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尾田わらば
2021年3月8日 23:19
人の悪口を言い続けた時期が僕にはあった。悪口や不平不満を唱え続けなければ、自分の輪郭を保てないんじゃないかと半ば本気で思っていた。「なぁ、そう思わないか?」と他人に同意を求め、「そうだな」と同意を得られれば、自分が正当性をもって認められた気がした。わるくない、と。輪郭を縁取る糸が、するりするりほどけて、ほころびが拡がってしまう。そうなる前にせっせと不格好に紡ぎ直す。悪口は、よくどこか適当な掃き