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【セルフライナーノーツ】Happy Hungry!

ラブソング書くより食べ物ソング書く方がよっぽど得意。
どうも、飲食系音楽家の小田貴音です。
得意料理は「広島風つけ麺」、苦手料理は「ゆで卵」。
そのうち料理記事(上手くいったやつはレシピも)とかも
書きたいなーと思ってます。

では書きましょう。
万貴音の2ndフルアルバム「Smile Co.」の5曲目になる、
「Happy Hungry!」。

サブスク登録してない方はこちらからサンプルを、
登録してる方は是非しっかり聴いていただけると嬉しいです。
CD買って聴いて下さってる方は、さらにありがとうございます。


・ちゅピCOM「ぶらり広島食べ歩き」テーマソング。

広島のコミュニティTV(ケーブルテレビ)といえば、
中国新聞グループ「ちゅピCOM」。
2013年4月〜2016年3月の間、「ぐるあそ」という番組で
テーマソングを数曲提供させていただいていたり、
コーナー「Drive On The Music」を担当させていただきました。

「ぐるあそ」テーマソングはCDになって、MVも撮りました。
YouTubeのチャンネル登録もよろしくお願いします!

「ぐるあそ」が2016年3月で終了し、その後継として、
「ぶらり広島食べ歩き」というグルメ番組にモデルチェンジ。
そのテーマソングとして書かれたのが、この「Happy Hungry!」。

スタート時はまだサビだけしかなかったんだよね。


・「タイアップ」楽曲制作の考え方。

これは自分の考え方です、あくまでご参考程度に。

オリジナル曲のCDリリースやライブでの演奏、
もしくはMVでの発表などの場合は、それこそ捉え方は自由。
どこに聴いてほしいピークを置くかは「こだわり」次第。

なんだけど、テレビ・ラジオ・CM等「メディア用の曲」
については、フル尺を聴いてもらって良さを伝える!
という考え方では、ちょっとのんびりしすぎなんですね。
どんな有名アーティストの楽曲だとしても、
オープニングで毎回フル尺流れたら「本編はよ!」ってなる。

となると、「切り取られた部分」でどれだけつかめるか、
になります。漫才とかで聞く「ツカミ」。
これ、メディア用じゃなくても同じだと思うんだけど、
最初に耳に入る音や言葉が「面白い!」にならないと、
興味持ってもらえないんです。
つまり、いわゆる「スルメ曲」は適さないわけです。

多くの場合は曲冒頭を切り取られます。大体10〜30秒?
そこで興味を持ってもらえなければ、役割としては負け。
じゃあどうするかっていうと、「サビから始まる曲」
というパターンが多い。自分はこれです。

厳密な話をすると、「Happy Hungry!」の場合は、
サビ頭ではなく、サビの一部分のメロディを用いて
変形型・短縮型のサビとしてイントロに成形しました。
歌詞にもツカミを作ったんですが、それは後述。

そして何より大事なのは、楽曲で良さを伝える対象は、
そのアーティストではなく、番組だということ。
自分が目立てばいいや、では本末転倒なんです。
ちゃんと番組の内容や方向性を把握して作ること。

それを前提として、楽曲単体としても魅力を持てるか、
が作家やアーティストとしての技量だと思っています。
まだまだ未熟ですけどね。これからも精進します。


・音の特徴。

ビッグバンドジャズ編成「風」のハッピースウィング。
父親の影響もあって、ジャズは結構好きで聴いてたんですが、
自分がやるとなると、眼前にそびえ立つ「にわか感」。
不用意に敷居の高さを感じることはないかもしれないんだけど、
あくまで「ジャズ風味」と捉えていただけると嬉しいです。

ドラム・ベース・ピアノの通称「スリーリズム」を土台に、
ぎゅっと濃密なボイシングのストリングス、
4管編成の元気一杯なブラスセクション、プラスアルファ。
カウンター含めてコーラス陣もリッチな編成(全部自分だけど)。

ジャズ風の音作りの場合、あまり音域の上下幅を分散させすぎず、
クローズド・ボイシングを意識すると、それっぽくなります。
(楽器毎、ぶつかり過ぎに配慮しないと、ただのダンゴになります)

と、普段ブラスはソフト音源を使用するんですが、
(AMG「Kick-Ass Brass!」を使ってます)
間奏部のトランペットソロは、自分で演奏して録音してます。
昔取った杵柄。笑 ソフト音源に生演奏を混ぜると、
随分雰囲気変わります。ブレや揺らぎも悪いわけではないのです。
録ったテイクは父上にチェックしてもらってアドバイスもらったなー。
(父はトランペットの初代師匠です)


・マイナスを逆手に取る、言葉のチョイス。

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お腹が減る(Hungry)、というのは一般的に、
特に女性にとってはマイナスイメージの言葉じゃないかと思います。
「足りてない」わけですからね。

前述の「ツカミ」の話と重なりますが、
「お腹が減る」、「君に会える」という、ベクトル違いのストーリー。
自分の好きな人、気になる人が「食べることが好きな人」、
あるいは、「飲食店で働く人」だったら。
「お腹が減った」を口実に、会える機会が作れるじゃないか。

一見ちぐはぐな言葉の組み合わせなんですが、
番組の本質である「食べる」を接着剤にすると、
こういうストーリーが見えたんです。
「主人公、相手におごらせたいのか?」っていう意見ももらったけど。笑

料理自体の美味しさ、その魅力はもちろんですが、
どこで食べるか、誰と食べるかで、
料理の美味しさや、その時間の大切さは確実に変わる。
グルメ番組はただの料理紹介番組ではないんだよな、
という思いを盛り込んでみたのが、この歌詞です。
その意図が上手く刺さってるといいなあ。


・影響を受けた人。

第一人者としては「orange pekoe」ですかねー。
クラブサウンドと古き良きジャズサウンドのハイブリッド・ユニット。
曲の雰囲気に近いやつを考えると「Happy Valley」かな。
うん、なんかタイトル似ちゃってるのか。。笑
めたくそにオシャレでリラックス出来るサウンドなんで、
ぜひディグってください。

あとは、マイルス・デイヴィスのアルバム「Relaxin'」。
中学生の時からずーっと聴いてたジャズアルバム。
到底本人には追いつけないんですけど、ピアノの伴奏(コンピング)
の乗せ方は、ちょっと意識したというか、参考にしたかったというか。

作業用BGMとしても、安眠用BGMとしても超絶にいいです。

あとまあ全然レベルが追いつかないですけど、
「The Tonight Show Band」のサウンドとか。
これはマイルスと同じく、肌に刷り込まれたサウンドなんでどうしても。
ショーとしてのジャズの格好良さをこれでもかと詰め込んだやつ。
なんなのこの人たち。圧倒的な敗北感と高揚感。
ジャズってマジでかっこいいし、楽しいよ。知らんくても。


アルバム5曲目の「Happy Hungry!」の
セルフライナーノーツでした。
詳しくなくとも、再現できなくても、ジャズの魅力と憧れには
少しでも触れていたい男の妄想の具現化、でした。


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