#0133 地方再興: 気候・自然に素直になること
おはようございます。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
私のふるさとは北海道東部にある釧路市という港町です。人口15万人ほどの都市ですが、中心部から数十分車を走らせるだけで、釧路湿原国立公園、1時間で阿寒摩周国立公園という2つの国立公園に行くことが出来ます。
そんな我がふるさとも、先日、消滅可能性自治体ということで報道されました。
これに関しては、いろいろなことを考えているのですが、消滅可能性を消滅させるにはどうしたら良いかを考えたことを書きたいと思います。
○自治体消滅よりも恐ろしいこと
人口が減少し、若者が都市部へと流出していることが課題となっていることは、皆さんご存じの通りだと思います。
これは全国共通の問題ですが、単に人口増加だけが解決策ではないと思っています。さいたま市など、人口が増加しているのに財政が厳しいところはたくさんありますし、日本という国自体の人口が減少していくので、自治体同士で人口の奪い合いをするというのは不毛であるようにも思うからです。
地方都市が直面しているもう一つの大きな問題は、人口拡大社会において我々が物質的な豊かさを追求してきたことで全国どこでも同じような生活ができる「均質化」ではないかと思います。
本来あった地域が持つ独自の風土や文化が、「均質化」によって上書きされ、人口減少とともに失われつつあります。このことが、自治体消滅よりも恐ろしい地域の消滅ということなのではないでしょうか。
私は、地域創生の専門家ではありませんが、この問題について考え、共に話し合うことで、グラデーションのある新たな解決策を見出すことができるのではないかと考えています。
地方それぞれの特性を活かし、それに基づいた生活を再構築することが、真の地域創生への第一歩ではないでしょうか。
○地域の気候と自然
地域それぞれ独自の気候や自然があります。とくに南北に長く山の多い国土を持つ日本は、四季や気候が多様です。
山や川などは、ただの風景に過ぎないと考えるかもしれませんが、実は大きな資源です。例えば、寒冷地域では冬の長さを利用したスノースポーツや、冷涼な気候を生かした農産物があります。また、温暖地域では一年を通して果物や野菜が育ちやすい環境があります。土壌一つとっても、コメの生育に適したところもあれば、畑作に向いていないところもあります。
こうした地域ごとの特性を理解し、それに合った生活や産業を改めて展開することで、地域は自らの魅力を再発見し、それを生かすことができます。例えば、地元の農産品を使った伝統料理や、地域固有の木材を利用した家具作りなど、地元の自然資源を活用した営みは、その地域でしかできない唯一無二の価値を生み出します。
私たち自身も、地元の自然とどのように向き合っているでしょうか?
数年前の夏、ハンガリーに旅行した際、ハンガリー発祥の料理・ロールキャベツをレストランでオーダーしようとしたのですが、メニューになく、スタッフになぜないのか尋ねました。すると「キャベツは冬の食材だから、夏は出していない」との説明でした。我々日本人は、あまりに消費社会に慣れ過ぎてしまって、いつでもどこでも金を払えば手に入れることが出来る一方で、季節感や作物の有難みといったことが感じられなくなってしまったのではと思うのです。
スーパーで一年中同じ食材を買うのではなく、季節ごとに地元で取れる食材を楽しむことから始めるというのはいかがでしょうか。農林水産業の生産者を支えるだけでなく、季節感を感じる生活は、私たちの生活にも新たな豊かさをもたらしてくれます。都会住民はそうしたことを欲しているように思います。
○地域文化
地域固有の文化的資本は、その土地の気候や自然に深く根ざしています。
私たちの祖先は、厳しい自然条件の中でも生活を営む知恵を生み出し、それが地域文化として残されています。
この点を理解することは、地域文化をただ受け継ぐだけでなく、地域の気候や自然とどのように関わり、どのように活かし、発展させていくかを考えるうえで非常に重要です。
たとえば、山間部の地域では冬が長く、それに適した保存食や暖房技術が発展しました。海沿いの地域では、海の恵みを活かした食文化が栄え、その地域でしか見られない漁法や調理法が生まれています。
これらの文化は、その地域の自然との対話から生まれたものであり、地域のアイデンティティを形成する基盤となっています。
このような文化的資本を今一度見つめ直し、それを現代にどのように活かすか、または残していくかを考えることは、地域創生の鍵ではないかと思います。
地域固有の伝統や知識を活用して新たな商品やサービスを生み出すことで、地域外からの関心も引きつけることができるでしょう。また、これらの文化を通じて地域住民自身が地域の自然や歴史に新たな価値を見出し、誇りを持つことも大切です。
地域の文化と自然がどのように連携してきたのかを理解し、それを現代のライフスタイルやビジネスに組み込むことで、持続可能な地域社会の構築が可能になります。また、敢えて現代にあわせずに昔の姿を忠実に再現して残すことも選択肢ではないかと思います。
このプロセスは、地域のみならず、私たち一人ひとりの生活にも新たな豊かさをもたらすでしょう。
○個性を尖らせる
釧路市では、地元の気候や自然環境が、地域固有の産業や文化を形成する上で大きな役割を果たしてきやました。
釧路市は、霧が多く湿度が高い気候を活かし、伝統的な醸造技術である山廃仕込みを用いて、地元の酒蔵である福司によって高品質な日本酒が生産されています。
この醸造方法は、湿潤で冷涼な気候条件下で最も適しており、地元の特性を生かした製品作りの一例と言えます。さらに、釧路湿原からの伏流水を使用している点も、地域の自然資本がどのように地域産業に利用されているかを示す好例です
また、炉端の文化も、釧路が港町であることに加えて、隣の鶴居村で生産される高品質な木炭があってこそ成り立っています。このように、地域の自然資源を活用することで、独自の食文化が育まれ、地域経済にも寄与しています。
先人たちが知恵を出してきたように、私たちも、地域の特性をどう活かすかを考え、新しい取り組みを始めることができるのではないでしょうか。
地域創生は、専門家だけの仕事ではありません。
私たち一人ひとりが、自分たちの住む地域の特性を理解し、それを生かす方法を考えることが重要ではないかと思います。
地域固有の食材を使った料理を楽しむこと、祭りに参加すること、地域産品を選んで購入することなど、日常生活の中で地域の特性を生かした選択を行うことが、地域創生への第一歩です。
今回の話をきっかけに、皆さんもご自身の住む地域の自然や文化に目を向け、どのようにそれを活かすことができるかを考えてみてください!
地域の魅力を再発見し、それを生かした新しい取り組みが、地域全体の活性化につながります。
地域の未来を、私たち一人ひとりの手で創り出していきましょう!
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