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黒いさくらねこと1か月・前半

黒いさくらねこが我が家にやってきて、1か月経った。

さて、この1か月、ルドンと我々の日々はというと、決して穏やかで平和とは言い難いものだった。
このnoteはそもそも「猫飼いたいな~飼おうかな~でもな~~」という知人の背中を押すために始めたのだけれど、最初の1か月からトラブル続きで「猫ええで!飼うやで!」と言いにくくなってしまった。だが今後のためにも記しておくこととする。

お風呂に入れるよ

やってきた日の午後、シェルターの方が帰った後。我々は遅めの昼食を摂り、新参者をかわるがわる膝にのせて歓迎していた。シェルターにいたとき同様大人しく、膝の上に乗ってはうとうとし、少し経って起きてというのを繰り返していたが、恋人がふと零した。「なんか変なにおいしない?」
猫は本来きれい好きで、他の家庭で飼育される動物に比べあまり匂いがしない。はずなのだが、るーはところどころ細かい埃のようなものを全身にまぶし、獣臭さとは違う何か不思議なにおいがした。体についているゴミは、シェルターの他の猫の毛や埃だとは思うのだが、においについてはよくわからなかった。よくわからない匂いがするし、体のゴミはブラッシングしても取れないし、仕方がないので「来たばかりでかわいそうだけど、シャンプーしてあげようか」と提案し、二人で近くのホームセンターにペット用シャンプーを買い求めた。
さて、これを読んでいる方もご存知の通り、猫の大半は水が嫌いである。もちろんシャワーなんて大嫌いである。ルドンも例にもれずお風呂の嫌いな猫だった。かわいそうに、初めてやってきた見知らぬ家で、到着した数時間後には彼女は浴槽の中でみゃんみゃん怒っていた。
暴れて浴槽の外に飛び出ようとするルドンの首根っこを掴み(母猫が子猫を大人しくさせるときに噛む場所)なだめすかしながらなんとかシャワーを終えるが、この次はさらに猫が大嫌いなドライヤーが控えている。果たしてルドンもドライヤーが嫌いな猫だった。バスタオルで濡れそぼり細くなった子猫を包み、タオルの上からドライヤーを当てるも、ルドンはあばれに暴れて半乾きでテーブルの下に逃げてしまった。これはトラウマになってしまうかもしれない、せっかく友好的だったのに人間が嫌いになってしまうかもしれない……と悩んでいたら、乾いた頃に普通に私にすり寄ってきた。お前本当にいい子だ。

おなかがゆるゆるだよ

お風呂に入れ、恋人を見送り、一人で夕食を摂ったのち、るーが初めてトイレに入ってくれた。「よしよし、トイレは問題ないな」と思いながら、テレビもスピーカーもつけていない静かな部屋に、猫が排泄する水音が僅かに聞こえた。猫もそういう音聞こえるんだ……と感慨にふけっていると、一転小さな破裂音が聞こえる。慌ててトイレをのぞき込むと、ゆるゆるであった。やばい。ルドンが砂をかける前にトイレから出そうとするも、後ろ足にゆるゆるがついている。やばい!走って逃げようとするルドンをどうにか捕まえ、洗面台で足を流してやろうとするが、暴れる!爪が手の甲の皮膚に食い込む!痛い!だがそれどころではない!
何とか流し終えタオルで拭いてやり、今度は走ってトイレにもどりゆるゆるの処理を始める、1か月交換不要の猫砂が随分汚れてしまった……。なんとかきれいな猫砂を残し、ゆるゆるを袋に詰めて捨て、新しい猫砂を少し足してやる。お風呂出た後きちんと乾かさなかったから、お腹冷えてしまったのだろうか……それともご飯が合わないのだろうか……新しい環境にやってきたストレス……?必死にスマートフォンで「猫 下痢」で調べていると私の腕を枕にすやすや寝始める黒猫。かわいい……本当にかわいい……。一生守ると誓った。

おなかが治らないよ

結局ゆるゆるだが、3日間続いて病院へ連れていくこととなった。整腸剤と下痢止めを処方され飲ませることとなるが、ここで立ちはだかる「猫への投薬」。
人間のように自分で口に入れ水を飲み流し込んでくれないので、口を開けさせのどの奥に薬を突っ込み口を閉じて呑み込ませる……と言葉にするとややこしいが、要するに無理やり飲ませなければならない。獣医さんや慣れた人なら上手にやるのだろうが、いかんせんこちらは初心者二人である。何度もYoutubeで「猫 薬 飲ませ方」で出てきた動画を確認し、飲ませようとするもうまくいかない。ルドンもみゃんみゃん文句を言ってくる。「ごめんねごめんね」と恋人と二人謝りながらるどんを抱きすくめて固定し、上を向かせ口を開けさせる。最初の3日間ほどはそれでどうにか飲ませたが、次第に面倒になってきた恋人が餌に混ぜて与えたところ普通に食べたので、次から砕いてちゅーるに混ぜて食べさせるようにした。ちゅーるはすごい。本当にすごい。ちゅーるの開発者は紫綬褒章を授与されるべきである。

#保護猫 #猫 #エッセイ

ちゅーる代になります