはみんなで幸せにならなきゃ、心の底からは幸せになれない。オタクは同志だから。
私たちはアクスタ購入することで、アクリル樹脂に印刷された肖像を得ているのではなく、人生を共にする相棒が得ているのだということ、どうかご理解いただけると嬉しいです。
そしてまた次回があるのであれば、みんなの手に行き渡る方法で、どうかどうか、お願いいたします。
(私も過去苦しめられたアクスタの所持有無によるカースト争いについてはここでは触れません。今回はそれ以前の問題だったと思うので。またいつか。)
おけい