#0125 太陽光発電所:未来のエネルギーと環境のはざまで
こんにちは。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
私の故郷である道東(北海道東部)の釧路市は、手付かずの豊かな自然がたくさん残る地域で、釧路湿原国立公園、阿寒摩周国立公園の2つの国立公園を抱えています。
釧路湿原や周辺の森林、山々は多様な野生動物と珍しい植物の生息地でもあり、重要な観光資源であります。
しかし現在、この貴重な自然環境は太陽光発電所の開発により脅威にさらされています。これは化石燃料からグリーンエネルギーへの名の下に推進されており、自然環境の破壊に対する懸念が高まっています。
○太陽光発電所の開発が進む背景
北海道の人口は減少していますが、千歳市で開発が進むラピダスの半導体産業やらくらインターネットのデータセンターのようなエネルギー消費が大きい産業の進出が電力需要の増大を招いています。
特に泊原発の稼働が停止している現状では、火力発電と太陽光発電への依存が高まっています。しかしながら、北海道の火力発電は老朽化が進んでおり、連系系統の弱さ、太陽光発電所の設置に広大な土地が必要といった課題があります。
特に太陽光発電は、自然環境に大きな影響を及ぼすことが避けられません。
これは、高価な固定買取制度(FIT)が背景にあるためで、制度発足当初は再エネ普及を優先したため、山を切り崩しても採算が取れるような価格が設定されていました。未だにこの権利を保有している事業者があるらしく、そうした事業者が無理な開発を進めてきた背景もあるそうです。
現在の相場は10円程度で推移しており、新たに取得したFITの権利では、採算の取れない無理な開発に歯止めがかかっていると思われます。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/index.html
また、北海道で作った再エネ由来のグリーンエネルギーを本州に送るという計画も存在します。
北海道は再生エネのポテンシャルが高い地域ともくされており、釧路市など日本の中で日照時間が長いエリアがあるとされています。
北海道には適地がたくさんある。再エネ由来の発電量も豊富。ということで。本州に送り込もうということなのでしょう。こうした計画が存在することも、太陽光発電所の開発が進むことの裏にあるのではないでしょうか。
○自然環境への影響
太陽光発電所の建設に伴い、釧路の貴重な自然が開発のために切り開かれています。これらの自然環境は地域固有の多くの生物種の生息地であり、生態系の健全性を維持する上で不可欠です。
太陽光発電の拡張がもたらす環境への影響は、生物多様性の減少に留まらず、湿原の面積が減少したり、乾燥化したり、ハンノキ林が急速に拡大したりするなど、自然の移り変わりを超える速度で変化する可能性があります。
特に大雨時の出水に伴う多量の土砂・栄養塩流入が保全上の課題として注目されており、河道の安定化や河畔林の整備、土砂調整地などによる出水時土砂捕捉などの対策も必要になってくると思われます。湿原は一つバランスが崩れると大変なのです。
○代替エネルギーとしての可能性
釧路地域でのエネルギー問題を考える上で、太陽光発電の他にも地熱発電の可能性が注目されています。
日本はアメリカやロシアに次いで地熱資源が豊富で、世界第三位のポテンシャルを有しています。
地熱発電は、24時間安定したエネルギー供給が可能で、太陽光発電とは異なり連続的なエネルギー供給が見込めます。
ただし、温泉業界の反対や国立公園内の開発制限、専門技術者の不足など、さまざまな課題も存在しています。
北海道白糠町には地熱発電の技術者を養成する学校があり、将来的にはこれが人材供給の光明となるかもしれません。
○まとめ
太陽光発電の拡大が続く中で、釧路の貴重な自然環境を守るためには、環境保護に配慮したルール作りと事業者側の開発計画の策定が急務です。
地元コミュニティの意見を取り入れた持続可能なエネルギー政策の推進が必要であり、地熱など、太陽光発電に代わる再生可能エネルギー源への関心を高めることも求められます。
技術革新を促進し、多様なエネルギー源を活用することで、エネルギー供給の安定性と環境保護を両立させることができます。
読者の皆様には、この重要な問題に対して是非とも関心を高く持っていただきたいと思っています。
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