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ロンドン・コーリング

––ピピ、言語設定ヲ変更シマシタ––
後ろから話しかけてくる男に、携帯情報端末が反応したようだ。

「失礼、そこのお二人。道を尋ねたいのだが、大英博物館はコチラで合ってますかな?」

「いいや、あっちの通りの角を右に曲がって真っ直ぐだぜ。案内しようか?」

「いや、案内は結構ですよ。たいへん助かりました。」

「当たり前の事をしたまでだぜ、英国紳士として!」

男は、触手3本で頭上に8の字を切るグピロ式の会釈をして、大英博物館に向かって行った。私も帽子を取り頭を軽く下げて見送る。

「しかしジェイ、スケートボードに太いパンツ姿で英国紳士とは如何かね?」

「いいんだよ、英国紳士ってのは外面じゃなく生き様なんだ!」

私は肩をすくめて返す。
ストーンヘンジにゲートが開いて、初めて異星の訪問者がやってきてから30年余り経つ。今では、ゲート近くのロンドンでは百を超える星々からの渡航者や滞留者を受け入れている。現代において人種の坩堝と言えば、NYではなくここロンドンだ。

––ピピピ、渡航局渡航課カラ、着信デス。繋ギマス––
「もしもし、こちら生活課のウザワ。ゲートの方で何かありましたかね。」

「ハロー、Mr.ウザワ。用件だけど、神族の大型の客がゲートに来てんだけど入国前の縮小化の処置に応じてくれなくて困ってんだよね。このままだと暴れ回った挙句真っ裸でロンドンに突っ込みそうなんだ、対応に来てくれよ」

「了解した、そちらに向かう。突破されたらまた連絡ください。では。」
ピッ。

「ジェイ、ゲートの方で仕事が入ったので向かおう。神族のお客さんとの事で、大変そうだ。」

「フゥー!神族の女はナイスバディで大好きだぜ、しかしウザワは悪魔も神さんも関係なくブッ飛ばすイメージだけどな。」

「今まで悪魔に会ったことはないよ。」

「神さんブッ飛ばすのは否定しねーのな。ハハッ。」
肩をすくめて返しつつ、タクシーを探す。

【続く】

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