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サルベージ 折々 2005.



あらたまの春降る光背に受けて心ばかりは鳥になりまし

地にしか生きられないヒト。
せめて気持ちだけでも心だけでも鳥のようになれたら。。

高い空
低い空

羽ばたき
滑空

様や場所に違いはあれど
憧れる姿である事にちがいはないかと。。

来る春は せめて野に舞ふ てふなれと 冬に篭りし 小虫一匹

越冬する鳥が無理なら・・
せめて蝶でも蛾でも・・(笑)

小さい小さいイモムシは
それを願って冬篭り・・・
2005.01.01.



捨て果つる間なく時なく積みたれば夢見も傷も我の身の内

気が付けば、年が明けてもうすぐ半月。
念頭の豊富とか・・
今年こそは・・
何てことを考えなくなってどれくらい?

夢を描いたり、見たり・・
そう言う事も少なくなった。

辛かったことばかり思い出してしまうのは年のせい?

起き上がるためにコケルんだ!
ぐらい開き直りたいもんだ。


とりあえず・・
前向きになろう・・かなっと。
2005.01.13.



嬉しきは哀しき事と裏腹にはらはら落つる雨は春花

一気に桜が開花。
少しづつ少しづつ・・
膨らんでいく蕾を見る楽しみが今年は少し少なかったような。。

嬉しいと思うこと。。
その先には、寂しさを伴うもんなんだな・・と。


人の不幸は蜜の味
・・・とは、よく言ったもんだ(?)
2005.04.07.



ひとときの夢と紛ふる桜花咲き散り舞ふは無垢なるままに

一気に咲いて一気に散った今年の桜。
咲くのを待ち望まれ・・
散るのを惜しまれ・・
世を挙げて騒がれていることを当の桜はきっとご存じない。。(笑)

人の思惑なんて関係ないところで
桜は咲き散る。

誰の為でもなく
強いて言うなら自分の為に・・

自分の咲いた樹の元に・・
白い絨毯を敷いて・・
やがて朽ちて行く。

ただただ・・
次の春の花の為に。

そうやって
輪廻転生を繰り返す自然の力に
しょせん人なんてちっぽけなもの。。


世の中のそんな騒ぎも
吹いてくる春風と何ら変わりなく
桜は身に受け、散っていくのかな・・って。


風に舞ひ落ち行く先のその先も知りてこそなほ鮮やかに散る


・・・潔く在りたい・・・
2005.04.15.




ころころと ころがる心 追い掛けて 一人下だるは 陽だまりの坂

日本一長い上り坂は
日本一長い下り坂でもあるそうで
(当たり前)

上り坂ととるか
下り坂ととるか

その時の心の持ちようなのかもしれない。。


しかし・・
最近めっきり坂道に弱くなりました。(溜息)


やっぱ、上ったら下りなきゃ・・
なのかな。

峠の上で一生生活するわけには行かないからね・・
2005.04.27.



愛ほしと我を背なより抱きとむぬくき腕を求む初夏

母は、忙しい人でした。
傍に寄って行く事を悉く拒絶されて育ちました。
膝の上、膝枕・・
殆ど記憶にありません。

で・・
私も自分の領域を人に犯されるのが嫌いです。

でも・・
でも・・

そういう風に育っても
真正面からでなく
背後から抱きとめて欲しい・・と思うことはあります。

実際の行動ではなくて
気持ちとしてね・・(笑)


辛い時に辛いという事を
言える人
分かってくれる人

やはり必要です。


他人の目にはどう映ろうが(笑)

お陰様で色々と吹っ切れた。
2005.05.07.



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我染めよ 叫び四片は白く咲く 思ひ哀しき 空は水無月


これは・・
たぶん・・
額紫陽花の小さな一つだと・・


一つづつがお皿のように
これ以上開けないと言う程に目一杯開いた花びら。
なかなかふらない雨を
出来るだけ沢山受け止めようとしてるような・・

真っ白な身を
新しい色に染め替えたいのかも?

望むれば意に沿ふ色に染まるやと尋ねし天の返りすらなく
2005.06.20.




一年で 楽しき時は 一時と 君は語れり 六日の宵に

天地の別れし時ゆ・・

ずっとずっと昔から、年に一度しか合えない牽牛と織女


明日は逢える・・
晴れたら逢える・・

そう思いながら、空を見上げている時が
一番楽しいのかもしれない。

・・・って、空に居る織女も、これまた空を見上げるのか?見下ろすのか?^^;


逢うまでは、我慢したこの一年の続き・・
逢った瞬間に始まる新しい一年・・。


待ってる時間が一番楽しいのかもな・・と。

待てば、報われる・・
それはそれで羨ましい。。


待てど暮らせど来ぬ・・ことも、
この世にはあるんだよ・・と。
2005.07.04.

夢かとぞ 思ひ惑ふは 今日よりや 昨夜の逢ふ瀬や 定めかねつる
2005.07.08.




