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【開催レポート】9/16:小高区課題調査成果報告会

本イベントは、9月16日(土)に開催された小高区課題調査業務成果報告会のレポートとなります。

みなさんこんにちは。
「地域100の課題から100のビジネスを創出する」というミッションの下、弊社が直接的・間接的に起こした事業は20以上になりました。
暮らしに直接関わる課題は2014年以降解消されつつある一方で、地域発展に繋がる課題はまだまだ眠っていると捉えています。
課題に関するフェーズが変わってきた今、
「良い課題、問い」=「良い事業のタネ」を見つけるべく、地域課題の正確な把握から領域網羅的な調査や分析を行う必要があります。

今年度は小高区とも連携し、地域に新たなるチャレンジャーを呼ぶべく、小高区に眠る課題を調査し解決につなげる種を見つける調査員を6名受け入れました。

成果報告会を9月16日(土)に開催いたしました。


🚀開催概要

・日時:2023年9月16日(土) 16時~18時
・場所:小高パイオニアヴィレッジ(現地)+zoom(オンライン配信)
・司会:野口福太郎さん(株式会社小高ワーカーズベース)
・参加者(運営抜き):現地30名、オンライン18名

🚀弊社およびリサーチインターン概要


🚀調査員による報告(前半)

①テーマ:食 福本 優太(ふくもと ゆうた)さん

提言課題:小高の農業に必要な変革は何か
調査目的:農業に関する課題は全国的にある中でも、大震災による原発災害が絡むことで小高区特有の課題も加わり、複雑性を帯びている。
その中でも福島イノベーションコースト構想の影響から、先端的な取り組みが浜通りでは行われており、適切性を有することで他地域よりもよい取り組みが生み出せると考えたため、変化と過程の中の課題を調査した。

そのうえで課題を総括すると、一番は農家の収入が低いことであり、そこを解決することによって短期的な課題を解消することができる。
現在の農業形態のままで収入を上げる方法として農業の6次化や流通経路を変えた直接販売などが考えられる。農業の6次化をすることで販路を拡大し、南相馬市の作物を広く知ってもらうことができ、作物のブランド化も見込める。


②テーマ:消費サービス 合田 葵(ごうだ あおい)さん

提言課題:「どうしたら小高らしいお土産が提供できるのか?」
調査目的:筆者が南相馬市小高区の移住者促進、関係人口創出事業である「遊ぶ広報」にてガイドを行ってきたこと。
また、自主的な取り組みとして株)Andsにてスタディーツアーを行い、お客様のお土産に対する課題感を聞いてきたことが大きく影響した。
調査の背景を踏まえ、漠然と抱えているお土産への課題の解像度を上げること。小高に求められているお土産の提案を目的とし調査を行った。


課題を総括すると、お土産は経済効果のみではなく、街のブランディングを進めていく際の重要な役割を担っている。小高という街は既に復興ではなく、日本最後のフロンティアとして新たな街づくりを進めている。
そんなメッセージを今後伝えていくためにもお土産土壌を醸成させ、街のブランディングを行う際の一助になると考えるため、小高のお土産製作は重要であると考えている。

③テーマ:移動 原田 晴(はらだ せい)さん

提言課題
問い①:ヒト・まちの観点でどのような移動ストレスを抱えているか
問い②:時間軸で見たときに移動を取り巻く環境はどのように変化するか
調査目的:小高区の移動における本質的な課題を見つけることは、小高区の移動問題の解決に加えて、今後全国における多くの地域が直面するであろう課題の本質を見つけることにもつながる。小高区における移動問題の現状について理解すること、移動を取り巻く環境の変化について時間軸で理解することを目的としている。


技術、社会、環境の変化による「人の移動ストレスの解消と人が移動しなくても良い社会」と「地域経済の循環やヒトの生きがいのための移動」の必要性という矛盾が生じる。この点において「ヒトの移動ストレスの解消と人が移動しなくても良い社会」という来るべき未来に対して、どのように「地域経済を循環させ、ヒトが生きがいを感じることができる新しい移動の形」を見つけることが今後取り組むべき課題である。

自動運転等の技術が2030年を目途に普及する可能性が高いということが分かった。将来的に移動に対する人々の不満は解消する一方で、地域の事業者の経営悪化と地域経済の衰退の可能性、さらにはヒトが生きがいを感じられる新しい移動の形を創造する必要がある。


🚀前半の総評:メンター マカイラ株式会社 高橋朗さまより

調査開始時点で考え方・問いの立て方についての講義を行わせていただきました。
問いについて考えることについて、3人とも意識して考えてられていたと思います。
ミクロの視点まで落とし込んで、答えではなく問いを立てることが、価値のある事だと考えています。ここから始まる問いの深堀り・答えの出し方を地域を離れた後も考え続けていただけたら非常に嬉しいです。

🚀調査員による報告(後半)

④テーマ:医療・福祉 小野澤 美優(おのざわ みゆう)さん

提言課題:開業医の撤退が予測されている以上、小高診療所の一次診療機能の維持・拡大が必要になる上での医療の持続可能性
調査目的:南相馬市は、移住者の増加にむけた政策を実施しており、南相馬市の人口は微増傾向にある。ただし、医療分野から地域を見てみると、帰還者の高齢化・医療費が全国に比べて高いことなど様々な課題も表出している。
特に小高区においては震災以降病床が0のままであったり、医療機関の休止等、危機的状況にあることを受け、調査テーマを「小高区における持続可能な診療体制を阻害する要因は何か?」とさだめ、①医療サービスの供給能力はどの程度か②医療サービスの需要はどんな状況か?③医療サービスの需要・供給は、今後、どう変化しそうか3つの調査項目に分解し、調査した。


