見出し画像

碧の洋館を愛でる

札幌のオアシス「中島公園」。
ボート遊びができる大池や音楽ホール、天文台や人形劇場を有する園内に、美しい洋館「豊平館」があることをご存知でしょうか?

私はかつて旅行ガイドブックを制作する側でしたが、札幌時計台や羊ヶ丘展望台といった王道スポットに埋もれてしまい、詳しく紹介しきれずにいた名所。(ぐぬぬ…)

先日、じっくりと見学する機会があり、思った以上にたくさんの魅力に気づきました。

碧を愛でる

眩しいまでのブルーと白の外観に思わず目を奪われてしまいます。
このブルー、「ウルトラマリン・ブルー」という色名で、昔はラピスラズリから造られていたという高貴な色なのです。

2016年の保存修理工事の際、専門家の分析によって、竣工当時の色により近づいたそう。
以前はもう少し落ち着いたブルーだったので、工事後は「こんなに明るかったのか」と驚いた記憶があります。

シンメトリーな建物の中央に目をやると、碧に映える赤星が輝きます。
こちらは北海道の開拓を担った開拓使の建物である印・五稜星。
札幌市時計台やサッポロビール博物館など、札幌の開拓当初から残る建物によく見ることができます。

正面玄関の円柱も美しくてうっとりです。
ぜひ、見上げましょう。


照明を愛でる

館内に入ってぜひ注目いただきたいのが数々の照明。
豪奢なシャンデリアから小ぶりなものまで種類さまざま。
どれがお好きですか?

残念ながら当時の再現のものもあるようですが、数点(特に2階のシャンデリア)は当初から吊られているものだとか。

続いて吊元の天井中央飾りにも着目を。
こちらは漆喰を立体的に仕上げてモチーフをかたどるという職人技が光っています。紅葉・芙蓉・波に千鳥など部屋ごとにモチーフが異なっています。

私はこの天井中央飾りと照明が大好きで、見上げるのに忙しく、やや首が疲れるほどです。笑


客室を愛でる

元々は開拓使直営の洋風ホテルからスタートした豊平館。
当時の客室の様子が再現されています。

憧れの天蓋ベッドが横たわるこちらは一般客室。
解説によると、客室は洋間2間の全室スイートルーム。
朝になるとボーイさんが洗顔用のボウルに水を注ぎに来てくれるのだそう。
泊まりたい…。

こちらは明治天皇が宿泊された客室の再現。
明治・大正・昭和と3度に渡り、天皇や皇太子が滞在されたようです。

それにしても外観の碧と白のコントラストとは相反するかのような、深い朱を基調とした内装。
ギャップにたまらなく萌えます。


階段を愛でる

2階へと上がってみましょう。
絨毯敷の階段が眩いです。

手すりのなだらかな曲線、装飾は胸にギュンギュン来ますね。笑


数奇な歴史を愛でる

前述の通り、豊平館は洋風ホテルとして誕生。

その後、戦時中には陸軍の占有となり、
戦後は進駐軍に接収された札幌三越が一時的に豊平館で営業を行ったり、
一時的に美術館になったり、
平成23年までは総合結婚式場として利用されていました。

ここから超私情なのですが、私の祖父母・両親ともに豊平館で結婚式を挙げています。

館内には過去にここで挙式した夫婦の名簿が残されていて、本人確認ができれば、自分たちが式中に署名したページを閲覧することも可能だそうです。

先日、両親が見に行ったそうで、自分たち分と両親(私からすると祖父母)のページを見ることができ、とても感動していました。

現在でも小規模な披露宴なら可能です。

さてはて、私も式は挙げずとも結婚式の前撮りはこちらにお願いしました。
大階段にドレスの裾がふんわり大〜きく広がっていい仕上がりに。
(ドレスも大階段に映えるもの基準で選びました。笑)

挙式も前撮りもクラシカルな雰囲気の中で良い思い出になること間違いなし。おすすめです。


もっとみんなに知ってほしい!

本当はまだまだカーテンの美しさや細かな意匠についてお話したいところですが、皆さんに実際に見ていただくためにも、この辺で。。

私が見学させてもらった際は札幌市のキャンペーンで無料開放日でした。もっとカメラ女子・男子が集っているかと思いましたが、意外にもご高齢の方が多かった印象。

旧永山武四郎邸のようにレトロカフェでも入らないと若い世代の集客は難しいのか…とやや悲しくなったのも事実です。。

こんなにも愛でるポイントだらけな豊平館。
ぜひ私だけでなく、札幌市民にも観光客にも愛されまくって末長く美しいまま保存されてほしいと思います。


【本日のお出かけスポット】
豊平館

1880(明治13)年竣工、国指定重要文化財。
国内に現存する木造ホテルとしては最古のものだそう。

日本人設計士による建物とあってか、全体的にはアメリカ風様式を用いながら天井中央飾りに見られるように和のエッセンスも取り入れられています。そのミクスチャー加減が絶妙で、センスの良さを感じずにはいられません。(外観と内装のコントラスト然り)

▽豊平館 公式HP▽
https://www.s-hoheikan.jp/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?