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詩集

155
詩、ポエム、詞のタグが付いた投稿を一つにまとめたものです。
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2021年2月の記事一覧

嘆息

何もない時間

何もない場所

何もない自分

何もない人生

生きてきた時間

生きてきた場所

その時々の感情

何もないという嘘

自分自身がそれらに

何かしらの価値を

見出せないだけ

何も見出せない時間

何も見出せない場所

何も見出せない自分

何も見出せない人生

ただ嘆息の戸だけは

常に開いている

その事実だけが

優しく美しい

仕事

働いて稼ぐ
労働に対する
いくらかの対価を貰って

動いて眠る
生活を維持する
そのために日銭を集めて

それは当たり前のこと
誰でもやらなければならないこと

生存と労働はほぼ同義
そういう風に刷り込まれていく

実際のところ
動いて眠るのに金銭はいらない
必要なものは
充分な食事と安全な寝床だけ

取り引きを円滑にするための
金銭の授受が何もかもを複雑にしてしまった

生きるために仕事をするこ

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罪と罰と罠と罫線

ありきたりな罪には

いつしか然るべき罰が与えられ

その罰は至るところに

教訓という名の罠を張り巡らせ

やがて罫線に沿って歩く生真面目な彼を

彼のささやかな願いが叶うよりも先に

奈落の底に突き落とすだろう

うるうびと

半歩ずれて
僅かに段差を
踏み外して
そのまま消えた
右手の甲
左足の踵
残像が
駆け抜けるように

閏人
幻より不確か

半身ずれて
微かな隙間を
滑るように
するりと抜けた
顔から下
肩口から
腰のあたりまで
袈裟切ったように

閏人
妄想より不確か