「オルカン」と「S&P500」一択のリスク① 非分散
「〇〇一択」投資ですが、実は投資のセオリーから大分外れています。
富を守り続けている本物の富裕層はそんな投資はしていません。
なぜでしょうか。
それは「リスク」があるからです。
では、順番に説明していきましょう。
一つ目。
「分散」にならないから。
よく投資は「長期・分散・積立」と言いますね。
ずっとずーっと買い続ける。
これ「長期」です。
コツコツ毎月一定額を買い続ける。
これ「積立」です。
オルカンやS&P500を買い続ける。
これ「分散」ではありません!
え、どうして?
オルカンは「日本を含む先進国と新興国の大型株・中型株の約3,000銘柄に分散した投資信託で、S&P500はアメリカの主要産業を代表する大型株の500銘柄に分散した投資信託じゃないの。
ほら。プロが選んだいろんな優良株を組み合わせた投資信託だって聞いたことあるけど?
そうです。
でも、言い換えるとそれってこういうことです。
オルカンもS&P500も「株」一択ということ。
つまり、まったく「分散」されてないということ。
投資における「分散」とは、その投資対象と地域を「分散」することです。
例えば、「株」だけでなく、「債権」にも投資するとか。
「債権」は不景気に強いですから。金利が低下すると債権は上がります。株が暴落したときに反発するものもあるので、リスクヘッジとしては有効ですね。
「コモディティ」もいいですよ。原油や金、穀物。ETFがあるので投資もしやすく、インフレにも強いです。でも、インカムゲインがなく、商品ごとに価格変動要因が異なるので、上げ下げが読みにくいというのが弱点かも。
そして「リート」。いわゆる不動産投資信託ですね。インカムゲインの積み上げを狙うなら最適です。ただ利上げ局面では価値が下落するのが弱点かも。
というように、
投資商品って本当にたくさんあるんですよ。富裕層はこれらさまざまな商品に、そしてさまざまな地域に「分散」投資することによって、「一族」が守り続けてきた大切な資産が目減りしないように工夫をしているわけです。
一方が下がっても、一方が上がるのであれば資産の減少を抑えられますよね。
あるいは上がった一方を売却して資金を作り、下がって割安になったもう一方を買い増すなんてこともできます。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がまさにそうです。
将来、人口減少しても大丈夫なように年金支払いに使われなかった余剰金を運用して、不足する年金資金を補うために資産を増やし、蓄えてくれています。現在約250兆円を運用する世界最大の機関投資家です。
GPIFは日本株25%、日本債(国債・地方債・社債など)25%、海外株25%、海外債25%に「分散」投資して、価格変動に合わせて、上がったら売り、下がったら買って、常にリバランスしています。
例えば、8月2日と5日の東京株式市場で株価が大暴落しました。そうすると保有株の資産割合が25%を割ってしまいます。そういうときにせっせと買うわけです(暴落した時、優良株をかなり購入できたらしいですよ)。一方で今、アメリカの利下げが予想されて債権価格が上昇しています。そうすると保有債権の資産割合が25%を超えてしまうので、そうなったらせっせと売るわけです。
これが「分散」投資です。
オルカン一択、S&P500一択はまったく「分散」にはならないんです。
「じゃあなんで、証券会社はそれを説明しないの?」
みなさん、証券会社がそんな説明するわけないじゃないですか。
だって儲からないもん。(彼らは黙っていることいっぱいありますよ。特にYoutube系アナリストやエコノミストは。株価の邪魔になるものは、日本の将来にとって重要なことでもしゃべりません。)
例えば「株」と「債権」のペアって一般的です。
株が暴落しても、債券の下落率って案外低いし、中には逆に値上がりするものもある。
それに償還日まで持っていれば、ちゃんと元本が戻ってきます。
あと一度買ったらあんまり動かしません。インカムゲインがチャリンチャリンと入ってくるし、元々「株大暴落」時のリスクヘッジだから、その時が来るまでじっと持っているものです(プロのトレーダーはもちろんしょっちゅう売り買いします。)
つまり、証券会社が儲けられるチャンスがあんまりないんですよ、「債権」は。
一方で投資信託なら、毎月コツコツ買ってくれるし、運用手数料も入る。NISA口座を使う人なら、定年まで長期にわたって買い続けてくれる。
こんな「上客」いません。文句を言わずに、コツコツコツコツ。
「でも、ドルコスト平均法ならリスク避けられるって専門家はみんな言ってるし、長期データでも必ず株価は上昇するって言ってるじゃない。」
まあ、そうなんですけど。
長期で見ると必ず株の大暴落って起きるてるんですよ。ずっと暴落時でもコツコツ買い続ければ、それは高いときに買うよりもお得なわけだけれど、問題はそれが「いつ来るのか」もわからないし、「どのくらいで株価が戻るのか」もわからないし…
例えば、定年退職をしたその日に暴落したらどうしますか?
価格が戻るまでずーっとヤキモキしませんか?
せっかくの人生の節目が台無しになってしまいますよ。
投資って「終活」が大事なんです。
年齢に合わせてリスク資産を減らし、キャピタルゲインよりはインカムゲインを中心にしていく。
長い時間軸で
買っては売り
売っては買い
最後は売らないものが増えていき
あとは増えようが減ろうが
気にならなくなっていく
そして、それを次の世代に受け渡していく。
富裕層はそうやってずーっと「富」を守り続けてきたのです。
努力と工夫をしてこそ資産は守れる。
そして、それこそがセオリー。
だから…
「〇〇一択」投資なんて全然安全じゃない。
最初から「セオリー無視」のギャンブル投資なんですよ。
投資は自己責任でと言いながら、
肝心なことを伝えない。
「長期・分散・積立」と言いつつ、
「分散」が入ってないことを伝えない。
それがNISAを使った「〇〇一択」投資の正体なんです。
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