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理学療法士,タクシー運転手になる(なった)!!

理学療法士の資格を取り、二十数年となった。

最初は、急性期も今でいう回復期のリハビリテーション(以下、リハ)もある病院に勤務。なんやかんやで、その後、訪問看護ステーションに勤めた。

そして、デイサービス(リハ特化型から滞在型など)や入居施設を転々とし、再び、訪問へ戻ってきた。訪問リハを始めた時から、かれこれ24年を超える歳月が過ぎていた。そして、福祉タクシーの運転手の道を歩むことになった。

なぜか。自分なりに振り返ってみる。

病院では、リハ室で機能訓練を行う(当時は)。ある程度の期間が過ぎれば、退院される。退院してしまえば、その後の様子はわからない。退院がゴールだった。

次の職場の訪問では、利用される方のお宅へ伺い、リハを行う。リハと言っても、一般的に想像される体操や運動もそうだが、病気や怪我で今まで生活してきた場所でも、今まで通りにいかないことが出てきてしまう。そのことに対して、ご本人の頑張りだけでは、どうにもならないことも多い。

そんな時は、環境面に対して、アプローチする。物の配置、手すりや補助具の検討などなど。人も環境も千差万別。ほんとにいろいろ。難しいことも少ないわけではない。むしろ多い。だが、訪問の仕事は好きだった。いまでも好きだ。

その後、リハ特化型のデイサービス、入居施設を経て滞在型のデイサービスへ。ここでは、高齢の方が多く、時間もゆったりと流れていた。

利用されている方の平均年齢は、80歳前半位だったろうか。外出と言えば、病院へ受診するかデイサービスへ行くか、とても限られていた。特に不自由を感じられていたわけではないと思う。しかし、「思うように買い物に行けない」「一人で出かけられるといい」などの声をしばしば耳にしていた。

それならばと、近所へ買い物に出かける企画を立て実行した。

そこで、目にした皆様のご様子。

なんと!!素晴らしく生き生きとしているではないか!!

想像はしていたが、想像以上だった。しかも、いつもは、歩行練習しよう、なるべく歩こう、という声掛けに、「今日はやらん」「風が強い」「寒い」「暑い」など、断る理由を並べるような方が、進んで歩いて、商品をかごに入れている。いつもより、どのくらい余計に歩いたか知れず。翌日の疲れなどそっちのけ。本当に衝撃だった。単純に嬉しかった。

そんな経験をし、訪問へ戻ってきた。そこで、楽しみのある外出に焦点を当てた時、諦めてしまったりためらって実行できなかったり、理由は様々だけど、思うように外出できていないことに気づいた。

リハって何?

再び、それならばと、自分がその支援ができないだろうか、と思い、めでたく(?)、理学療法士からタクシー運転手に転職したのだった。

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