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#0015 日本の医療って持続可能か?について考えた

先日、北海道の某病院に勤務する高校時代の友人の医師と食事をする機会がありました。

詳しく話を聞くと、地方では人手不足で医療を維持できない瀬戸際にあるように思いました。

彼の担当科は、彼と上司の2名で24時間365日まわしているのだとか。

ざっと彼の勤務する病院のカバー人口は軽く数万人はありますので、それをたった2人の医師と、札幌や旭川からスポットで来る医師のリソースだけで賄っているとは衝撃でした。

地域住民が安心して暮らしていくには、医療機関がしっかりと機能していなければなりません。それを維持するためには医師の健康や労働環境を管理することは大前提ですし、医師の使命感・やり甲斐に依存した構造には限界があると感じます。

また、「我が町はベッド数が●●床ある●●病院があり安心です」と強調して移住促進PRしている自治体がたまにありますが、ベッド数だけ見ていて、医療現場の実態を認識できてないのでは?と疑問に思います。

せっかく移住してくれたのに地域医療が機能していなかったら元も子もないですからね。

私はPPP・PFIに関わる仕事をしていて、「持続可能な社会をどう作りこんでいくか」ということもテーマの一つと考えています。そうした観点から医療現場の実態を見ると、地域に賑わいが生まれても、移住者が増えても、働くところや遊ぶところがないと定着しないのと同じで、安心して暮らせる医療サービスが提供できていないと、シムシティと一緒で、まちとして成立しません。

地域のビジネスが大手資本に頼らずに稼げる流れを作りながら、公共サービスを維持可能な税収を上げられるまちを作っていくロードマップが必要だなと思いますし、それが将来、縮小社会において社会を機能させる為の羅針盤にもなるのではと思いました。


「働き方」の意識が昭和な医療現場

「働き方改革」なんて言われて久しい世の中ですが、医療現場は一言でいうと昭和のままです。

サービス残業なんて当たり前。月120時間。
人手不足で休日も町を離れることができないそう。
子供の運動会はもちろん帰省も殆どできないとのこと。

それに患者からのクレームや訴訟リスクと隣り合わせということなのだから、いくら給料をもらったところで割に合わんと感じたのが率直な感想。

妻もよく言っていますが、医師の世界で「働き方改革」なんて言うと、「楽をしたいやつ」と冷ややかな目で見られるとのこと。

働き方改革を議論することによって、多くの医療現場で働く人が、より良い環境で長く働けるようになっていくのでは?と思うのですが、議論することすら冷ややかな目で見られるというのは酷なものです。

恐らく、そこには自分を犠牲にして働いてきた人たちの妬み(私は●●を諦めて働いてきたのにとか)などのドロッとした、やっかみが背景にあるのではと感じます。

やりがい搾取

そんな過酷な医療現場でも身を削って頑張っている彼ですが、自分がいなければ地域医療が成り立たなくなるという使命感で保てていると言っていました。

これはいわゆる「やりがい搾取」なのでは?と思いました。
医療現場の人手が足りないことは、従前から言われていることですので、カルテを電子化したり、予約システムを使ったりすることも必要だと思うのですが、この辺もなかなか進まない。
自分たちが若いころはこうだったみたいな論調の声が大きいのでしょうか。

せっかく高い志を持って、医療現場を目指した人も、こうした現実を体感して、地域医療の現場から、より楽に稼げる都会の美容整形外科等に流れてしまうそうです。この辺の構造は、若者が地方から都会に移動する原理に似ている気がします。

都会に吸い込まれていく医師

圧倒的に症例を多く経験できるのは都会だそうです。自分の腕を磨いたり、より多様な症例を経験することで知識や技術も向上していくので、医師として成長するには都会が良いのだそうです。

ですが、都会には医師が溢れていて、給料も安いし、旧態依然としたところが多いのだとか。都会からも、より楽に稼げる美容整形外科等に流れてしまう傾向があるそうです。

医師に不人気な地方

地方は圧倒的に高齢者が多いので、どうしても高齢者医療となってしまい、あまり多様な症例に遭遇することがないことも不人気の理由なのだとか。

いくら高い給料を設定しても、人手不足でブラックなのはわかっているし、経験できる症例も多くないということもあって、慢性的な医師不足になってしまうのでしょう。

病院の建物が大きくて、一見、大病院に見えても、医師が数名しかいないので、空き部屋ばかりという状態の病院がある背景はこうした構造に原因があるかと思います。

縮小社会でどう社会を機能させていくかの問いは地方にある

今の日本はどんどん人口が減る縮小社会に突入していっていると思います。
地方医療の実態は、明日の東京の医療の未来です。

昭和・平成の時代の先端は東京でしたが、今の時代の先端は地方です。地方に東京が近未来に遭遇する課題がたくさんあるのです。

こうした地方の実態から、縮小社会でどのように社会を回していくかということを考えないと、本当にこの国はマズイことになるのではないだろうかと危機感を覚えました。

実は私の妻が外科医なので、これから少し時間をかけて、統計や制度などもリサーチして医療を切り口に考察をしていきたいと思います。

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