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北村直也 町田和美が観賞した『男はつらいよ寅次郎恋やつれ』について再び語る

北村直也さんがFMラジオ「ムービーボヤージュ」で『男はつらいよ』シリーズについて語っていました。


(町田和美)そうそう、北村さん、先日4K上映行ってきたんですよ!初めて4K映画見てきました。

(北村直也)何見られたんですか?

(町田和美)(寅次郎)恋やつれ!

(北村直也)吉永小百合さんのやつですね。吉永小百合さんがご出演される二つの内、後半の方ですよね。どうでした?泣けたでしょ?

(町田和美)もう、最後のシーンがすごい泣けてきちゃって。お話を聞いていた上での今回だったんで、すごくよくわかりましたし、泣いたというか、もう号泣。吉永小百合さんが可愛くて大好きになりました。

(テンパープラザ広瀬)そんなに?

(町田和美)もうぐしゃぐしゃに。

(北村直也)あれは、ほんと泣けるんですよ。

(町田和美)歌子のお父さんが、もう、不器用で。なんかあれ見てから、ずっとあの映画のことを考え続けちゃって。というか、頭から離れなくて。

(北村直也)そうなるのが吉永小百合さんの魅力なんです。知ってました?歌子がとらや(くるまや)に来てからずっと黄色い服着てましたよね。


(町田和美)はい、そういえば。ん?

(北村直也)すごい細かいんですけど、着替えを歌子は持ってないんですよ。津和野を喧嘩して飛び出してきちゃったんで。

(町田和美)あ、だからお父様。

(北村直也)劇中の台詞の中で、タンスから適当に服を見繕ってもってきた、と風呂敷をわたすシーンがありましたよね。


(テンパープラザ広瀬)なるほど。

(北村直也)親心なんですよ。細かいんですけど、親の思う通りで、子供の不肖なところもわかってて、親として不器用ながらも娘に手を貸してるんですね。黄色い服しか持ってなかった歌子にとっては、ありがたい行動なんですよ。だから、歌子も素直に謝れたし、お父さんからも素直な気持ちが口に出たんですね。そこがもう涙を誘うわけです。

(町田和美)そういわれれば、ほんとにそう。もう胸が詰まるような作品でした。

(北村直也)この吉永小百合さん演じる歌子シリーズなんですけど、実は続編の構想もあったんですよ。

(町田和美)え!続編!?

(北村直也)はい。吉永さんの撮影のスケジュールが合わなかったことなどが理由で構想自体が幻になったそうなんですけども。

(テンパープラザ広瀬)すごく、もったいないような。

(町田和美)どんなストーリーなんだろ!

(北村直也)僅かなんですが、キネマ旬報にもその記述がありましてね。ほら、歌子は伊豆大島の施設で働いてるシーンで終わるじゃないですか。

(町田和美)はいはい。

(北村直也)寅さんはその施設を訪れるんですよ。というのも、作品の最後の語りの場面で、吉永小百合が、ふらっと寅さんが現れてくれたらって言いながら、寅さんは伊豆大島に行かないじゃないですか。

(町田和美)あれ私、絶対寅さんが大島に行くんだって思った。

(北村直也)ですよね。でも行かないんですよ。だから山田洋次監督はきっとそれを取っておいたんですよ。余談ですが、第18作の最後のシーンでは、ちゃんと語りの通りに寅さんが現れるんです。でも今回は現れない。きっと伏線を張ってたんですよね。だから、続編構想では、その伊豆大島に寅さんが歌子を訪ねるところからのストーリーなんですよ。

(町田和美)そこからなんだ。

(北村直也)その大島で、寅さんが歌子から手話を教わって、最後のシーンで寅さんは歌子に手話で自分の気持ちを伝えるんです。でもそれがちゃんと歌子に伝わったかどうかはわからないっていうストーリーらしいんですよ。

(町田和美)うわ、もうそれだけで胸が痛い。

(北村直也)すごいですよね。幻の作品になった理由として、吉永小百合さん自身も、役がおんなじだと「自分自身」がマンネリ化してしまうっていう懸念ももってらしたんですね。でも96年に寅さんは亡くなってしまったんで、吉永小百合さんは「どんな形でも出演するべき」だと、その後日談として後悔までなさってるんです。

(テンパープラザ広瀬)吉永小百合さんにそこまで言わせるってすごいですよね。

(北村直也)ほんとにそうですね。だから余計にこの幻の続編を見たかったですよね。

(町田和美)でも、私この作品見れて幸せでした。吉永小百合さんが愛らしくて。

(北村直也)前にも言いましたが、作曲家の山本直純さんがお作りになられた、三拍子の「歌子のテーマ」も、この作品で久しぶりに聞くことができますし、ほんとに心に残る作品に仕上がっていますね。


〈書き起こしおわり〉


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