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#36アラサーの豪ワーホリ!オーペア編part9

子どもたちとの少々の揉め事はあったものの、普段は家族みんな私に親切に、本当の家族のように接してくれた。特に思い出に残っているのは、サリーとの何気ない日常だ。

彼女はパズルをすることを好み、時間を見つけてはそれに勤しんだ。ときに私も混ぜてもらい一緒にすることがあったが、ほとんどパズルの経験がなかった私にとっては、100を超えるピースをどこから手を付けていいか分からなかった。「周りの枠を初めに固めてしまうとやりやすい」というのを、私はサリーに教えてもらって知った。

また、庭にいろんな植物が植えられていて、それを整えるのもよく手伝った。綺麗なバラが一面に植えられ、まだつぼみだが香りがとてもよかった。私がバラが好きなことを言うと、「それは私の友達の亡くなったお母さんに苗を分けてもらったものなの。バラを育てる達人でね。お花が咲いたら、プレゼントさせてね」と言ってくれた。本当に見事な、優しい色合いのバラだった。オーストラリアは水不足の国と言われ、特にこのグールゴーウィ地域は砂漠かというほど深刻だった。しかし、バラにとっては乾いた土地の方が育ちやすく、日本では逆に水気・湿気が多いため育てにくいということもここで初めて知った。

サリーは料理がうまかった。とくにアジア料理を得意とし、中華系・タイカレーなどをよく作ってくれた。日本料理について質問攻めにあうことも多く、「味噌にもいろいろ種類があるみたいだけど、色が違うのはどうして?」とか、「トンカツってなに?」「UMAMI(旨味)ってなに?(今や国際語になりつつある)」など、様々なことを聞いてきた。即答出来ないことばかりで、自分が恥ずかしく、宿題にさせてと言ってその場を逃れた。もちろん調べて英語にして、その後答えるようにしていたが、私の説明で納得してくれたのかは不明である。

サリーは本当に素敵な人だった。妻である前に、母親である前に、「サリー」個人としての自分もちゃんと大事にしていた。そして、周りの人に対してとても愛情深く、誠実で、強く、柔軟な人だったと思う。女性の私から見ても「いいオンナだな」と思ったほどだ。コロナウィルスの影響でバイト探しがうまくいかないときも「いつでもリファレンスに応じるから気軽に言ってね!(※1)」と言ってくれたり、結局帰国せざるを得なかったときも、自分のことのように悲しんで心配してくれた。そして日本に帰ってからも、いまだにどうしてる?と連絡をくれる。

歳が近いおかげか、私たちは割と仲良く過ごしたように思う。「誰か身近な人で目標にしている憧れの人はいますか?」という質問があったとするなら、サリーだ、と答えると思う。彼女がときどき子どもたちに言っていたことがずっと心に残っている。

「人の外見をみるのではなく、中身を見なさい。美しい人になりなさい」

まだ小さな彼らがどれだけ理解できているのかわからないが、サリーのこういった姿勢は必ず子どもたちにも伝わるはずだ。

次回、#37アラサーの豪ワーホリ!オーペア編part10につづく

👇今日はこの曲🎶

※1 英語圏にはこの「リファレンス」という制度がある。その人を採用するか企業側が迷っている場合、その人の前の職場に連絡し、その人がどんな人なのか、また、勤務態度について確認することが出来る。

※写真は、メルボルンの「ブライトンビーチ」。サーファーなどが道具を収納する小屋が100軒近く立ち並び、すべて絵柄が違う。観光スポット。

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