医療サービスの供給能力は震災以前の6割程度の水準だが、現時点では他の地域と連携して医療を維持している。ただし、帰還者を中心とした移動困難の住民の医療需要は満たされている一方で、小高の医療サービスに不満を持つ層の需要は、原町や市外・県外で賄われている現状もある。
 小高のかかりつけ医の供給が途絶えた場合、医療体制の維持が難しくなる。そのため、将来を見据えた小高診療所のサービス向上が必要である。なお、サービス改善によって小高診療所の患者が増加すれば、民間の新規参入を促す材料になる可能性がある。

⑤テーマ:教育 岡崎 翔馬(おかざき しょうま)さん

提言課題:児童の放課後の過ごし方・居場所について
調査目的:全国的に放課後のこどもの居場所(ここでいう居場所とは学校・家庭以外の空間)については議論されており、ここ小高区も例外ではない。
避難指示が解除されて以降、現在の小高区内の居住人口は3,870人程度となっているが生産年齢人口の割合は低く、相対的に高齢人口の割合が大きくなっている。これまで小高区に限定して児童らの背景により児童の取り巻く環境を調査した例は管見の限りなく、改めて調査する必要性が生じた。


総括は以下の表となる。

⑥テーマ:教育 大和 愛実(やまと あみ)さん

提言課題:中高生の主体性を高めるキャリア教育
調査目的:小高区の課題をリサーチするにあたって、まず実情を知るために調査の対象を絞らず、様々な年齢層や職種の方、教育に携わっている方へのヒアリングを行った。教育関係者・子を持つ親、双方から浮かび上がってきたのが、「未来を描ける選択肢が十分ではない」という声。
 今の子ども達を取り巻く環境というのは非常に複雑で困難なものとなっているという社会的背景からだ。その一つに予測不可能な時代の到来が挙げられる。
データとして、進路選択やキャリア観をアップデートさせていかないと、これからの予測不可能な時代で生き残っていけない可能性が非常に高いことが明らかになっていることから、教育における課題とその原因、解決策を提案し、子ども達の進路選択やキャリア選択がよりよいものになることを目的とする。


この提案内容にすでに取り組んでいる国や地域は存在している。内容としては今の私の最善だが、「小高区の課題」というよりも、「小高区でも起きている課題」であるし、もしかしたら日本の教育システムに問題があり、対症療法的なアプローチなのかもしれない。しかし、今回取り上げた問題は特に地方では深刻な問題であること、そしてこれからの社会で主体的にキャリアを掴み取るという行為が必要になっていくことは明らかである。先駆けとして取り組む意義は十分にあると認識し、以上を提案とする。

🚀教育に関して門馬市長より

子どもたちの主体性や考え方に関しての課題は、南相馬市としても当たっている。
大和さんに関しては着眼点がすごいと思うし、ヒアリング等はもちろん現場に答えがあるから、ここは市がやっていくところだと考えています。
子どもたちが見ている世界の大きさによって、将来の選択肢が変わる・主体性に影響すると捉えていて、その一つに親の協力も必須となるでしょう。
南相馬市では、学校教育で子どもが見たことない世界を見せることを大事にしています。
その1つには、中学2年生でオーストラリアに短期で行こうというプログラムだったり。
また、今日に関しては交流センターで地域の課題を考える、小高自由大学が開催されたり等一日を通して南相馬市内のこと・子どもたちの視野を広げることに関して考えられる良い機会でした。
ありがとうございました。

大和さん(左)と門馬市長(右)

🚀後半総評:メンター マカイラ株式会社 高橋朗さまより

医療も教育も、実際に調べるのがとても難しい課題であると思います。
問題の所在が分からないからこそ、数が少なくても現場の声を聞けた価値はものすごくあると感じます。そこから問いをさらに深めていくこと、この問いを小高区の人たちが深めていってくれると思うので、ぜひこれからも注目してほしいです。

マイクをもってお話しているのが本インターンメンターの高橋さま

🚀総評:佐々木小高区役所長より

短期間での調査は本当に大変だったと思います。
南相馬市としては今年度は第三次総合計画、小高区の体制強化に取り組んでいます。
課題を含めアンケートを取ったりしていました。
特に医療関係に関しては、小高区としてインフラ整備の点から強化したい・市民の人が安心安全に暮らせるかに直結するのでもっと佐久を練ろうと思います。
地域の課題を捉えていくために対応していきたいと思います。
みなさん、ありがとうございました。

最後はみんなで写真撮影!お疲れ様でした!

🚀編集後記

1か月間のリサーチインターンも22日(金)をもちまして、報告会及び最終報告資料提出まですべて終了しました。
後日、終了後のインターン生に特化したnoteをまた出しますのでお待ちいただけますと幸いです。

地域のみなさま、小高区役所さまのお力添えがありまして、ここまでやりきることが出来ました。みなさまに感謝申し上げます、本当にありがとうございました。

(編集:小高ワーカーズベース 中村(インターン事務局))



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