誰かの湿度

誰かの涙を含んだ風が

僕の頬を通り過ぎてく

昨日の夜にはきっとまだ

暖かだったろうに

一緒に泣いてあげられなくてごめんねと

言ったのだろうか　誰か　誰かに

連れ去られた涙が熱も一緒に

根こそぎ奪ってきたのなら

少しは救われるのかな

流れることない涙と

冷めることのない熱を持って

頬を通り過ぎてゆく風に

冷め切った熱を孕んだ風が

僕の肩に腰をおろす

何を奪って何を与えて

何処へ行こうとしてるのだろう

リボンもブーケもあげられなくてごめんねと

言ったのだろうか　誰か　誰かに

此処に居たいとただただ一緒に

枝葉揺らして身悶えたなら

少しは救われるのかな

流れることない涙と

冷めることのない熱を持って

頬を通り過ぎてゆく時に