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詩集

155
詩、ポエム、詞のタグが付いた投稿を一つにまとめたものです。
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2020年12月の記事一覧

はなれて

手放すと決めた時には
もう遠く離れて

残酷なまでにあっさり
言葉も交わさず

何もいらないと感じた時には
もう遠く離れて

余韻に浸ることもなく
瞬く間に消え失せ

離れていくのを
見届けることもせず

背を向け
足音もなく
気配を消し
始めから
何もなかったように

はなれて

浮遊する人形

いつから
自分の足で
自分の力だけで
立っていると
勘違いしていた

一歩一歩
地面をしっかりと
足の裏で捉えて
着実に前へ前へ
進んでいると
勘違いしていた

上昇は下降であり
下降はやはり下降であり
前進は後退であり
後退もやはり後退であり
チャンスはピンチであり
ピンチは決定的にピンチであったろう

何故それを忘れた
何故人並みにうまくいくと思い込んだ
何故地に足が着いていると錯覚した

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徒労と讃歌

全てが水泡に帰す様を
目に焼き付けることが
あらかじめ決められた
運命かのように
あらゆる物事が進む時

種を蒔き
苗を植え
細やかに剪定をし
ひと時も配慮を怠らず
やがて実を結ぶことを
夢見ながら
穏やかな心を
保ち続け
少しぐらいの不条理は
和やかに見送り
誰のことも咎めず
研鑽を積み
自己を錬磨し
労を惜しまず
慈愛の心を持って
日々を過ごしても
それでも
何一つ成果を得られなかった時

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