浮遊する人形

いつから
自分の足で
自分の力だけで
立っていると
勘違いしていた

一歩一歩
地面をしっかりと
足の裏で捉えて
着実に前へ前へ
進んでいると
勘違いしていた

上昇は下降であり
下降はやはり下降であり
前進は後退であり
後退もやはり後退であり
チャンスはピンチであり
ピンチは決定的にピンチであったろう

何故それを忘れた
何故人並みにうまくいくと思い込んだ
何故地に足が着いていると錯覚した

跳躍も墜落も同じことなのだ
ただ浮遊してる者にとっては

アスファルトの凹凸も
煌びやかな夜空の星々も
大した差はないのだ
ただ浮遊することを心の底から
望んだ者にとっては

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