自己開示モンスター

職場にほんとによく喋る人がいて、何気なく話しかけたら最後、冗談抜きで10倍ぐらいになって返ってくる。
話の内容も9割は自分の話で、どんな話であっても最終的にその人自身の話になって会話が終了する。

私自身あまり人との会話は好きではないが、それでも何かひとつ私自身のことについて質問されたら、よっぽどそれ以上会話を続けたくない相手でもない限り、相手への質問で話を返すようにしている。それが会話をする上での最低限のエチケットだと私が勝手に思っているのもあるが、そうすることで自分の話をしなくていいし、相手が話す時間が増えれば自分は聞き役に徹することができるので、単純に気が楽だ。

そんな私ですらその人に話しかけたり、質問し返したりするのは極力避けるようにしている。出てくる話が激烈に面白いなら全然聞いてられるのだけど、ひたすら自己開示のみでゴリ押してくるので本当に疲れるし、正直あまり関わりたくない。はっきりと苦手な人と言っていいと思う。

それである時、その人があんまり自分のことばかり話すので、その人に関する情報を知らず知らずの内に把握していることに気付いてしまった。何が趣味とか、今の会社に何年いるとか、以前どの部署にいたとか、誰と揉めたとか、休日何してるかとか。

あまり関わりたくない、なんなら苦手と思ってる人の全く興味のない情報がすっかり頭に入ってしまって、その情報を元にこちらもその人に対する接し方を無意識に選択してしまっている。面倒な人を避けるという大義名分の名の下に、結果的にこちらがその人に配慮しながら行動している。もちろんあちら側がこちらに配慮することなどあるわけもなく、それが出来ないからあれほどの自己開示ができるのだろう。

そういうことに気付いて思ったのは、自分の人生を生きやすくする方法の一つとしてこういう方法もあるんだな、ということである。

嫌われようが、疎まれようが、面倒くさがられようが、最初に、「私はこういう人間です。」と声高に宣言してから、付き合い方は他者に完全に委ねる。そうすることで自分の敵か味方かを早めに見極めて、あとは味方か自分に対して好意的な人とだけ付き合う。
デメリットとして対人関係の衝突や軋轢は増えそうだが、ほとんどの人は面倒な事に首を突っ込みたくないと考えているから、意外に表には出てこない。
よく出来てるなー、と思うと同時に、寡黙で他人に配慮できるような優しい人にとっては厳しい現実だな、とも思う。

多くの人は、自己顕示欲が少なく、他人に配慮できる穏やかで優しい人のことを好意的に見てると思うが、その事実がなかなかそういった資質を持った人の生きやすさに繋がらない。
考えれば考えるほど歯痒い。
ほんとどうにかならんかねー。


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