青きまま散りし木の葉を集めてん短世を生く蝉の鳴く夜に

”青きまま”

しっかりと成長してないのに。
つまりは、未熟ってーことですな。

”散りし”

散った。
「し」は過去を表す「き」の連体形。
で、「き」は、同じ過去形の「けり」より、
実際に経験したこととか確信のある事に使うんだそうな。
で、「し」にしてみた。

”木の葉を”

今回は(も?)言葉のつもり。。

”集めてん”

集め+て+む
「て」は、完了を表す「つ」の連用形。
で、「~してしまう」「~する」
「ん(む)」は、推量をあらわすらしいので
合わせて「~してしまうだろう」と言うか


「ほっといても、そうするだろう」と言う意味にならんか?
と、思ったんだけど。。

(ちゅうか、本当は、口ずさんだ時に”集めてん”と言う音が気に入って

後から辞書を引いたっていうのが正解(爆)

誤用かな?ま、いいか。。(おい))

ただ
何となく、譲りたくなかっただけ。
この”てん”と言う響き。。

”短世”

「短夜」と書いて、夏の短い夜と言うのが本当の使い方らしい。
みじかよという言葉が浮かんで・・
これも、誤用かも。^^;

”蝉の鳴く夜に”

言われずとも・・・・蝉は夜にあまり(絶対?)鳴きません。
ま、雰囲気です、雰囲気。。。


結局の所・・

まだ、青臭くて出来損ないの歌(言葉)の破片を集めてみたんです。
短い人生を生きてる蝉の鳴く夏の夜に

・・・
うまく気持ちを詠めないまま
ただの言葉の羅列にすぎないんだけれど
それでも、私にとっては、その時々の想いが入ってる。
短い人生を必死に生きる蝉の鳴く夏。
そんな夜に
愛おしいと思いながら掻き集めてみました。
私は・・
蝉のようには、きっとなれないけれど。
・・・


ってな、感じのつもりです。
伝わるんだろうか・・
こんな文法で。。

大体が、こういう風に気持ちが先で、音が次、文法は最後。
と言うのが、毎度私の作歌の順番です。

追。
どうしても、ダメだ!って言う部分があったら、善意のご一報を。




夏の影 暫し含んで 秋立ちぬ 風を香りを 恋ひ待つ君に

季節の移り変わりは、ゆっくり確実に・・

デクレッシェンドしていく夏と
クレッシェンドしていく秋

恋焦がれる人の元に一番先に秋が来る。


「秋」は「飽き」を掛けることがよくあるそうな。。
夏の影を今しばらくは抱えても、そのうち飽きが・・。
夏の恋は、秋の訪れとともに消滅するってー歌にもならないか?
・・・ちと、強引か。
2005.08.16.




吹き寄する風のさらひし我が肌の熱の行方を誰に問はまし

あんなに待ち焦がれた涼しさなのに・・
急に吹かれると戸惑うこの身勝手さ。

極々自然に肌の上を通り過ぎる秋の涼風
ひんやりとした感触で風の通りに気づく。
風にさらわれた私の熱は・・
どこに行くんだろう・・・
2005.09.15.




行く風に 乗するひとひら はらはらと 告げたき人の 所在言はねど

言いたい事を・・
思ったことを・・
すべて言の葉にして伝えることを良しとは思わない。

分ってくれるだろう・・
伝わるだろう・・

言葉にすれば重くなる
音にすれば負担になる


そういう事もあるような気がする
秋の夜
2005.10.03.



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ミゾソバ

名も要らぬ情けも要らぬ季節の来て開ける吾を愛でよ眼で

ミゾソバ・・
よく知られた花なのか
あまり知られない花なのか

始めて見たのは・・
飛鳥にある山田寺跡

チロチロとわずかに流れる南門跡付近の溝を
覆い尽くすように・・

雑草としか言いようのない蔓延り方と
小さな小さな控え目な花

名のない花はないらしい。。

蕎麦に似て、
溝に生えることが多いから
ミゾソバ・・か?


名前なんて
呼び名なんて
便宜性だけのもの

万人に
呼ばれなくても
知られなくても
愛されなくても

いいじゃない?

そんな風に言ってる気がする。
2005.11.03.




ひぃふぅみ指にも足らぬ年月に指に余るる恩は幾千


一つ二つ・・・と
数えられるものと数えられないものとがある

日・週・月・年・・
後幾つ
もう幾つ

数えられないものは・・
人の気持ちと
我が身の思い
2005.11.09.




高き空碧くただただ広ごりて伸ぶる白雲受けて流せり

天高く・・

どうして、秋の空は高いんだろう。。
どうして、秋の空は広いんだろう。。

この空の広さに比べたら
この心の動きなど・・
この心の鬱屈など・・

木の葉一枚動くよりも
小さなものなのかもしれない・・

なぁ~~に言ってんの?

空が笑顔で言ってる気がした。。
2005.11.16.



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煙立つ山間の里の秋深く惜しみ染まるる葉色色々
2005.11.28.



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2005.11.27. 高取城址
惜しからぬこの身に替へて短世はただひたすらに君が目を待つ

石だけをのこしてた城跡
何年掛けてここまで大きくなったんだろうという大木があちこちに
石に食い込むようにそびえる

春に新緑
夏に木陰
秋に紅葉

見せる為に変化してるわけではきっとないのに・・


繁り色づく葉は
やがて散り
地で朽ちていく

短いトキと引き替えに
何かを得ようなんて
思ったりもしないんだろう


身に替えて
身を染めて

短い秋がまたひとつ終わった
2005.12.05.







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