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ライカ展「情念との反芻」(前編)

落合陽一のマガジンへようこそ,今日は9/5-10/12まで銀座ライカやってる落合陽一の個展「情念との反芻」(日月が休みなので注意)の話です.前編・後編で,2回は書く予定の1回目.会期が始まってすぐなので,前編の今回はネタバレをしないようにステートメントとか狙いとかを書いておこうと思います.

ライカで展覧会だ! というわけで張り切って色々時間かかった感じでしたが,ライカの小池さんに助けられなんとか展覧会としてのまとまりができた感じになりつつあって,という感じ.ライカの店だからできる展覧会というのを考えるのに力をいれて作っていった.DMのライカ感もなかなか.

ステートメントは以下の感じ.

情念との反芻
心の何処かにある何らかのイメージを外界に探し求めて,今日も写真を撮る. 光と闇が物理世界に見せる一瞬を探し求めて,世界の様々な場所を彷徨っている. 光の滲みがおびただしい一本のレンズを片手に,物理世界に心象のスケッチが重なる瞬間を探している. 経年変化からなのか,オールドレンズの絶えず滲む光の中に,解像度が取り零したものを見ようとする自分がいる.あやふやになった輪郭の中に,滲む光の繊細な起伏に,情念のような何かを込めようと,時間と空間からすでに失われたコンテクストを探そうとする自分がいて,その情念を拾い集めようとするこの作業は,デジタルに幽かに残るイメージの霊感を手繰り寄せようとするようだ .一度捉えたはずの光を何度も調整し,何度も見返すうちに ,物理的に滲んだ光が幾重にもこだましているような ,そんな妄想に取り付かれる .その光はときに靄や霞のようで ,ときに妖気のようで,幾重にもループするコンテクストの霧の中に光を探し求めているさまにも感じられる.絵画のようで絵画でなく,写実的であろうとしながらも現実を写しているようでもない.異なる世界をのぞくように,レンズとセンサというメディア装置を通じて,物理的なこの世界と精神的な環世界に通底する感覚を探している.デジタルから見える物質世界への憧れを突き詰めた先が質量への憧憬ならば,ここにある閉ループは,デジタルに切り取られたはずの物質世界と,僕の情念との反芻だ.

というわけで今回はこの辺から書いていこうかと思う.そういえば,10部限定で今回の展示作品が入った写真集も用意されている.合わせて,どうぞ.

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