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【経験談】未経験からITエンジニア目指すならプログラミングスクールに通うな!

何年も前に経済産業省から将来のテクノロジー人材の不足が示されてからというもの、日本ではプログラミングスクールがたくさん増えましたね。学校教育にもプログラミングが取り入れられることとなり、プログラミング学習が市民権を得てきている感覚があります。
▼経済産業省 IT人材需給に関する調査(概要)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf

かくいう私もプログラミングスクールでの勤務経験があり、その一端を担う一人であったわけですが、今日は業務未経験からエンジニアを目指すならプログラミングスクールには通わない方がいい、という話をしたいと思います。(業務未経験=エンジニアとして就業経験がない)

通うな!と冒頭で断言しましたが、少し突っ込んでいうと通っても通わなくてもどちらでもいいです。この記事を読んでいる方はプログラミングスクールに通うことに関心がある方が多いでしょうから、「ITエンジニアになりたい」あるいは「ITエンジニア的な仕事(副業を含む)をやりたい」と思っている人が多いと思います。そういう方にお伝えしたいのは、プログラミングスクールに通ったからといってITエンジニア(エンジニア的な仕事含む)になれるわけではない、ということを言いたいです。

実際、プログラミングスクールで就職サポートまでしてくれる会社もあることもあり、スクールに通ったらITエンジニア(以下、単にエンジニアと記載)として就職できるもんだと思って来られる方も多いです。

しかし、現実はプログラミング言語を勉強し始めてからがエンジニアとしての始まりであるし、スクールに通っただけではエンジニアとしてのスタートラインにも立っていない状態なのです。どういうことかというと、プログラミング言語をある程度理解していることはプロとして雇われるなら当然であり、多少コマンドを知っている程度なら人間の言語習得に例えると2〜3歳の子どもと同じです。プログラミング言語を勉強して、ある程度自分でコードが書けるようになって、かつエンジニアとして就職が決まって働く場所が見つかってはじめてエンジニア人生がスタートします。

私が働いている中だと、スクールに入ってプログラミングを学んではみたものの自分には向いていないと言ってエンジニア転職を断念する方もいましたし、スクールのカリキュラムを修了し必死になって何百社も企業に応募しても書類すら通過しない、という方も一人や二人ではありませんでした。そんな状況で、就職率の高さに魅力を感じて来られた人の中には「こんなに自分でも頑張らないといけないんですね」とイメージと違ってギャップを感じている方もいました。

確かに、数年前よりも未経験エンジニアの就職市場の状況は悪くなっていると感じます。以前はプログラミングの勉強などしなくてもエンジニアとして採用してくれるIT企業もありました。また、個人で独自に作成したアプリさえあればある程度評価をいただけていたりもしました。しかし、ここ最近は未経験からエンジニアを目指す人口が増えすぎて、個人で作成したアプリを作っているだけではさほどプラスにはならず、そのアプリのクオリティまで問われることも増えてきています。結果として、以前よりも本人のエンジニア適性が問われる状況になっていますし、自力で就職活動を頑張る必要も出てきます。

ここで「プログラミングスクールに通うな!」の話に戻しますが、なぜ通わない方がいいと言ったのか。それはプログラミングスクールに通ったとしてもなんの社会的な証明にもならないからです。要はプログラミングスクールに通ったという事実が未経験からエンジニア就職する際の採用選考において有利にならない、ということです。プログラミングスクールはあくまで民営の私的なものであり、プログラミングスクールに通うことはそういった社会的証明が得られないものに貴重な時間とお金を投資することになるのです。

考えてみればそうです。カリキュラムを文部科学省など公的機関から認められているなら話は別ですが、スクールが独自に作ったカリキュラムに乗っ取って学習したことで得られるスキルがどの程度であるのかスクールや個々人それぞれ違うので、企業も評価のしようがありません。候補者一人ひとりに話を聞いて個別に意欲やスキルを確認するしかないのです。

そして皮肉なことに、学習内容を提供してもらうこと前提のスクール生よりも、自分で独学でプログラミングを学習するという意欲と行動力を持った人の方がエンジニアに向いているし、企業もその姿勢を評価することが多いです。

また、スクールに通うと言ってもそれは誰か教えてくれる人がいるというだけで、勉強するのはあくまで自分です。自分が勉強しなければ何も進みません。スクールに通うメリットとしてエンジニアを目指す仲間ができるというのはあると思います。また、わからない時に聞ける相手がすでにいるという安心感はあるでしょう。しかしながら、結局のところ手を動かし頭を動かしていくのは自分であるということを考えると、自力で独学で勉強をしてわからないところをメンターサイトなどで聞くのと大差はないです。要は費用対効果の話で、プログラミングスクールにおけるパフォーマンスを「必要なスキルが身についてエンジニアとして就職できること」だとすると、結局勉強にしても就職活動にしても自力でやる労力がかかり、またエンジニアとして就職できる保証もないのであまりコスパが良くありません。(※カリキュラムが提供される、わからないところを聞く人がいる、友達ができることに数十万円の価値があると考えるならこの限りではありません)

どうしてもなんらかの学校に通って勉強してからエンジニアを目指したいというのであれば、大学で情報工学(コンピュータサイエンス)などのエンジニアに関連する公的な学位を取得される方が良いです。英語ができる人であれば、ほぼ無料かつオンラインで学べるUniversity of the People(https://www.uopeople.edu/)なんかもあります。社会人からでもできないことはありません。また、基本情報をはじめ、CCNA、LPIC、Oracle、AWS SAAなどエンジニア関連資格があるのでそれを独学で取得するのもエンジニアを本気で目指している意欲の証明とアピールポイントになります。

もし今プログラミングスクールに通うことを考えている方がいたら、数十万という高額の授業料を払う価値があるのかについて慎重に検討する必要があるでしょう。また、本当にその手段でいいのか、他により良い方法はないのか調べてみる必要もあります。そういった、疑問を持ったり自力で調べたりすることができる人がエンジニアとしても活躍していける人だと思います。

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