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ソムラッサミーが王座防衛、吉成名高に挑戦のジョムホートが前哨戦に勝利~2024年6月1日のRWS

2024年6月1日にバンコク、ラジャダムヌンスタジアムで行われたRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)興行で、同スタジアム認定女子バンタム級タイトルマッチが行われ、王者のソムラッサミー・マーノップムエタイジムが挑戦者の同級6位、ガムライペット・ペットインディーアカデミーを判定で下して2度目の王座防衛に成功した。

ソムラッサミーは2022年のRWSフライ級トーナメントに優勝した後に、バンタム級に転向した。2023年は9月にRWSバンタム級トーナメントを制し、さらに12月にラジャダムヌンスタジアム認定初代女子バンタム級王座決定戦に勝利して王者になり、今年3月の初防衛戦でも勝利を収めていた。

3本のベルト(RWSフライ級、RWSバンタム級、ラジャ認定バンタム級)と共に入場する     ソムラッサミー陣営。

22歳のソムラッサミーは、タイ北部チェンマイのカレン族の出身で、民族衣装を着ての入場は恒例となっている。携帯電話を買うために12歳でムエタイを始めたというエピソードはファンの中でよく知られている。これまで戦績は46勝6敗、身長は169センチと、このクラスでは長身である。

挑戦者のガムライペットは昨年のRWSバンタム級トーナメントで、準決勝でソムラッサミーに判定で退けられた。戦績は29勝10敗、攻撃的なスタイルでソムラッサミーへのリベンジとベルト獲りを狙う、20歳。身長は165センチ。1月31日のRWSでは日本から遠征してきたルイ・クラミツムエタイジムを下している。

ガムライペットはランキングでは6位、ソムラッサミーとは昨年8月以来の再戦となる。

2分5ラウンドで行われる女子のタイトルマッチ、初回はガムライペットの攻勢が目立つ。左右フック、右ヒジ、右ミドルとソムラッサミーにクリーンヒットさせる。背の低いガムライペットに合わせるよう、やや重心を低く前かがみに構えるソムラッサミー、身体の動きがいつもより重そうに見える。ラウンド終盤、ガムライペットのハイキックが軽く頭部に入る。ジャッジの採点は3者とも10-9でガムライペットを推した。

1ラウンドはガムライペットの攻勢が目立った。

2ラウンドはソムラッサミーは、被弾は減り、前蹴り、パンチも有効。ガムライペットはミドルキック、左右フックで攻撃的。採点は割れるかと思いきや、3者とも10-9でソムラッサミーを支持した。

3ラウンド、4ラウンドはソムラッサミーがうまくガムライペットをコントロールして、組み合ってからの左ヒザを決めたりと、ジャッジに印象付ける。
ガムライペットも攻めて、大きな差はないように見えるが3、4ラウンド共にソムラッサミーがポイントを取った。

ソムラッサミーの左ヒザ攻撃、終盤は再三このヒザが決まる。

5ラウンド、ガムライペットが勝つには、ソムラッサミーからダウンを1度以上取るか、KO勝利しかない。ソムラッサミーをコーナーに詰めて、左右フック連打と縦ヒジと執拗に攻める。ソムラッサミーも被弾するが、なんとかこの嵐を切り抜ける。このラウンドはジャッジ3者が、ガムライペットを10-9で支持した。

最終的に判定はソムラッサミーの勝利。採点はジャッジ3者共に48-47の1ポイント差であった。ガムライペットの積極的な攻撃に白熱した戦いとなったが、ソムラッサミーがうまさを見せてポイントを手繰り寄せた展開だった。

勝利者インタビューでは「今日勝てて本当に興奮しています。先生たち、家族、プロモーター、恋人、応援してくれた友人、みんなに感謝します」と語ったソムラッサミー、この日で15連勝となったことをインタビュアーが聞くと「(大きな目標を立てたわけではなく)目の前の1試合、1試合に集中してやってきただけです」と述べていた。6月22日よりRWSは5階級でトーナメントを実施し、数カ月かけて各階級の優勝者を決める。女子は今年もバンタム級で実施され、ソムラッサミーの連覇が期待される。

女子バンタム級王座2度目の防衛を果たしたソムラッサミー

女子バンタム級については、ソムラッサミーと王座決定戦を争った、3位にランクされるセヴゥギ・ヴェノムムエタイ(トルコ)が5月25日のRWSに出場したが、ノーランクのマリア・エドゥアルダ(ブラジル)にダウンを奪われ完敗する波乱があった。

ソムラッサミーも苦戦したセヴゥギがダウン。

マリアは初回(2分3回戦)縦ヒジ一発でセブゥギを倒し、カウントはされていないがパンチでも実質的なダウンをとった。マリアは4月27日にRWSに初出場し、ダニエラ・ミランダ(イギリス)を2ラウンドにパンチでKOで下しており、セヴゥギ戦はRWSでの2戦目であった。マリアが女子バンタム級トーナメントに参加すれば台風の目になるかもしれない。

153勝23敗のセヴゥギに完勝のマリアは25勝4敗。超攻撃的なファイトを魅せる。

また、7月14日に千葉のTIPSTAR DOME CHIBAで行われるRWS JAPANにて、ラジャ認定スーパーフライ級王者の吉成名高への挑戦が決まっているジョムホート・コースワンタットが6月1日のRWSに登場し、イランのサウェーマディ・ヴェノムムエタイと3回戦を戦った。

ジョムホートはメインカード第1試合に登場した。
歴戦の雄、ジョムホードはこれまで201勝45敗5分。

ジョムホードは、これまで250戦のキャリアがある35歳の大ベテラン。プロボクシングでも11戦の経験がある。10年前にはラジャダムヌン認定スーパーフライ級王者になり、元チャンネル7ライトフライ級、スーパーフライ級王者でもあった有名選手。3月のRWSではアルバート・カンボス(スペイン)を相手に3回判定勝ちしている。

今回の対戦相手のサウェーマディは体格がジョムホードよりひと回りは大きく、懐が深そうな印象だが、試合では。ジョムホードは絶妙な距離感でパンチと蹴りを繰り出していく。プロボクシングのリングに上がっていただけにパンチも多彩だ。

165センチのジョムホードに対し、174センチのサウェーマディ。サイズはひと回り以上大きい。

テレビの解説でもジョムホードの吉成挑戦について触れ「現在の王者にかつての王者が挑む興味深いファイト」として視聴者に説明していた。

ここ10戦では6勝4敗となったジョムホード、全3ラウンドを危なげなく戦い、7月の吉成名高戦に向けての良い調整試合となったのではないか。

※試合はWorkpoint channelでのテレビ観戦、写真はRWSとYoutube(Workpoint channel)より。 photo from RWS ( Youtube (Workpoint )

↓ ↓ ソムラッサミー対ガムライペット

↓ ↓ ジョムホード対サウェーマディ


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